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新会派「つなぐ長浜」お話会@ヨコタ農園

2022.8.17
長浜市議選で初当選された北川あきひろさんと村山さおりさんのお話会に参加しました。会場は、高時川の氾濫で農作物が大きな被害を受けた高月町馬上のヨコタ農園さんが運営する「Farm cafe Lian」。
 会の前半は、二人が結成した新会派「つなぐ長浜」の発表や、選挙の振り返りについてお伺いしました。
 後半は、横田夫妻から農作物の被災状況の報告を受けました。聴講者として参加されていた参議院議員の嘉田由紀子さんからは「流域治水条例」を制定した当時の知事としての知見や、見えてきた制度の課題について。被災地となった地元選出県議の柴田清行さんからは、繰り返される被害の状況や補償問題について、また丹生ダム中止問題についての地元民としての考えなど、国政や県政の視点を交えた発言もあり、非常に学びの多い2時間でした。
 市議になって間も無く発生した災害にいち早く反応され、被災された方の声を直接聴かせていただける場を作ってくださった市議の2人に感謝申し上げます。
 当日来られなかった皆さんのご参考になればと思い、メモ用に書き起こした議事録を共有させていただきます。2時間分なので長いです。音声はこちら。暮らしの合間に聞いてみてください〜
https://onl.sc/vn3Ls1H(後ほど、動画もアップされるようです。)
北川さん=北、村山さん=村、横田さん夫妻=横夫、横妻、嘉田さん=嘉、柴田清行さん=柴

●北川、村山両市議からの報告

1)新会派「つなぐ長浜」について
北:組織、地盤のない私たちが当選した。市民は今までとは違う新しいものを求めていると考えた。「つなぐ」という言葉には、「市民の皆さんと市政をつなぐ」とその繋ぎ役に我々がなりたいという思いを込めた。

2)市議会の役割、市議会議員の仕事について
<解説動画を鑑賞>
北:市民が市議会に訴える方法として「請願」と「陳情」という方法がある。
「請願」は、議員が同意、署名をして、市議会や委員会に訴えを紹介する。
「陳情」は、紹介議員がいない場合でも、市議会に意見を伝える手段。
いずれも、ネットで検索するとフォーマット用紙がある。市民が市議会に訴える重要な手段としてチェックしてほしい。

3)市議会議員の仕事についてどう理解しているか。
北:市長がアクセルなら、市議はそれをチェックし改善させていくブレーキのような存在。
村:長浜市には、総務教育常任委員会、健康福祉常任委員会、産業建設常任委員会などがある。https://www.city.nagahama.lg.jp/cmsfiles/contents/0000000/686/yakuinitiranR4.8.10.pdf
そのほかにも役割があり、それぞれ担当はありながらも、皆さんからいろんな声を聞かせていただく中で、それを議会に上げて、少しでも良い方向に変えていくのが議員の仕事だと思っている。
また、今回の災害があったことで、様々な学びをさせていただいている。いろんな方々にお会いし、お話を聞かせていただくのがまずは大事な仕事と思っている。
北:本会議で行う一般質問の内容は、皆さんの声。皆さんと顔を合わせて、話をして、それをもとに一般質問の内容を決めていきたい。その情報共有をしていく、これがすごく大切なことだと思っている。

