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FS8期、残暑の現地訪問記録!~3日目~

こんにちは!のせばんです。3日目の活動について、ご報告です。

1,2日目についてはこちらから↓


宇出津市場での朝競り

 3日目は宇出津漁港での市場の朝競りを見学させていただくところから始まりました。市場いっぱいに並ぶブリ、ヒラマサ、サザエ、イカ、カレイ、カサゴ、サワラ、クロダイ、カワハギ、アジ、カニ...などなど能登の海の豊かさが全力で伝わってくる光景でした。

人だかりの中心で競りが進行中です

 朝競りは週六回、七時に行われ、現在能登半島でこれだけの頻度で競りをしているのは宇出津港だけだそうです。競りには地元の鮮魚店や飲食店、旅館の方などが集まっていました。目にも止まらぬスピードで進む競りに全くついて行けない私たちでしたが、最後の方には飛び交うコールも少し聞き取れるようになった気がします。競りでは能登町の旅館である百楽荘の料理長さんとお話することができました。この日はアカガレイの水揚げが多く良いものも多かったとのことで旅館の夕食もアカガレイが中心のものになるそうです。

この日水揚げの多かったアカガレイです

 また、昨年の11月6日に行われたカニの初競りでは300万円でこの料理長さんが加能ガニの最高級ブランド「輝」の第一号を競り落としたのですが、なんと旅館の予算オーバーのところを料理長さんのお財布で補ったとのことで驚きです。旅館のお客さんにどうしてもカニを味わってほしかったという熱い思いが伝わってきて、私も次に能登町に行くときにはぜひ百楽荘に泊まってみたい気持ちが湧き出してきました。(初競りはニュースに取り上げられるなど話題になり予算オーバーの分は取り戻せるほど好評だったそうです!)

漁港から海を眺めながら

 競りの見学後は、市場のすぐ外で宇出津港を眺めながら2日目にnoto painさんで買ったパンを食べました。打ち付ける波の音を聞きながらの緩やかに過ぎてゆく時間もまた、能登の魅力なんだと思います。

noto painさんのカメロンが絶品でした

能登高校地域産業課水産選択教諭 高山琳太朗先生

 朝競りの熱気も冷めやらぬ中、能登高校にて地域産業課水産選択の先生を勤めていらっしゃる高山先生に、始業前のお忙しい中で来ていただきお話を伺うことができました。地元能登町に仕事がないことが先生の一番の懸念だそうです。地震のあと、自分はやはり能登が好きだと思う生徒が増えたそうですが、地元での雇用の少なさを受け、高校卒業後に職を求めて金沢に出ていく生徒も多く、若い世代の流出が止まらないといいます。地震の悪い面だけを記憶するのではなく、プラスの側面も大事にして、いつかは能登町に戻ってきてほしいというのが先生の願いだそうです。能登高校の水産選択では、現在文部科学省のDXハイスクール事業の支援を受け、ITを活用したスマート水産業が行われています。生態系を荒らしてしまう駆除対象のウニを水槽で養殖し、その管理をカメラやセンサーで行い学校の教室からモニタリングできるようなシステムが導入され、生徒たちの探究学習に活用されています。こういった都会では得られない、能登町に根付いた探究学習ができる点が評価され、他県の高校生が能登高校に入学し高校生活を送る地域みらい留学という制度も存在し、毎年数名の生徒が留学に来るそうです。真剣な面持ちで高校生の未来について語ってくださった先生の表情からもまた、能登町を愛する強い気持ちが伝わってきました。

始業前に市場の片隅でお話してくださった高山先生です。
ありがとうございました!

能登町役場 総務課危機管理室長 道下政利さん

 充実の朝を過ごした我々が向かったのは宇出津の中心街、能登町役場の隣にある「コンセールのと」です。ここでは、地震発生後の最前線で動いておられた能登町役場総務課危機管理室の道下室長よりお話を伺うことができました。今までは報道でしか知らなかった震災の初期対応について詳しく知る機会をいただきました。前震の直後から役場で災害対策本部を立ち上げるまでの様子や、無限に湧き上がってくる課題を解決し続ける日々だったという発災後初週のお話など、能登町の災害対策本部の激動の日々について貴重なお話を聞きました。全てが変わってしまった元日以来、災害対策本部の心臓だったという道下さんが語ってくださった自分の代わりがいない辛さは想像に絶するものがありました。正解のない問いに自分なりの答えを出し続けなければいけない状況下を戦ってきた中で感じた課題や反省などについて、映像やデータとともに知ることで、私たちの災害への実感が鮮明なものとなりました。
 道下さんのお話を聞いたあとでは、町内の様子を見つめる我々の目線も大きく変わったように感じます。能登町役場に受け入れていただいている我々のプログラムとしての活動ですが、いただいたご縁をなんとか恩返しできるよう、道下さんが話してくださった「できることは全部やる」の精神で邁進していきたいと思います。

道下さんからは胸に秘めた故郷への熱い思いを感じました。
ありがとうございました!

