[第2回のと未来カイギ]東大生が参加してみた
はじめに
こんにちは!8期ののせばんです。2024年8月11日(日)に能登町主催の第2回のと未来カイギが開催され、我々FS8期のメンバーから3人(かとぅー、のせばん、らぎ)が東京大学FS能登町支援チームとしてファシリテーター兼スタッフとして参加しました。
第1回に引き続き開催された第2回のと未来カイギでは「つくりたい10年後のまち」について老若男女がグループに分かれ話し合い、最後に能登の青空の下で参加者に共有する時間が設けられました。私たちがファシリテーターとして対話に参加して考えたことや感じたことを文字にして共有できればなと思います。
第1回の記事はこちら!👇
集合~入室
集合と同時に参加者、スタッフ全員に投げかけられた質問がありました。「里山・里海と聞いてどんなことを感じる?イメージする?」という問いかけに集まった答えは食べ物、風光明媚な自然、緩やかに過ぎる時間や祭りなどでした。カイギ前に抱いていたイメージがカイギでの交流を経てどんな見え方をするのか、書いた段階の私たちに知るよしはありませんでした。
アイスブレイク
8人程度のグループに分けられた参加者とスタッフですが、全員初対面かつ信条、性別、門地に出身もバラバラ。私の班には「能登町からほとんど出たことのないという主婦」や「生まれも育ちも能登町で今は金沢に住む男子大学生」、「Iターンで移住してきた定住促進協議会の女性」など今日このカイギでなければまず揃わなかったであろうバラエティーに富んだメンバーが集まりました。あとから8期の他メンバーに聞いてみたところ、彼らの班も同様に多様なメンバーが揃っていたそうです。
まずは自分が今関心を持っていることをグループで共有する時間が設けられました。自分が能登にくる理由となった事柄や能登の未来について、はたまた推しのプロ野球チームであったりと十人十色の興味関心を発表しあいました。
足りないもの、残したいもの
カイギの前半でまず参加者に問いかけられたのは「能登に欲しいもの、残したいものはなにか」という問いかけです。各グループごとにそれぞれの問いに対して意見を出し合いました。
私が強く感じたのは、老若男女問わず能登の人々の能登という土地、能登に生きる人への帰属心です。子供が遊べる場所を残したい、みんなで集まり繋がれる機会が足りないという意見が全てのグループで出たことに驚きを隠せませんでした。こういった意見が能登町に関わりのある多くの参加者からでたことに、いかに能登町の人々が身体的、精神的な「居場所」を求めているかが伝わってくるように感じられました。残したいものとして能登弁があがったことに強い印象を受けました。決して形に残るものではないものの能登に生きる人々の大事な文化であり、継承していきたいものであるのだなと思いました。
ショートブレーク
ここまで話し合い、一息つこうと小休止を挟みました。休憩時間に参加者に配られたのは信州白樺高原長門牧場のアイスクリームです。能登町に発災後すぐ入り支援を続けてきたOPEN JAPANさんにご提供いただきました。爽やかな風吹く丘の上の木陰で幸せなひとときを過ごしました。
小木地区で生まれ育った友人だというお兄さん方とこの時間をご一緒させていただきました。仲間同士で参加したにもかかわらず違うグループに分かれて参加していた理由を尋ねるとこんな答えが返ってきました。
私は目が覚めるような思いでした。能登に関わりのあるすべての人に感じていた帰属心や帰巣本能のようなものがどんな言葉よりも切に伝わってくる彼らの言行を受け止めることしかできませんでした。
「災害は地方のトレンドを加速させる。」という言葉を能登町復興推進課の灰谷さんが教えてくれました。それは過疎高齢化や、産業の衰退だけを意味しませんでした。人々が能登を愛する気持ちももっとずっと加速するものなのだと気づきました。
町の機能を維持・作るには何が必要?
