web3技術で広がる新しい農業のカタチ:石高プロジェクトで今年も新米購入
福島県西会津町で進行中の、お米×web3をキーワードに活動する「石高プロジェクト」。今回、新たに実装された機能「クレジットカード決済」を利用してお米を購入してみました。
今回は、その体験と石高プロジェクトの魅力についてお伝えします。
石高プロジェクトとの出会い
私が初めて石高プロジェクトを知ったのは、昨年、2023年夏に西会津町が発信したプレスリリースを見たことがきっかけでした。
西会津町という豊かな自然と伝統的な稲作文化が息づく美しい町が、人口減少や農業の担い手不足といった課題に直面している中、web3技術を活用して地域の活性化と持続可能な農業を目指す取り組みに挑戦しています。
その独創的なアプローチと、私の運営する農業web3コミュニティ「Metagri研究所」の取り組みとの親和性を感じ、プロジェクトの公式サイトやSNSアカウントをフォローし始めました。情報を追うほどに、この取り組みの意義の大きさと、関わる人々の熱意を感じるようになりました。
アプリリリースでコミュニティの広がりと交流が加速
石高プロジェクトでは、2023年8月にモバイルアプリをリリースし、参加者の利便性をさらに高めました。アプリ上では、自分のNFTの管理や、石高コインの獲得状況の確認、米手形の交換申請などが簡単に行えます。
また、プロジェクト参加者同士のコミュニケーションも活発化しています。現在、Facebookグループには約500人のメンバーが集まり、農作業の情報交換や、イベントの告知、収穫の喜びの共有など、楽しい交流が行われています。
私もアプリをダウンロードし、Facebookグループに参加しました。すると、普段は接点のない農家の方々や、同じ志を持つ参加者との対話が弾むようになり、プロジェクトへの愛着がより深まっていくのを感じました。
クレジットカード決済導入で参加のハードルが低く
そんな中、2024年に新たなニュースが飛び込んできました。石高プロジェクトが、クレジットカード決済を導入したというのです。これまでは、ブロックチェーンや暗号通貨に馴染みのない方にとって、プロジェクトへの参加のハードルが高く感じられたかもしれません。
しかし、この新機能により、誰でも簡単にお米を購入できるようになったのです。私も早速、クレジットカード決済を利用して、新米の予約注文を行ってみました。従来の方法に比べて格段に手続きがスムーズで、驚くほどスピーディに決済が完了しました。
ブロックチェーンで可視化される貢献度
クレジットカード決済後、私のアカウントには「米ボード」という移転不可のNTT(Non-Tradable Token)が付与されました。石高プロジェクトでは、ブロックチェーン技術を用いてこうしたNTTを発行し、コミュニティ内での貢献度を可視化しているのです。
米ボードは、お米の事前購入による農家支援を表すNFTの1種です。一方、農作業のボランティアやイベント参加などの非金銭的な貢献に対しては、「人足ボード」というNTT(Non-Tradable Token)が発行されます。そして、これらのNTTを一定数集めると、「米手形」というNFTを獲得できるのです。
つまり、米ボードと人足ボードを通じて、農家へ金銭的・非金銭的な支援を行った参加者は、その貢献度に応じて、「米手形」というNFTを通して実際のお米を受け取れるという仕組みです。
このシステムは、農業におけるリスクを参加者で分散し、収益の安定化を図る新しい試みだと言えます。ブロックチェーン技術を活用することで、透明性の高い貢献度の評価と、スムーズな価値交換を実現しているのです。
課題を乗り越え、さらなる発展を
もちろん、石高プロジェクトにも、まだ改善の余地はあります。アプリのUI/UXのさらなる向上や新たな農家の参加促進など、取り組むべき課題は少なくありません。
しかし、プロジェクトを率いる長橋幸宏氏をはじめとするメンバーの方々は、こうした課題にも真摯に向き合い、一つひとつクリアしていく姿勢を見せています。彼らの情熱と行動力があれば、石高プロジェクトはより大きな可能性を開花させていけるはずです。
「お金」を超えた価値交換の実現へ
石高プロジェクトが目指すのは、「お金」を介さない新しい価値交換の仕組みの創造です。お米という現実の資産を価値の基準とし、それをブロックチェーン上で記録・交換することで、地域経済の活性化と、伝統文化の継承を図ろうとしているのです。
将来的には、西会津町で生まれたこのモデルを他の地域にも広げ、各地の特産品を結ぶ物々交換ネットワークへと発展させたいと長橋氏は語ります。それが実現すれば、私たちは「お金」という抽象的な価値尺度から解放され、より直接的で実感の伴う価値の交換を日常的に行えるようになるかもしれません。
未来を変える一歩を踏み出そう
石高プロジェクトは、先進的なデジタル技術と、古来からの農業という営みが融合することで生まれる、新しい可能性を体現しています。それは、西会津町という一地域の取り組みでありながら、日本の農業全体、ひいては私たちの社会の在り方そのものに示唆を与えてくれます。
皆さんも、ぜひ、石高プロジェクトに参加してみてはいかがでしょうか。
クレジットカード決済による新米の予約購入は、その第一歩となるはずです。都会の私たちが、西会津町の農家の方々と新しいつながりを築くことで、持続可能な農業と地域社会の実現に貢献できます。
そして、石高プロジェクトを通じて、web3技術の可能性と、それが拓く未来の社会の姿を、自分ごととして感じてみてください。私たちが一歩を踏み出すことで、新しい価値観に基づく経済が動き出すのです。
一人ひとりの小さな行動が、やがて大きなうねりとなり、日本の農業、ひいては社会全体に変革をもたらす――。そんな予感を胸に、私は今年も、石高プロジェクトで育まれた新米を心待ちにしています。
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。
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