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【考察・仮面ライダークウガ】第2回「封印エネルギーって、なに?」

『仮面ライダークウガ』において、クウガが必殺技で使用するとされる『封印エネルギー』。

 時に『封印パワー』とも表記されるこの力だが、具体的な設定は現在に至るまで開示されていない。その名前からおそらく古代の戦士がグロンギを封印するために用いたものだろうということは推察できるが、それすら直接言及されておらず「古代の戦士がグロンギを封印した」「クウガは必殺技で封印エネルギーを送り込む」という二つの情報から「この封印エネルギーという物で封印したんだろう」と思われているだけなのだ。

 もちろん『封印エネルギー』という名前で封印に無関係とは考えにくいのでそれで間違ってはいないだろうが、「これでグロンギを封印した」と明言したら「じゃあなんで今は爆発してんだよ」と言われてしまうと判断したのか、「封印エネルギーで封印した」とハッキリ言及されたことは(私が確認した限りおそらく)ない。

 このようにクウガの資料にはほぼ必ず記載されながら、具体的な情報は皆無に近い謎パワー……それが封印エネルギーなのである。

 結果として書籍には「封印エネルギーによって大爆発」とか「封印エネルギーで怪人を死に追いやる」とか「封印エネルギーで大ダメージを与える」とか意味不明な文面が並ぶこととなった。封印ってなんだよ

 そんなわけで今回は封印エネルギーの正体と、それに伴って封印というギミックそのものや、なぜ現代ではグロンギが爆発しているのかについて考察していく。


【封印エネルギーとは】

 上記の通り、クウガが必殺技に使用するエネルギーのことだ。

 クウガにおける必殺技とは、マイティフォームの右足や特殊形態の専用武器に封印エネルギーを集中させ、その攻撃によって怪人『グロンギ』の身体に封印エネルギーを注ぎ込むことを指す。

 必殺技を受けたグロンギの身体にはリント語で『鎮』を意味する文字がまるで炎のような形で浮かび、この『封印マーク』から封印エネルギーがヒビ割れのように伸びていき、これがグロンギのベルト『ゲドルード』に到達すると(大抵ゲドルードがひび割れる等の破損が生じ)グロンギは爆発。身体が木端微塵になって死亡する。

仮面ライダークウガ「EPISODE 2 変身」
グムンの身体に浮かぶ『鎮』を意味するリント文字(封印マーク)。
仮面ライダークウガ「EPISODE 6 青龍」
封印エネルギーが伝わりヒビが入るバヅーのゲドルード。
仮面ライダークウガ「EPISODE 8 射手」
真っ二つに割れるバヂスのゲドルード。

 このように『封印』といいつつ『死亡』させてしまうのが封印エネルギー最大の謎だ。

 この爆発自体はグロンギが行う殺人ゲーム『ゲゲル』における『制限時間内に目標を達成できなかった場合のペナルティ』として元からゲドルードに搭載されている時限爆弾機能とされており、クウガの封印エネルギー自体に相手を爆発させる効果があるわけではない。
 事実、ゲドルードを持たないギノガ変異体は必殺技を受けても爆発しなかったし、古代では全てのグロンギを封印している。

 ではなぜ現代では封印エネルギーが時限爆弾の起爆に繋がってしまうようになったのか。

 古代の時点では爆発機能は無かったのか?

 はたまた爆発機能はあったが古代の時点では封印エネルギーには反応しなかったのだろうか?


【仮説1・古代では爆発機能が無かった】

 まず古代の時点では爆発機能が無かった(=現代で追加された)可能性について。

 これは正直考えにくい。
 なぜなら長野の九郎ヶ岳遺跡近辺で復活したグロンギ達はその場では一時解散し、バラバラに動いて東京で再集結してから準備を整えてゲゲルを開始しているのだが、東京で集結する前にクウガと戦ったグムンやメビオも爆発しているからである。

 爆破機能が後付けであるなら復活したグロンギ全員に一律で爆破機能を追加できるのは最初に目覚めたラスボス『ン・ダグバ・ゼバ』が全グロンギを復活させたタイミングしかなく、封印が解けて目覚めたばかりの何の準備も無い状態でいきなり全員に新機能を搭載できるとはちょっと考えにくい。

 まあ復活させたのは全能とも言えるダグバなので、どうとでもできそうといえばできそうだが……この起爆装置はゲゲルの進行役を務めるラ・バルバ・デが専用の起動キー『ゲゲルリング』を用いて作動させているので、「復活時にダグバが急遽追加した」よりは「もともとゲゲルのルールに存在していた」と考えた方が自然だろう。