4)市議会議員に立候補した動機
村:数年前から市民活動を通して、選挙に出てほしいという声を周囲からかけられるようになった。その中で、地域には男尊女卑の考え方、例えば子育てなど何かあれば女性が責められたり、女性が表に出ていくと「派手がましい」と言われる、そういう考えがまだまだ残っていることを感じていた。
私が出ることで、4年後「私も出てみよう」と思ってくれる人が続けばいいという思いで、お金をかけない、しがらみのない選挙をしたいと思った。時間とお金のある人だけの選挙じゃないと示したかった。
北:5人のお子さんを育ててきた村山さんが当選したことはすごく意味が大きいこと。女性の母親目線は、男性陣が気がつかないこと。必要なことだと思う。
北:僕は「リーファ」という音楽活動をしてきた。コロナ禍でも、感染症対策ライブを企画し、コンサートや、よさこい、8校21団体参加する軽音の演奏会も開催した。
何より嫌だったのが、学生の発表の機会がなくなること。学校に講演にいくと、食事の時も真っ直ぐ前を見て黙食、一言も喋らない。放課後も友達同士わいわいしたいのに、我慢して帰宅する。
その姿を見た時、この子たちが楽しい思い出もないまま、進学や就職でこの街を離れたら、この街に愛着を感じることができるのか、と思った。愛着を感じることができなかったら、それは大人のせい。僕が地元に帰ってきたのは、子どもの頃、役者として曳山まつりにでた時に、大人たちが我が子のように接してくれた。子ども心にこの大人達の期待に応えたいと思った。それが自分のアイデンデンティティの一つとして根付いた。僕が子どもの時にそう思わせてくれた大人は40代。今、僕は44。その役割を果たすのは自分じゃないかと思った。
村:私も、子どもの時にどんな人に出会ったり、どんな経験をしたかというのが、その子どもの育ちに影響すると思い、子ども食堂をやってきた。この人のために頑張りたいな、この人に褒められたい、と思える大人に子どもたちはどれだけ出逢えているんだろう。地域のコミュニティ、コロナでさらに薄れ、分断されてきている。大人が一緒になってどれだけ頑張ってくれるか、自分のために何をしてくれているか子どもは見ている。子どもたちに、大人が夢を語り、希望を語り、楽しいことをしている姿を見せることが大事なことだと思っている。

4)「先生と呼ばないで」
北:僕らは皆さんに教えてもらう側。「先生」と呼ばないで。僕のことは北川さん、アッキー、村山さんは、村山さんでも、さおりんでもいい。そういう関係性の方が声を聞きやすいと思う。


●高時川氾濫の被災状況について


お話しされる横田さん

1)高月町馬上の農家横田夫妻からの報告
横夫:僕自身はここの集落出身ではなく、養子。過去にも逆流があった。何かことあるごとに逆流してくることが気になっていた。まったく使えない田んぼというのが3枚くらいある。
しかし今回は、過去経験したことのない規模の逆流。水位もあった。田んぼの通常は排水になっているところから、逆流してくる。
なぜ、こんなに水がつくのかと思っていたら、ある人に「遊水池ではないか?」と言われた。上空からの映像など見たが、確かに逆流した水が農地に溜まっていく。だが、僕の農地が「遊水池である」と教えてもらったことはない。
農家の収入保険に入っているが、過去の5年の販売金額を基準にして、該当年の販売金額を90%下回ると保険が出る。数年前の台風で、ハウスが被害をうけた。今回も稲のもみの中に泥が残っていれば、籾摺りをした時に終わってしまう。
毎年、被災を繰り返し、収入が落ちれば落ちるほど、算定が厳しくなっていく。僕らの農地がもし「遊水池」であるなら水が入ってくるのがわかっている場所。下流の被害を防ぐという機能があるなら、それが起こったときに、算定方法が他の地域と同じであるのは平等ではないと感じている。
人は助け合い、認め合い、尊重し合うもの。もし、農地に水が溜まらず、下流に流れていき氾濫したならそれは悲しいこと。補償について、県や市の農政課からの連絡はまだない。
市の職員さんは現地確認しにきてくれたんかなと思った。流されてきた漂流物を息子や従業員がほぼほぼ撤去した。自治会からの要望があって職員や消防は動いていたと聞く。今日、市職員2人きてくれて「自治会から要望があった」と聞いたが、「遅いよ!」と思ってしまった。避難指示が出た時点で、自治会の要請を待たずに動いてほしい。

横妻:今まで、何年に1回か氾濫したとかではない時でも、川の水が多いなと思っていると田んぼの排水溝から逆流して農地に水がついてしまうことは何度もあった。植えたばかりのブロッコリーが浸かってしまったり、やはり水に浸かると病気になってしまう。なんで逆流するのか、ここで生まれ育ったがまったくわからなくて、今回初めて「霞堤」という言葉を聞いた。
これまで「どうにかしてほしいんや」という気持ち今まであったが、今回声に出してみて、聞いてくださった方が動いてくださった。市の職員さんも田んぼに調査に来てくれると聞いている。感謝している。
河原の水、ここにずっと住んでいるが、見たことないくらい酷かった。うちは田んぼだけですんだが、大見の集落で車庫が流されたという知り合いもいる。上(流)の人でも酷い被害があったと聞いている。いろんな人の声を聞いていただければと思っている。

