『スマブラfor Wii U』が遺した"呪い"
ジャマアローラ!ととととです。
先日は一流ゲームクリエイター・桜井政博さんのYouTubeが衝撃のラストを迎え閉幕しましたね。新しいチームでの開発もスタートしているということで、次回作に大変な期待を抱きます。
そんな完全無欠の桜井政博伝説は数多く存在しますが、そんな彼が各所で自身のポリシーを話す中で、一部の人間には常に脳内にノイズとなり続けているものがあります。
それが2014年に発売された『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U』というゲームです。
そのゲームによって何がノイズとなっているのでしょうか?
当時の記憶と今もなお抱いている感情を組み合わせながら、
ガチ主観で書き連ねていくことにしましょう。
主観なので、情報の間違い以外の文句は受け付けません。2017年以降新たに明らかになった情報についても考慮しません。
よろしくお願いします。
全ての発言の説得力が全撤回!
まず、具体的にノイズって何?何をそんなに敵視しているの?という話。
まずは桜井氏の近年の活動を振り返ってみましょう。ここ数年(2年前に全部終わってたが)は概ねYouTubeでの活動でしたね。
そのちょっと前は『スマブラSP』の監修と共に、ファミ通でコラムを執筆していました。
スマブラの監修はいったいおいておいて、それ以外の2つといえば概ねやっていたことは「氏が"思うこと"の吐露、"ゲーム作るには"どういう情報が必要なのかの共有」。まぁ「氏の思考の公開」が主だったと思います。
多くの情報はためになる内容だったと思います。実際の製品を見比べたり、開発途上のものと製品版を比べての良しあしを比較したり…などなど。
ただし、『スマブラfor』をプレイした選ばれし悪のオタクはこの語る内容に対し不信感を抱きます。
なんで?というのも、「語っている内容が『スマブラfor』には適用されていない」ケースがあまりにおおく、しっかりとそれが面白く無さにつながっているからです。
「え!面白くないスマブラなんかないやろ!笑」と思っているアナタ!
幸せ者です。そのままでいてください。このままブラウザバックを推奨します。
実際に何が適用されてなくて面白くないのか。いくつか分類分けをして見てみましょう。
「物量勝負」は「悪」
『スマブラ for Wii U』の宣伝文句はズバリ「詰め込みすぎの究極乱闘」。
Wii Uというハードは任天堂機の中でも最も大容量なので、多くの要素を詰めることができました。
問題は、この「多くの要素を詰め込む」に全リソースを割いてしまったこと。「詰め込んだうえで何を楽しませるか」ではなく「詰め込む」という過程に力を注いでしまったということですね。
そもそも『スマブラfor』は、『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS』と『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U』の2機種同時開発で進行するというとんでもないゲームです。
ファイター数や性能は同じに設定していますが、それ以外のステージやモードはほぼほぼ別物です。
この2機種同時開発を売りにしたり、苦労話として語ることが氏はよくありますが、良くありません。
「質より量」はこの2機種同時開発にも同じことが言えます。
1つのゲームに全力を注いだ方がいいに決まっているんですから。
別の機種で同時に発売したことによる最大のデメリットは、もちろん
それがWii Uを殺した原因だからです。
Wii Uといえば、任天堂がゲーム事業に転向して以来最大の不振に陥った暗黒時代と言えるハードです。
私はWii U大好きなのでそういうことは言いたくありませんが、逃れられない現実です。
ゲーム機と言うものは、ソフトありきの存在です。
「○○が出たら買う」なんて人は多くいますよね。
このWii U、不振の最大の理由が「ソフトに恵まれなかったこと」です。
他社作品はともかく、任天堂IPですらWii Uだけを全無視したシリーズが多く存在します。
そして「○○が出たら買う」が最も機能するゲームといえば『スマブラ』ですよね。
あれ!スマブラはWii Uから出てるじゃん!と思った人、ここで思い出してください。
本作は「3DS版と同時開発」であることを。そしてゲーム自体は「3DS版が先に発売された」ことを。