 となると「爆発機能は古代の時点で存在したが、封印エネルギーには反応しなかった」ということになる。

※一応「時限装置を起動させるバルバが起動の際に封印エネルギーに反応するようにしている」とする説もあるが、グムンやメビオはもちろん正規の手順を無視して勝手にゲゲルを始めて爆死したザインの存在からこれも考えにくい。


【仮説2・封印エネルギーの作用が変化した】

 爆発機能が古代の時点で存在したのなら、次に考えられるのは「古代と現代で封印エネルギーが変化した」可能性だ。

 ネット上では「古代の戦士には殺意はなかったが、五代には殺意があったから封印ではなく爆殺になった」という話が事実のように広まっているが、私が確認した限り公式の資料でこのような記述は見られないため、おそらく根拠のない憶測だろう。

 しかし『仮面ライダーアートコレクション ヒーロー編』の58ページ、クウガの足裏のデザイン欄には「必殺技のマイティキックではここから封印エネルギー(思念)を送り込み、怪人を死に追いやる」という文章がある。

 これは封印エネルギーがどのような物なのかについて多少なりとも具体的に触れた貴重な一文だ。封印エネルギーの正体が『思念』であるなら、変身者が変わった五代のクウガでは封印エネルギーの作用も変化しているとしても不思議ではないかもしれない。

 だが実はこれも考えにくい。

 というのも霊石が使用者の意思を汲むからと言ってクウガやグロンギの変身システム上、設定されてない物は出てこないからだ。

 五代がいくら「空を飛びたい」と願った所でクウガは飛べないし、金のゲドルードがなければダグバも本来の姿にはなれない。マイティフォームの拳で封印エネルギーを打ち込みたいと思ってもおそらく不可能だろうし、逆に五代が知らなくても右足を当てれば自動的に封印エネルギーは打ち込まれる。
 イレギュラーなライジングフォームもあくまで電気ショックという外的要因があったからこそ発現したものであり、電気ショックが無ければいくら五代が望もうがライジングフォームにはなれなかっただろうし、ライジングフォームは前回触れた通りおそらくアルティメットフォームの力なので「クウガに無い機能がいきなり出てきた」わけでもない。

 このように五代自身がどう思っていようがクウガの機能そのものを変えることはできないのだ。

 ならばクウガの必殺技からは『封印するための思念エネルギー』しか出ないと考えられる。だからこそグロンギを爆死させている事実がありながら資料に載る名称はあくまで『封印エネルギー』だったのではないだろうか。

 また2013年に刊行された『小説 仮面ライダークウガ』においても「五代のやったことは封印のためのエネルギーの注入である」という記述がある。

正確には雄介のしたことはキックによって封印のエネルギーを注入しただけだが、そのエネルギーが彼らのベルトに反応して爆発するようになっていたため、結果的には殺戮と同じになった。

荒川稔久; 石ノ森章太郎. 小説 仮面ライダークウガ (講談社キャラクター文庫) (p.16). 講談社. Kindle 版.

 この記述は一条視点のものであり「なんで一条さんにクウガの必殺技の仕様が分かるんだ?」というやや不自然なものだが、逆に言えば「多少無理矢理でも載せたほどの情報」とも考えられる。
 小説シリーズの内容を公式資料とできるかは微妙なラインだが、執筆を担当したのはクウガのメインライターを務めた荒川氏であり、執筆中はクウガの監督の一人である鈴村氏に連日問い合わせしていたらしいので、信頼性は高いと言えるだろう。

 五代と先代の封印エネルギーの扱い方の差については他にも「五代は封印エネルギーの扱いが下手なので封印エネルギーを過剰注入した結果爆発させている」という話も流布しているが、もし封印エネルギーの出力の問題であるなら敵の強さが個体毎に違うのに「爆発する=パワーが過剰」「封印マークを打ち消されてしまう=パワーが足りない」の2パターンのみで「封印できた=パワーが丁度いい」というケースが存在しないのは不自然だし、やはり根拠は一切ないためこちらも憶測の域を出ない。

 そもそもクウガ側の変化が原因なら、必殺技で封印されず爆発するようになったことについてグロンギ側に何等かのリアクションがあってもいいようなものだが、劇中ではクウガの必殺技で爆発するようになったことについてグロンギたちが何かを気にする様子もなかった。