2)嘉田由紀子参議院議員(元知事)の発言
嘉:私がなぜ知事になろうと思ったかの一つに、あらかじめ洪水の想定される霞堤の中に、住宅街ができているところがあった。かつて洪水がおき、人が死んだところ。本当に危険なところに新興住宅地ができている。しかも、土地を売る人はその危険を知らせずに新住民が住んでいる。日本中多い。これをなんとかせねば行政の犯罪だと思った。
まずは、危険性を確実に知るために、大きい川だけでなく、小さい溝や下水道も溢れることがあるのでそれを全て含めて、200年確率で最悪の場合を想定し、危険な箇所を調べ、ハザードマップを作成し、周知した。
流域治水条例を制定した当初、滋賀県では不動産取引の際の周知は努力義務だったが、2020年8月から、国で法律として義務化された。危険箇所を知り、賢く安全に住まいしようというのは、流域地水条例の出発点。
その中に確かに霞堤もあった。滋賀県では命が危ないところ、3メートル以上最悪の場合、水が着くところが50箇所ある。50箇所をまず水害の警戒区域に指定した。そこで、住宅をかさ上げする、あるいは避難所を作るという時に、補助金を入れるということで、命を守るという助成制度を考えた。
ただ、農地については、決着はついていない。
それが今回の横田さんの被害。
私は現治水条例を作り、国全体で広げようとしている立場から、下流を結果として守るために、農地が水についてしまって被害が起きたということは、これは次の仕組みを作らなければいけないと思っている。
河川、田んぼだけではない。溢れた原因には山の荒廃もある。これまでは守っていた水が守れなくなってる。
例えば、いくら高い連続堤防を作っても溢れることはある。その時に堤防を高くすればするほど、この溢れた際の被害は大きくなる。丹生ダムを作れという話もあった。京都、大阪、兵庫の利水ダムの予定だったが、下流はもう水は要らないといって撤退した。治水ダムでは1000億円かかる。滋賀県の負担は300億。滋賀県全体で毎年予算は50億ぐらいしかない。1級河川だけで500本以上ある。2400キロ。その予算を高時川だけに300億円使うわけにはいかない。税金を投入する優先度などを考え、1人として納得いかないこともあると思うが、全体としてやらなければならないことを収めていくのかということも議員としてのやるべきこと。
でも、何よりも横田さんがこれまでもずっとブロッコリーがダメになる、米の収穫がというところで耐えていただいたことを、今回、改めて知らせていただいた。
これは、市の責任というよりも県管理の河川。農業も全体は県。やはり県に頑張ってもらわなければいけない。県と国が仕組みを考えていかなければならないと思っている。避難や緊急の復旧は市の役割。
私も全力を尽くさせていただき、しっかりと前例を作っていきたいと思っている。

柴田清行県議員(滋賀県議会議員:農水常任委員会所属)の発言
柴:今回の横田農園の水害に関しては、人災だ。僕はそう思っている。霞堤から溢れた水です。滋賀県は21ヶ所霞堤があるのを認めている。この地域にも、いんみょうじ橋のところに大きな霞堤がある。県道を含めた霞堤は県に1ヶ所しかない。
横田さんの地域も霞堤として滋賀県が認定している。本来は補償制度を作るべきだったと思う。10年前、県が流域治水条例を唱えた時に、私は市議会議員をしていた。その時に、長浜市からは、農地に対する補償制度を作るべきだという意見書を文書として出した。
現状、流域治水条例は努力義務から内容は変わっていないので、今のままでは補償はありません。
今回水害で、22件の床上浸水被害が長浜市内ではあったが、最高額25万円の支援金が出る。これは県が3分の2、市が3分の1という形で、15日、県の方で決定をさせていただき、市にも伝えた。
社会福祉協議会からも義援金が合わせて出ると聞いている。ただ、農地に関しては申し訳ないんです。今のところ制度がないので補償はない。
この霞堤から、溢れた農業被害に対してどのようにするのかというのは議論をさしていただきたい。補償については、今日の話を私も参考にさせていただいて、今後県政の委員会にいかしていきたい。
嘉田さんから、山が崩壊してるという話あった。特に丹生ダム予定地、40年間何もいなかったので、山の整備されていない。それは酷い。だから今回、泥水も流木もたくさん出した。竹生島の方にもたくさん入ってどうしようもない。多分、4、5千万円かかると思う。前回の3、4年前の台風22号、あの時の改修費用も3000万ぐらいかかった。それも含めて、県としてもしっかりと対応していかなきゃいけないと思っている。
丹生ダムの中止、嘉田さんは1000億円と言われていたが、現在700億円使ってしまっている。これはこれはもう事実ですから。それで、これからも道路の補償、丹生ダム予定地だった県道中河内ー河合線、大きな被害も出ている。これにも何十億では済まない工事費を当てなければならない。特に高時川の瀬切れ対策一切できていない。対策をしようと思ったら、これも300億円近い費用がいると言われている。そこらへんがどうなるかという部分では、丹生ダム問題も含めて、県営ダムを作れという話もありますし、色んな問題があるということを提案して、今回終わりにしたい。

