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次世代AI「Operator」を実際に使ってみた~あなたの"めんどくさい"をAIが代行 ~

「あなたの代わりに、ブラウザを操作してオンラインの作業をサポートします」
OpenAIが2025年1月に公開した新機能「Operator」は、そんな驚くべき能力を持つAIエージェントです。
参考:https://openai.com/index/introducing-operator/

毎日のように行うオンラインショッピングや旅行予約、ホテルの空室確認。これらの作業を、「Operator」は代行してくれる可能性を秘めています。この新たなAIエージェントの到来により、私たちの生活はどのように変わっていくのでしょうか?
今回は、アメリカの月額200ドルのProアカウントユーザーにのみ提供されている新機能「Operator」。
VPN接続を通じて実際に利用した内容を踏まえて、現状の機能や課題、今後の可能性について解説していきます。


1. 「Operator」の概要と仕組み

1-1. Operatorとは何か

OpenAIの新機能「Operator」は、ChatGPTがブラウザを操作して、ユーザーの代わりにオンライン上のタスクを実行するための次世代型のAIエージェントです。
これまではテキストの入出力中心のやり取りでしたが、「Operator」では実際にウェブサイトを閲覧・操作し、予約や購入などを代行できます。

1-2. 仕組みのポイント

  • 言語モデル「GPT-4o」を活用

ブラウザを操作するための追加学習を施した言語モデル「GPT-4o」を採用しています。テキスト入力だけでなく、ページのレイアウトやボタンなど画面上の要素を認識し、ステップを組み立てられます。

  • ユーザーが操作を命令 → AIが実行

例えば、次のような依頼をAIがブラウザを操作して実行します。

  • 「○月○日のA電車のチケットを取って」

  • 「○月○日17時~Bレストランを予約して」

  • 「Amazonで○○を探して、最安値を見つけて」

これらの依頼を受け取ったOperatorは、遠隔の仮想ブラウザを利用して実際にウェブサイトを開き、入力フォームやボタン操作を行います。
※仮想ブラウザ内でログインすれば実際に購入まで実現できます。

  • 安全面への配慮

誤った購入や予約を防ぐため、
“本当に購入しますか?”
“この日時で予約しますか?”
のように、Operatorは事前に最終確認を行います。

  • 制限とリスク

Operatorにはあくまで研究プレビュー版という位置づけがあり、対応サイトが限られています。また、ユーザーの意図したものと違う操作をする可能性、悪用のリスク、セキュリティ上の懸念などは十分あり得ます。
あくまでも、β版としての公開です。

  • 提供形態・価格

現在は月200ドルのProアカウントのUSユーザー向けに限定公開しています。今後のフィードバックを元に、段階的に機能拡張・一般公開される見通しです。
※VPN接続などでIPアドレスを変更すれば日本からでも利用できます。

2. 具体的な利用方法・活用シーン

OpenAIのOperatorの具体的な活用シーンについて、それぞれの領域での可能性と現実的な使用例を詳しく見ていきましょう。

2-1. 日常生活での活用

Operatorは、日常生活における様々な予約や購入作業を大幅に効率化する可能性を秘めています。
例えば、週末の旅行を計画する際、これまでは複数のサイトを行き来しながら、新幹線の時刻表を確認し、ホテルの空室状況を探り、観光スポット近くのレストランを予約するという一連の作業が必要でした。しかし、Operatorを使用すれば、これらの作業を一括して実行することができます。
具体的には、指定した予算と希望する時間帯に基づいて、最適な交通手段とホテルの組み合わせを見つけ出し、さらにレストランの予約までスムーズに行うことが可能です。また、日用品のオンラインショッピングでは、複数のECサイトを横断して最安値を探し、適用可能なクーポンを自動で見つけ出し、より賢い買い物をサポートしてくれます。将来的には、これらの予約情報をカレンダーアプリと連携させることで、より手軽にスケジュール管理が実現できます。

2-2. 仕事の雑務対応で活用

Operatorは特に出張準備や経費管理の効率化に大きく貢献します。
例えば、複数の社員の出張手配を行う場合、それぞれの予定に合わせて最適な交通手段と宿泊先を自動で探し出し、会社の経費規定に準拠した予約ができます。また、Web上の業務システムへのデータ入力作業も大幅に効率化されます。例えば、ECサイトの商品登録や在庫管理、価格更新といった定型的な作業を自動化することで、より創造的な業務に時間を割くことができます。経理業務においても、領収書データの確認や支払い条件の比較など、これまで手作業で行っていた作業の多くを自動化することが可能になります。