 よって「古代でも現代でも封印エネルギーの作用に差はなく」かつ「爆発機能も古代からあった」ことになる。

 以上のことから消去法で、グロンギが封印エネルギーで爆死するようになるには「ダグバが他のグロンギを目覚めさせた時に、ゲドルードが封印エネルギーでも起爆するように仕様変更を加えた」くらいしか考えられない。

 そして、これに関して考察する上で一つ興味深い物がある。


【高エネルギー】

 クウガの最強形態である『アルティメットフォーム』だが、超全集最終巻76、77ページ記載の『アルティメットフォーム大解剖』という記事では『血管状組織』の説明に「必殺技に使用する高エネルギーを各部に送る血管状の器官」という文が存在する。「必殺技に使うエネルギー」といえばそのまま『封印エネルギー』を指しているものかと思われるし、実際そう解釈して記載しているネット情報も少なくないが、これがどうにもハッキリしない。

 同ページ内には『腕部』と『肘』の説明にも同様に『高エネルギー』と呼ばれる物を使うことが記されているが、3項目に渡って計5回も名称が出ているのにそれら全てが『高エネルギー』という表現で統一されている。封印エネルギーであるなら、そのまま『封印エネルギー』と表記しそうだし、複数あるならそのいずれかで『封印』というワードが絡んでも良さそうなものだ。

 また『腕部』の説明ではアルティメットフォームはこの『高エネルギー』を放つから通常のパンチがアメイジングマイティキック以上の威力だとされているため、アルティメットフォームと等しい存在であり同等の戦闘力を持つと思われるダグバもまた同じ原理で強いはずであり、もし『高エネルギー=封印エネルギー』であるなら「ダグバも封印エネルギーを使っている」という不自然な状況になってしまう。

 では、『高エネルギー』は『封印エネルギー』とは別の力なのか?

 ここでヒントとなるのが『仮面ライダークウガ COLLECTION BOX』収録の『THE ART OF KUUGA[仮面ライダークウガ デザイン画集]』に記載された『アルティメットフォームのキックで浮かぶ文字 案』だ。

 ここには「アルティメットフォームによるキックでダグバの体には、いつもの「鎮」ではなくグロンギの「殺」をリント風に直した文字が浮かぶという設定を受けて進められていた文字」という一文と共にいくつかのリント文字のアイデアが記載されている。
※掲載ページを記すべきなのだろうが、この本ページナンバーが振られてないので何ページなのか分からない……(数えようかと思ったが最初の白い紙はページ数にカウントするのかよく分からないし、結局本の方にページ数が載ってないとここにページを書いても照らし合わすことができないので断念)。とりあえず「後ろから四枚捲ったところの『超古代文字のデザイン』のページ」とだけ記しておく。

 この文章は「劇中では未使用」の言葉で締められており、これが「殺のリント文字のデザインが未使用(設定自体は残っている)」という意味なのか「設定自体が未使用(つまり没設定)」という意味なのかは不明だが、なんにせよこの発想から読み取れることは、封印エネルギーは用途を変えられるということである。

 つまり『封印エネルギー』とは「封印のための専用エネルギー」ではなく「高エネルギーに封印の思念を付与した物」と考えられるのだ。

 こう考えれば高エネルギーが「必殺技に使うエネルギー」なのに「一切『封印』とは記述されない」という不自然な状況にも説明がつくし、ダグバが同じ理屈で凄まじい戦闘力を持っているとしてもおかしくない。

 効果が変わる(かどうかは触れられていないが『鎮』が『殺』に変わって同じ効果ってことはないだろう)とリント文字が変わるというなら、やはり『鎮』のリント文字だった五代クウガの必殺技にはグロンギを爆発させるような効果は無かったという証明にもなる。

 そして、この「封印エネルギーは高エネルギーの属性変化である」という説を裏付けるような描写も、劇中には存在している。それが第35話、トラウマ回と名高いジャラジ戦のライジングタイタンだ。


【EPISODE 35 愛憎】

「被害者の恐怖を煽って精神的に追い詰めてから殺す」というあまりにも悪辣なゲゲルを行うジャラジに対し、五代は激しい憎悪を抱いた。そして憎しみによって現れるアルティメットフォームが発現しかかり、異常に強くなったクウガはジャラジを惨殺する……というクウガで一二を争うトラウマ回として有名なこのエピソードだが、この戦闘シーンにおいてライジングタイタンの攻撃には謎の赤い光が発生している。