あばれ祭運営改善協議会 会長 小浦肇さん

 続いて、能登町議会議員、そしてあばれ祭運営改善協議会会長の小浦肇さんにお話をしていただきました。

 小浦さんからは主にあばれ祭についてのお話を伺いました。宇出津の方々にとっては正月やお盆に並ぶ年中行事であるあばれ祭ですが、今年の元日の震災を受けて、祭りを開催している場合ではないのではないか、、という考えが町民の間で広まっていたそうです。数ヶ月経っても断水している地域があったり、道路のひび割れがそのままになっていたり、港周りでは浸水が発生していたり、、被災した現実を見ると、祭りをやれるのだろうか、祭りをやっていいのだろうか、という考え方になるのも無理はないのだと思います。

 そんな状況で、神事であり、伝統であり、そして地域の繋がりを強固にするこのあばれ祭りを、今だからこそ祭りを開催しなければならない、という思いで動き出したのが小浦さんでした。小浦さんは、なんとか祭を開催する方向に進めるべく、町の人々の声を聞いて回ったといいます。町の若者にとっては新鮮な楽しさであり開催したいと思う意見が多い一方で、高齢者の間では祭よりも復旧、復興を優先するべきではないかという意見もあり、このような意見の違いが存在する状況の中で、多くの関係者の方と協議・調整を重ね、あばれ祭りは実施されることとなりました。

以下のニュースもぜひご覧ください↓

 結果として、7月に無事に開催されたあばれ祭では宇出津全体が熱気につつまれました。厄年の人が松明を奉納するしきたりがあったりするなど、毎年行うことに大きな意味があるのがあばれ祭りなので、町で暮らす方のために祭りを開催する、という目的にむけて戦略的に動いた小浦さんの体験談は、日頃から合意形成などに悩む我々にとっても示唆的で勉強になるお話ばかりでした。

 余談ですが、今年のあばれ祭りでは、私たちも担ぎ手として参加させていただきました。その経験ができたのも、小浦さんをはじめ多くの関係者の方のご尽力のおかげであると思うと、感謝の気持ちでいっぱいになりました。その時の報告についてはこちら↓

お祭りについてアツく語っていただいた小浦さんです。
ありがとうございました!

能登のお魚を能登でいただく(大衆 紅寿し)

 ものすごく濃密な午前中を過ごした我々が昼食のために向かったのは宇出津のお寿司屋さん、紅寿しさんです。紅寿しさんでいただいた新鮮で脂の乗った美味しいお魚の味は忘れられません。朝一で見学した市場の競りでの光景を思い出し能登の雄大な自然への感謝が溢れました。お昼は能登町役場復興推進課の灰谷さんや能登町定住促進協議会のみなさまとご一緒させていただき、能登町の未来についてお話する時間となりました。

紅寿しさんの海鮮丼です。あら汁も本当に美味でした!

厚生労働省DMAT事務局 増留流輝さん

 美味しい海鮮丼でお腹を満たし、コンセールのとに戻った我々は今回の訪問で最後となるヒアリングに臨みました。7月の現地訪問の際にあばれ祭で一緒にキリコを担がせていただいた、厚生労働省DMAT事務局で救急救命士の増留流輝さんにお話を伺いました。Disaster Medical Assistance Teamを縮めたものであるDMATは、災害発生の超急性期(発災から72時間以内)に災害現場に入り、一人でも多くの命を救うべく活動する医者と看護師、そのマネージメントをする業務調整員の5人1組のチームで構成されています。今回の令和6年能登半島地震では、1139チーム、延べ5000人以上が派遣されたそうです。誰よりも早くDMAT事務局として能登町へ入り本部を立ち上げた増留さんが直面した課題とそれをどう解決したかについて、ケースごとに体験談を語ってくださり、大規模災害の現場でどのような問題が起こるかについて知ることができました。避難所での新型コロナウイルスの集団感染や、被災した透析患者をどう金沢などの被災地外まで運ぶのかという対応のお話、DMATチームを必要としている避難所や施設にどう采配し分配するのか、現在どこでどのような問題が起こっているのか、などの分析等の統括として能登町の急性期を医療や福祉の方面から支えた増留さんのお話を伺い、災害が発生した時に現場でどのようなことが起きるのか、そして、それにどのように対処すればいいのか、災害国家である日本人の1人として、今後自らの身にも起こりうる可能性が十分にある大規模災害に対する、大きな学びになったように思います。

激動だったという発災後1ヶ月間のお話を伺いました。
ありがとうございました!

 そして最後には、今回の訪問を通じて伺った災害や事業、祭りについてのお話を受けて、我々8期メンバーが感じたことや今後の目標について話す時間を設けました。そして、3日間の充実した活動を終え、能登町を後にしました。

コンセール前にてみんなで!

終わりに

 本当に学びの多い3日間となりました!私たちの今後の活動については、またこのnoteやInstagramでご報告したいと思います。3日間の活動で、お世話になった全ての方に心より御礼申し上げます。

 そして、我々が東京に帰った翌日に能登半島を豪雨が襲いました。

 この度の豪雨被害で被害にあわれた方々に心よりお見舞いを申し上げます。私たちももボランティア活動などを通じ継続的に支援してまいります。皆さまの一日でも早いご再建をお祈りしています。


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