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身体図式とは何か?

おはようございます🌞
本日も臨床BATONにお越しいただきありがとうございます!
397日目を担当する、理学療法士のシミーです!

私の記事では、臨床10年の経験をもとに、患者様のことをどのような視点で考えていくのかということをメインにお伝えしています。How towよりも、“考える”という部分にフォーカスした内容になっております。私自身が臨床で理解できなかった経験からどのように考えていけば解決の糸口が見えてくるのかということをお伝えしていきます!興味がある方は是非最後まで読んでください。

本日のテーマは『身体図式』です。抽象的で分かりにくいものですが、臨床の中でどのように繋がるのかを明確にしていきたいと思います。

○身体図式とは?

重力を基準とした自己の身体が空間における位置関係を知覚すること

標準理学療法 専門分野 神経理学療法学 吉尾雅春・森岡周著 医学書院 p221

無意識に前提となっている自分の身体の姿勢に関する手続き的知識である。身体の動きとともに予測的にダイナミックに更新され、頭頂葉―前頭葉の連携で感覚統合的に形成される。

リハビリテーションのためのニューロサイエンス ―脳科学からみる機能回復― 浦川将他 株式会社メジカルビュー(2015) p68

私たちの行動は、対象との空間的な位置関係をたえず調整し、周辺環境との関係において、自らの姿勢や動作をそのつど調整しています。

つまり、空間と自己身体の関係性を表す知識が身体図式なのです。

これが、私たちの行動の中で重要になってくる理由となります。生活を送る上で人間だけでは完結できません。

人間が存在している空間があるためその中で身体がどのように調整され、それが変化しているのかを把握することは大切になるのです。

空間と身体の関係性を表してどのように行動に結びつくのかと言いますと、人の行動は物理現象により成り立っています。物理現象を成立させるために身体図式が必要になるのです。

どのような物理現象かと言いますと、目的とする行動が効率的に行えるということが原則としてあるのです。何のためにかを突き詰めるとこの部分にたどり着きます。何気なくコップの水を飲むという行動でも、複雑な神経メカニズムがあるということを知っておくことで臨床の視点が広がります。

そして、地球上で生活している上で欠かせないことは、重力の影響です。

定義にもあるように「重力を基準とした」とあるのは、必ず重力下での活動をしているからです。

さらに、身体図式は「常に自らを尺度」として、四肢の運動や姿勢の変化を認知するという部分が重要になります。外部の“何か”ではなく、自らの現在の体位の知覚を尺度として、自己身体の空間的な変化を内的に捉えるための基準が“身体図式”なのです。

身体図式は大脳皮質に記録されている過去の基準であり、その過去の基準と現在の体位や四肢の運動との比較によって現在の体位が認知できるのです。

例えば、階段を上り下りするときや、物を掴むときには、自分自身の身体の位置や形状を正確に認識し、それに基づいて適切な動作を行うために必要になります。

ちなみに、身体イメージ(body image)は、その名の通り、自己身体にのみ関する知識のことをいいます。

「私は、身長170cmで、痩せ型である」という表現は身体イメージです。そして、身体イメージは大きく変化はしません。


○身体図式の形成

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