仮面ライダークウガ「EPISODE 35 愛憎」
斬撃の度に発生する謎の赤い光。

 封印マークを打ち込んでいることの表現かもしれないし、実際そう解釈して「ジャラジはいくつも封印マークを打ち込まれた」と思っている人も見かけるが、封印マークの演出は「当たった箇所に炎のような『鎮』のリント文字が浮かぶ」だけで「命中時に赤い光を発する」などということはこれ以前も以降もなかった。もちろん通常の攻撃においてもこんな光が発生したことはない。
 また背面からではなく命中した正面部分が映るカットでは切られた場所が実際に強く光っているのが確認できるが、このような一点が強く光る演出は普段「封印エネルギーが到達したゲドルード」に見られるもので、攻撃された箇所(封印マーク)自体に強い光りが灯ったことはない(一応ペガサスボウガンの空気弾は被弾箇所が一瞬光る演出が入る時もあるが)。

 そもそも封印マークを打ち込んだ場合は必ずグロンギの身体に封印マークが浮かぶカットが入るのだが、この時は謎の赤い光が映るだけで最初から最後まで封印マークは映らなかった。

仮面ライダークウガ「EPISODE 35 愛憎」
切った場所が光っているのが確認できる。
腹を裂かれるジャラジ。
ゲドルードではなく剣を刺した場所が光り、刃に合わせて胸から腹へ移動しているのが分かる。
このシーンからそのまま爆発が起こり、最後まで封印マークが画面に映ることはなかった。

「視聴者に配慮して血しぶきの代わりに赤く光らせている」という可能性も無きにしも非ずだが、クウガは出血演出にちゃんと血のりを使う。ここ以外は「グロンギの身体に炎のような封印マークが浮かび、そこから光のヒビ割れがゲドルードに伸び、到達するとゲドルードが強く発光。間もなく爆発する」という演出で一貫(初期はヒビ割れが光って無かったり若干安定しなかったが)しているのに、この時だけ「斬撃の度に赤い光が発生し、ゲドルードではなく切った場所が強く発光。封印マークが浮かばないまま爆発する」という明らかに違う演出が行われていることを考えると、おそらくそういった配慮ではなく「この時だけ何かが違う」という意図を持ってのものだろう。

 ならこの赤い光こそが、アルティメットフォームの説明に登場する『高エネルギー』なのではないだろうか。高エネルギーとして使っていると封印マークが現れないという状況は、上述の考察とも合致する。
※封印エネルギーでないならジャラジが爆発したのは変では?とも考えられるが、封印に限定せずクウガ側のエネルギー全般に反応する、直接爆破装置を破壊されたせいで爆発した、自爆装置ではなくクウガの高エネルギーで吹き飛んでいる等、矛盾しない解釈はいくらでもできる。

 また、この回ではライジングタイタンの前にマイティフォーム、タイタンフォームも使用されたが、これらの形態ではこの赤い光は見られなかった。

仮面ライダークウガ「EPISODE 35 愛憎」
撮影の角度的に「当てたフリではバレてしまうから」とマジで殴ってたことで有名なシーン。
赤い光は見られない。
ビートゴウラムで運搬中、タイタンフォームの反撃(追い打ち)。
やはり赤い光は発生していない。

 後の40話における五代の「物凄い力が湧いて一条さん達が傍にいるのに赤の金を使おうかと思った」という旨の証言から、学生が保護されていた箱根分駐所での戦闘(=マイティフォーム)の時点ですでにアルティメットフォーム化は起こっていたと思われる。

 なのに攻撃手段が『拳』だったマイティ、タイタンフォームでは赤い光が出ず『剣』だったライジングタイタンでは赤い光が出ているということは、やはりこの赤い光は封印エネルギーの代わりに出ているということだ。

 封印マークを打ち込むための機能で封印エネルギーと全く関係ない物が出るとは思えないので、この『赤い光』と封印エネルギーはクウガにとって同じ扱い、同質のエネルギーだろう。

 アルティメットフォーム化しかけたこの時だけ封印エネルギーが『同質だが封印能力を持たない別のエネルギー』に変わっており、アルティメットフォームの説明には『必殺技に使うのに封印エネルギーではない謎の「高エネルギー」』が登場している。

 この状況を考えれば、あの赤い光が件の『高エネルギー』であり、「封印エネルギーはその高エネルギーに封印能力を付与したもの」である可能性は非常に高いと言えるのではないだろうか。