2-3. ビジネスでのリサーチ活用

情報収集と分析の分野でも、Operatorは特に強力なツールとなります。
市場調査や競合分析において、複数のウェブサイトから必要な情報を自動的に収集し、整理することができます。例えば、新製品のローンチに向けて市場調査を行う場合、競合他社の製品情報、価格帯、顧客レビューなどを効率的に収集することが可能です。
また、特定のキーワードに関する情報を複数のニュースサイトやSNSから定期的に収集し、市場動向やトレンドを把握することもできます。
※現時点ではSNSなど認証が必要なサイトでの活用には一部制限があります。

  1. ウェブでの情報収集の自動化

    • 新製品リサーチ、競合分析など

    • リサーチ結果のまとめ、グラフや表の作成は別途ChatGPTとの組み合わせで行う

  2. SNS・ニュースサイトの定期チェック

    • 指定したキーワードに対して、複数メディアでの言及やトレンドをモニタリング

    • ただしログインや複雑な操作が必要なSNSの場合、現時点では制限があるかもしれない。

3. 実際に使ってみた

実際に「Operator」を使ってみたので紹介します。
「ナッツの詰め合わせをAmazonで買う」ようOperatorに依頼したケースを例に、実際にどのような流れで処理が進むのかをわかりやすく解説します。

依頼から買い物カゴに入れるまでのフロー

実際の利用画面
  1. 指示

    • 「ナッツの詰め合わせをAmazonで買ってください!」とOperatorに依頼。

  2. Operatorによるブラウザ操作

    • すると、ユーザーの代わりにAmazonサイトを開き、検索バーに商品名「ナッツの詰め合わせ」を入力。

    • 日本語のため検索がヒットせずAmazonから推奨された「Nuts Craving」をクリック。

    • 結果から条件に合いそうな商品を探し、詳細を確認。

    • 商品をカートに入れ、必要があれば購入手続きへ進む。

    • 決定的な購入処理の前にユーザーに最終確認。

  3. ユーザーへの確認・処理実行

    • Operatorは「本当に購入しますか?」などの最終確認を行う。

    • ここでユーザーがOKを出すと、Operatorが実際に購入処理を進める。

※今回の事例ではUSサイトのため、ログインが完了できず、購入には至りませんでした。具体的な流れは下記の動画から確認できます。

4. 「Operator」が抱える課題

現状の「Operator」の最も大きな課題は、ウェブサイトの認証システムとの相性です。Operatorは多くのウェブサイトで「ロボット判定」に引っかかってしまいます。例えば、Amazonでの買い物やホテルの予約時に表示される「私はロボットではありません」という確認画面(CAPTCHA)を、AIだけでは突破できません。このような場合、ユーザーが手動で認証を行う必要があり、完全な自動化という理想からは距離があるのが現状です。

また、複数のサイトを横断する作業も、思ったほど滑らかではありません。例えば「新幹線を予約して、到着駅近くのホテルも押さえて」という依頼。これは人間なら当たり前にできる一連の作業ですが、Operatorは各サイトでの認証やログインが必要になるため、途中で何度も人間の介入が求められます。結果として、むしろ手動で行うほうが早い場合も少なくありません。

そして、現時点では、完全に対応しているサイトが限られています。
特に、セキュリティが厳重なサイト(銀行やクレジットカードの管理画面など)では、そもそもOperatorの利用が制限されています。また、日本語サイトでの動作も完全ではなく、英語圏のサービスが中心となっているのが現状です。

5. おわりに

OpenAIのOperatorは、まだ研究プレビュー版という位置づけながら、すでに私たちの日常生活やビジネスシーンに大きな変革をもたらす可能性を示しています。
確かに、認証の壁やマルチタスクの制約、インターフェースの制限など、現状での課題は少なくありません。しかし、これらの課題は技術の発展途上であることを示すものであり、決して本質的な限界ではありません。

現時点では米国のProユーザーに限定された提供ですが、今後の技術発展により、認証の問題やインターフェースの制約は徐々に解消されていくでしょう。そして、誰もが手軽にOperatorを活用して、デジタルタスクの煩わしさから解放される未来が、確実に近づいています。
私たちは今、インターネット上の作業を、より効率的に、より賢く、そしてより人間らしく実行できる新時代の入り口に立っています。
Operatorは、その扉を開く鍵となる技術となるはずです。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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