そこまで人間単純ではないと思いますが、たいていの場合「スマブラが出たらWii U買う」+「3DS版が先に発売された」=「3DSで出たからもういらねえや」につながります。
事実、同作はシリーズの中で売り上げワーストを記録しており、確か日本国内でミリオンを達成してない唯一のスマブラだったんじゃないかなと記憶しています。
『スマブラWii U』が売れてないということは、それすなわち「Wii Uが売れてない」ことと同義です。
Wii U版は要素の数こそあれど、その大半が面白さに、ひいては売り上げに直結していません。
しかしゲームの不振にかかわらず、ゲーム大賞などでは賞を多く受け取っています。
その理由も要素数ありきの話です。誰も内容のことを話す人はいません。
「遊んでない / 浅いやつが必要以上に盛り上げている」事象に、遊んでいるユーザーは躍起になります。
物量重視により削がれた質
では、具体的に内容について触れていきましょう。
まず初めに「新キャラが増えることで、置き去りにされる旧キャラ」の存在があります。
スマブラといえば、今は何体でしたっけ、90を超えたくらいのファイター数がいるおかしなゲームです。
前作の時点でもファイター数は50は超えていて、十分おかしいです。
スチーーブ、ミンミン、ミシマを見ればわかる通り、スマブラは「新しいキャラほどコンセプトで勝負しだして、試合を壊すゲーム」です。
『for』の時点では最後のDLCであるベヨネッタが全てを破壊してゲームを消滅させて終わりました。
この傾向が最初に強く働きはじめたたのは、『for』の新キャラ軍団です。
『for』の面々は「しまう」「KOゲージ」「モナドアーツ」「リミットブレイク」など、変なゲージやシステムを持って来るひとたちが増えました。『X』までのキャラクターにはない要素であり(ワリオの屁とかはゲージが必要なはずなのに、最後まで無かった)、ネタ切れの象徴です。
そして、『64』から参戦しているようなファイターは、基本的にノータッチです。だいたいが『X』の据え置きで、変わったことといえばヨッシーの背骨、リンクの空上、カービィの切りふだあたりなどでしょうか。
ワリオに関しては、ショルダータックルが奪われるという始末。
「思うこと」動画や「つかいかた」動画でよく原作との比較の話をされていましたが、
意図的に原作を無視した要素もこの頃は多く、大変反感を買っていました。
音楽についても、擁護できない部分があります。
『スマブラDX』に収録されたBGM「神殿」。
『DX』の公式サイトで口すっぱくアレンジに指示を加えたエピソードを話していたこのBGMは、
なんと『for Wii U』では「メロディが誤っていたリテイク前バージョン」を収録する大失態を起こします。
ほかにも「フィギュア名鑑」では「魔王ガンドロフ」との誤字があったり、オールスター戦の一枚絵ではゼルダの土下座するガノンドロフのスクリーンショットが存在したりと、反感を買う要素がポツポツ。
こういった詰めの甘さの積み重ねが、『for Wii U』の評価をどんどん下げていきます。
極端な誇大広告はむしろマイナス
「詰め込みすぎの究極乱闘」と称して売った通り、このゲームは発売前の宣伝や発売後の作品評価に、誇大表現が多く存在しました。
最後の生放送ではとりあえず収録要素の数を羅列してドヤったり。上記の理由で「数を悪」ととらえたユーザーはみんな白目をむきました。
そんな誇大広告の中でも最も大きな存在と言えるのが、3DS版発売後どうにかしてWii U版を売るために公開した「スマブラWii Uがスゴい50の理由」という動画(現在はMiiverseの消滅を理由に非公開。転載動画を見てください)。
「3DS版にはないWii U版だけの魅力」を紹介する動画ですが、動画内で紹介された要素の多くが「『スマブラX』には存在し、『3DS』でいったん未収録になった要素」ばかりで、過去作ユーザーにとってはむしろ魅力を下げる内容でした。
3DS版になかった要素に対して「3DS絵動いてるのがまずすごいから、そこまで求めないよね」としていた要素を、あたかも本作新登場の特色で~すと言わんばかりに堂々紹介するものだから「スゴさ」は半減。
いざ新モードを紹介するとなっても、Wii U版の新モードはといえばスゴロクの「ワールドスマッシュ」や一人用の「オーダー」。3DS版に存在した多人数用モード「フィールドスマッシュ」が消失しているので、本当に魅力は少なくなります。
「シンプル」モードからはシンプルさがなくなりましたし、同じく新要素である8人乱闘をこれ見よがしにあらゆるモードにくっつけたおかげで、一人用モードは基本的に全モードが多勢に無勢のリンチで進行していきます。