 実際に発現したアルティメットフォームとダグバの最終決戦においてはこの赤い光は発生していないが、これもアルティメットフォームやダグバにはそもそも『攻撃で敵に思念エネルギーを送り込む機能』が無いからだと考えれば矛盾はしない。


【封印の原理】

 以上の事から封印エネルギーの実態が「高エネルギーに封印の『思念』を乗せたもの」と解釈すると、色んなことに説明がつく。

 まずクウガやグロンギの能力は腹部に埋め込まれた『霊石』によるものであり、霊石は宿主の意思を反映させる……ということは劇中で述べられた通りだが、それに対し封印エネルギーの封印作用が『思念』によるものだとするなら、すなわち封印の原理とは「封印の思念を高エネルギーに乗せてグロンギに送り込むことで、グロンギ自身の霊石に宿主を仮死状態するよう命じる」というものであると考えられる。

 そしてこのような「エネルギーを介して他者の霊石に命令を送る外部入力の技術」が存在すると仮定すれば、ダグバがグロンギを目覚めさせた時の雷のようなエネルギー放射も同様の物として説明が付くし、「ゲドルードに仕様変更を加えた」という仮説にもより説得力が生まれる。ダグバが他のグロンギを目覚めさせる際に放った雷状のエネルギーはなぜか赤と青の二色になっているのだが、これも『封印解除』と『仕様変更』の二種類の命令を送っているという演出のように見えてくる。
 クウガも序盤では設定が固まりきっていない所があったようだが、すくなくとも封印マークがゲドルードと反応して爆発する様子は初撃破の時点ですでにあったため、封印関連の設定は最初から決まっていたと思われる。であるなら、『ダグバの二色の雷』にも何か意味があったとしてもおかしくはない(なにせ異常に作り込みが細かいクウガだし……)。

仮面ライダークウガ「EPISODE 2 変身」
この時点では封印マークから伸びるエネルギーが体色に近い色なので非常に分かりにくい(右が赤でなぞった画像)が、『封印マーク』『マークから伸びるエネルギー』『割れるゲドルード』がこの時点で確認できる。
仮面ライダークウガ「EPISODE 1 復活」
天に上る雷。ダグバの周囲を舞うプラズマ?らしき玉。両手の雷。全て青白い。
ゲドルードに手をかざし、地中の他グロンギに向けて雷状エネルギーを放つシーン。ここで急に赤と青の二色になる。

 また、もしこれが事実でありダグバがそういう能力を有していたとするなら、封印エネルギーも「グロンギの模倣であるはずのクウガがグロンギに無い謎パワーを使っている」という不可解な物ではなく「グロンギが持つ技術を封印に応用したもの」として合理的に説明できるのだ。
※クウガがグロンギを参考にしているのは高寺プロデューサーのツイートで言及されている。

 さらにネットにある『戦隊・ライダー:怪人まとめ@ ウィキ』のゲゲルリングの記事には「クウガの持つ封印エネルギーと同質の物を注入する」という記述が存在する。

 残念ながらこの記事には情報ソースの記載がなく、私はこの情報がどこから出た物なのか裏は取れていないのだが(オフィシャルデータファイルに載っているという話は目にしたがバルバの項目を買っても載っていなかった。誰か該当資料教えて……)、もしこれが事実であれば爆破機能へのエネルギーを介したアクセス手段が元から存在していたことになり、「封印エネルギーはグロンギの持つエネルギーを介した霊石への外部入力技術を封印に転用したもの」というこの仮説を一層裏付ける根拠となり得るだろう。


【結論】

「封印エネルギーの正体はアルティメットフォームの説明に出てくる『高エネルギー』に『封印の思念』を乗せたもの」

「エネルギーを介して他者の霊石に命令を送る外部入力技術はグロンギ側にもともと存在していた(時限爆弾の始動に使われていた可能性あり)」

「クウガの封印はこの技術の応用であり、グロンギの霊石に封印の思念を送り込むことで仮死状態にさせていた」

「現代で封印エネルギーが爆発に繋がるようになったのは、ダグバがこの技術で他のグロンギを目覚めさせる際、クウガの思念エネルギーを感知した場合も起爆するように仕様変更したため」

 これが劇中の描写や設定に矛盾せず、かつ色んな謎に説明がつく封印エネルギーの実態となる。

 というわけで封印エネルギーの考察でした。

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