●まとめ
村:先日、恵風会の被災地視察に連れて行っていただいた。先輩議員の松本長治さんに色々教示いただきながら、土木専門用語などわからないことがたくさんあった。
だが、「あの時こうしておいたらよかった」というのは不毛な話なので、これからどうしたらいいか勉強して建設的な話をしていきたい。
エキスパートの知見を得ながら、私も一市民として、市民一人一人が市民力をあげていくことが必要。予算書、決算書の読み方、人権など多分野で知識の底上げをしていくことが大事だと思っている。政治と暮らしはつながっている。自分達が関心を持って、気づくこと。みんなで学び、関心を高め、政治に口を出していく。私もみんなと一緒に学ばせていただきたいと思っている。

北:知識の薄い人間なりに感じていること。僕はダム建設推進派でも反対派でもない。その土地の状況によると思っている。個人的に、趣味でダム見にいく。黒部ダム、姉川ダム何度も見に行っている。ダムカード、どこに行ってももらえる。プライベートで、群馬県の八ッ場ダムに行った。村がいくつも沈み、線路も付け替えてダムを作る国家プロジェクト。賛否両論あったが、最終的にダムを作った。2019年10月12日、大雨があった。その翌月に八ッ場ダムに行った。当時、SNSでは八ッ場ダムが下流を救ったと話題になっていた。両翼300mある広大なダム。平日だったこともあり、地元の人が犬の散歩をしていた。
僕が、先日の洪水を見て見に来た。このダムすごいですね。このおかげで下流が救われたということですか?と聞いた。その人は、「結果的にはそうなりますね」と言った。その人は沈んだ村に住居があった人だった。元は反対していた人だった。ただ、その人が住民説明の時に言われたのは、利根川の下流は昔は水田と溜池が多かった。水田が7〜10センチ受け止めるなら、ダムはいらなかった。
でも首都圏、住居になってはいけないところ、下流で都市開発が行われ、受け止められなくなった。
だから、このダムが必要だと説明を受けた。だから、我々は生まれ育ったふるさと手放してもでもダムは必要だと最終的に合意した。
八ッ場ダムの場合は、下流が水田と溜池だったところ住宅地になってしまったからダムを作った。丹生ダムに関してはダムを作った方がよかったのか、今回の結果は変わらなかったのか今はわからない。今ダムがあるわけじゃないから。これがダムをもう一回作るということなのか、河川工事をしないといけないということなのか、決着がついて、それをスタートして出来上がるまでって10年でも済まない。
その間に、また大雨必ず来る。今我々がすべきことは今困っている人を助ける、それが補償。
霞堤と県が認識されている箇所があるのであれば、固定資産税の減免など施策が必要だと思う。
治水のことなど、これから僕も学んでいかなければならないなと思っている。
今日も午前中、村山さんと下丹生を視察に行った。田んぼは泥だらけ。もう再開できない、続けられないと言う声を聞いた。今回の洪水で、高時川の川底が上がっている可能性が非常に高い。さらに、洪水が起きやすい状況になっている。台風、大雨のたびにヒヤヒヤしなければならない。そのことに対して、我々がどう助けることができるのかをまず考えていかなければならないと感じた。率直に、当事者の声を聞くと思う。市政でできること、僕らも頑張っていく。県、国のお力も借りたいし、市民の声を上げていってほしい。

▽止め

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