カイギの後半で参加者に問いかけられたのは「足りないもの、残したいものを足らせ、残すためにはなにが必要になるのか」です。
先ほどまで話していた内容に関連し、またカイギで過ごした時間も相まってどこのグループも話が弾みます。「住んでいる人に良さを知ってもらう」「人とのつながりを大事にする」といったソフト的な提案から「民宿・ゲストハウスを建てる」「町の魅力を発信するHP」などといった目に見えるものまで、参加者同士で刺激を与えた末の思い思いの提案をし、我々8期メンバーがファシリテーターとして皆さんの意見を汲み取ってまとめて行き、最後の発表に向かいました。
グループ発表
いよいよ最後のグループ発表の時間になりました。能登で一番の青空の下、車座になって発表を見守ります。各グループ、本当に様々なバックグラウンドを持った方々がこのカイギの時間同席し、全員が共通点としてもつ能登の未来について全力で考え話したことを共有しました。
発表ののち、再び各グループに戻り全員が一言ずつ、今回のカイギを踏まえて自分が今後どう行動していくかについて話しました。
ここでの出会いがまた別の縁を生むことを願いながらカイギを共にしたグループメンバーと最後の時間を過ごしました。
参加した8期メンバーの感想
カイギに参加する前は、僕ら東京から来た学生がいきなり現れて町の未来を話し合うカイギを仕切って大丈夫なのだろうかと少し自信がありませんでした。しかし、参加者の皆さんは僕らを能登町を想う仲間として暖かく迎えてくださいました。それぞれ出自も年も町への関わり方も違うけれど、「大好きなこの町を守りたいしもっとよくしたい」という気持ちを共有していました。まだ数回しか能登を訪れたことのない僕ですが、だからこそ外から見た町の魅力や課題を考えて、町の方々と共有できたのかなと思います。同時に、参加者の方々がそれぞれの思いや問題意識を出し合い、ぶつけ合うことで新しい未来の形が浮かび上がっていくような気がしました。
カイギの冒頭で「里山・里海」について考えるアイスブレイクがありました。美しい自然や豊かな海の幸・山の幸を一見すると思い浮かべますが、本当に守るべき大切なものは、その里山・里海を愛し、その地で生きる人たちのコミュニティなのではないでしょうか。
また訪れて、もっと深く能登の人や土地の魅力を知っていきたいです。(かとぅー)
一番強く感じたことは、自分の住む・住んでいた能登町に思い入れをもち、その復興について話したいと思っている若い人がいるのかということでした。
様々な話をする中で気が付いたことの一つとして、大都市圏にすむ私にとって、都市は何を私に与えてくれるのかという評価軸によって一元的にその良しあしを評価することが多い物でした。しかし、ここ能登においては、それぞれがこの町のためには何ができるのかという視点に立って物事を考えることがとても多いのだなと感じました。自分自身が地域との向き合い方において自身を受益者とみなしていたことに気づけたのは新しい発見でした。
また、地元の良さ・悪さ、そしてその特徴というものは、近しいけども異なる文化とのずれによって初めて気づけることがあるのかもしれないなと、能登町出身で様々な所に住んでいる人たちの話を聞きながら感じました。
個人的には、ファシリテーターとしてはもう少しうまく回せたのではないかなという反省点がある一方で、能登町外の人という目線は提供できたため、その最低限の役割は果たすことができたのかなと思いました。
これからも、能登町で自分ができることを探していきたいと思います。(らぎ)
初めて行く場所に初めて会う人、そんな中でやったこともないファシリテーターとして参加することに不安があったもののいざカイギが始まってみると参加者のみなさんの温かさに触れ緊張はすぐに解けました。能登町にルーツがあるわけではない外部からやってきた人間としての視点を提供しつつ、能登町のみなさんの意見をうまくくみ取れるファシリテーターになれていたら嬉しいです。
今後も能登町を訪れる予定があるので次なる出会いを楽しみにしています。自分が能登町にできることを増やしていけたらなと思います。
(のせばん)
おわりに
今回ののと未来カイギの開催にあたり我々東京大学FS能登町支援チームにお声がけいただいた能登町復興推進課の灰谷さん並びに復興推進課のみなさま、そしてのと未来カイギの場において我々を暖かく受け入れてくださった能登町のみなさま、本当にありがとうございました。
我々自身も今回ののと未来カイギを通じて能登についてさらに知ることができ、深く関わっていきたいと思う気持ちが増しました。
我々東京大学FS能登町支援チームは今後も継続的に活動してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
(文責 8期のせばん)