ただでさえ「何が起こってる分からんうちに死んだ」ゲームの筆頭であるスマブラ。一人用モードは基本的にアイテムも容赦なく登場する状態で8人中7人が自分を殺しにやってきますから、よくわからんうちに死んでいます。
設定難易度を上げたからとか、そういう問題ではありません。純粋に楽しくないです。
「オールスター」モードは従来「相手が大勢登場する代わりに相手の強さは控えめにされている」モードであったりしますが、本作のオールスターでは「飛び道具には弱化の補正がかかってない」不具合が発生していました。高威力の爆弾が、リンチの合間に飛んできます。
理不尽に理不尽を掛け算するのはトーシロのつくったインディーゲームで十分です。助けてください。
不振→不審→不信
前述の通り、3DS版と同時開発を選び、3DS版を先に発売してしまったために、本体の牽引に失敗した『スマブラ for Wii U』。
しかしながら氏は「2機種同時開発」を評価点と思い込み、結果ではなく過程と努力で評価を得ることに心酔します。
スマブラの要素数と氏の経歴が勝手に説得力を生み出してしまい、Wii Uを買ってない側である「世間」は『for Wii U』を褒めたたえ、Wii U購入者はゲーム内容で苦しむし、Wii U支持者は購入者が増えないことで苦しむ地獄の構図が出来上がりました。
この終わっている勢力図に追い打ちをかけるように、『スマブラfor』のDLCが配信されます。
DLC近辺に際しては、ミュウツーの配信時と同時期に「アンケート集計拳!」という新ファイター参戦要望受付フォームが登場します。
このアンケートフォームも問題があり、普通に1ユーザーが複数票を投稿できる仕様になっていたうえ(先着1票しか受け取らない、みたいなことを後から言及していましたが、そんな制限は最初からフォームに直接つけとかんかい)、実際のアンケートフォームの消滅は当初期日としていた日の数日後にようやく閉じられるなどクタクタ感が出ていました。
しかも、アンケートフォームを締め切る前にリュウとクラウドの参戦が決定してしまいます。
ん?この時点で無効票がいっぱい生まれてしまいましたね。期間を考えてもこの2体がアンケートからの採用でないことは明らかですから、ますます「ユーザーをないがしろにしている」と、ないがしろにされてきた人たちだけが吠えます。
この2体を手放しで喜ぶ連中は、任天堂以外のゲームも好きな人です。Wii Uなんか買ってるわけないので、ないがしろにされていません。
Wii Uを買っているのは任天堂ファンだけなので、買ってない人に買わせるためには任天堂外のキャラを取り入れるしかないのでしょうがないのですが、我々狂った任天堂ファンはたまったものではありません。
自社ハードがピンチの時に、ライバルハードを象徴する"興味ない"奴が参戦するわけですから、燃え上がります。かつて彼に殺された64の怨念を勝手に背負う人が続出します。
『SP』ほど吹っ切れてしまえばもうすべてをあきらめきれるので何も思わなくなりましたが、『for』の時点ではまだ「任天堂オールスター」をパッケージ裏などで自称していたため頼みの綱を離せずにいました。
さらに集計期間内に、キングクルールや漆黒の騎士、クロムといった人気キャラクターのMiiファイターコスチュームが続々登場します。
誰もが「ああ、これはもう参戦しないことを明かした死刑宣告だ」と落胆します。
そして最後のファイターとしてベヨネッタが参戦し、その性能ですべてを破壊してゲームを終わらせました。
「実現と交渉が可能な範囲内で」世界集計第一位という言い訳がましいふるまいをお見舞いして、このゲームに終止符を打ちます。
そうして過激派任天堂ファンは木っ端みじんに破裂していき、光属性の"ライトな"任天堂ファンたちとは袂を分かつことを決めました。
後にこのアンケートの結果を踏まえてリドリーやキングクルール、ダークサムスなどの順当なファイターが『SP』に参戦していくことにはなりますが、2015、6年時点での彼らには関係のない話です。
最後に
そんなこんながあって、このゲームが遺した深い闇を払えずに、偉大なるクリエイター様を手放しでほめることができないでいる悪のゲーマーがまだけっこうインターネット上には存在していることと思います。
根っこは同じ任天堂を愛好する者どうしなので、優しくしてあげましょう。
疲れた体で適当に書き殴ったので変なところがいっぱいあるかと思いますが、気にしないでやってください。話は以上です。