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天狗のハナクソ
昔働いていた職場に、藤田さんという女の人がいた。
藤田さんは噂好きで、話をかなり盛る人だった。結構あることないこと言いふらされたりして、ムッとしたこともあったけど、仕返しが怖いのでいつも黙っていた。
そして超美人の川口さんという女の人がいて、藤田さんは美男美女が好きなので、川口さんを溺愛していたが、なぜか仕事をすごく押し付けていた。何度か川口さんから藤田さんの事で困っていると相談を受けた。そのことだけが原因ではないけど、結局川口さんはやめてしまった。やめてからも、時々店に遊びに来ていたけど、藤田さんのいる日は決して来ないのだった。
竹沢さんという口が悪いけど、江戸っ子っぽくて憎めないキャラクターの男の人がいた。
ある時、藤田さんが仕事のことで憤慨しており、かなり興奮していた。
すると、少し背が低めの江戸っ子竹沢さんは、少し背の高い藤田さんを見上げて、
「藤田さん、ハナクソ浮いてるよ」
といった。藤田さんは
「え!?もぉ〜やだ〜!!」とうろたえていた。
わたしは心の中で大爆笑した。
(正直日頃のうらみがあったので、はじめてスカッとしていた。)
だけどここは、一応女同士。誰にもそのことは言わなかった。(ほんとはめちゃめちゃ言いたかった)
数日後、わたしは川口さんと高尾山に行った。
お土産やさんに行った時、「天狗のハナクソ」というお菓子が売っていた。
それを見た時、先日のハナクソ事件を思い出し、川口さんに面白おかしく話した。(もう職場にいない人なのでセーフと思った)
川口さんも爆笑していた。
そして意地の悪いわたしは、このお菓子を職場にお土産で買って行ったのだった・・。
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