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FS8期、残暑の現地訪問記録!~1日目〜
こんにちは!8期のおみです。
9/18-20の3日間、私たちFS8期と能登町支援チーム代表(7期)の志賀さんの計7名で能登町の現地視察に行ってきました。その様子についていくつかの記事に分けレポートします!
現地視察の目的
7月の現地訪問にて能登町に触れすっかり魅了されたFS8期。今回の現地訪問で目的としたのは、町の方にじっくりとお話を伺う機会を頂き、それを基に自分達の軸となる活動を決めること・町民の方々との関係を強めることです。私達はこれまでも単発での能登町PRイベントの運営などで活動してきましたが、年間を通して行う活動については決まっていませんでした。そこで、能登町で事業を行っている方、避難している方等、能登町で生きる人々の現状をお話を聞き、自分達の活動の方向性づけの参考にしたいと考え、今回の現地訪問に至りました。
ではまず一日目から!🦑
出発
羽田空港8時55分発のANA747便にてのと里山空港に向かいます。このフライト、飛行時間が一時間未満ととても短いのですが、そんな中でも海や空の深い青の後に里山の濃い緑の中に着陸していくコントラストが美しく、能登に行くたびに感動します。こんなところでも能登の雄大な自然を感じることができますね。個人的には色々なフライトに乗ってきましたが、お気に入りの一つです。
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この羽田-能登便ですが、2024年10月27日からダイヤ変更で少しだけ離陸着陸時間が変更となるみたいなのでANA公式サイトもチェックしてみてください。
サルビアロード 〜道の駅桜峠〜
道中、両脇に真っ赤な美しい景色が。
これは「サルビアロード」で、珠洲道路の中斉地区から道の駅桜峠までの区間の両脇に、約4万本のサルビアが植えられている場所です。
ちょうどのと里山空港から能登町中心部にある宇出津に向かう際に見ることができます。一本道の両脇に赤が輝く気持ちのよいドライブができます✨ぜひ楽しんでみてください!
空と海の青、山々の緑、サルビアの赤。能登町に来ると、様々な自然の色にあふれ、そんな彩りのある風土にとても惹かれています。
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途中、道の駅桜峠にも立ち寄りました。能登の名産がたくさん置いてあるので、皆さんもいらした際は寄ってみてくださいね。
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ケロンの小さな村 村長 上乗秀雄さん
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能登町のみなさんからは上乗「先生」と呼ばれているそうです。
一番最初にお話を伺ったのは、「ケロンの小さな村」村長の上乗秀雄さんです。「ケロンの小さな村」は、宇出津に向かうまでの山間にある自然体験村です。ツリーハウスやターザンロープ、ブランコ、ピザ窯でのピザ作り体験など、大自然の中で思い思いに心身を動かすことができます。
上乗先生はかつて耕作放棄地だったこの土地を切り開き、遊具の設計や維持まで基本的に全てご自身で行っていらっしゃいます。また、生産された米粉で作ったパンを販売する等、6次産業化に取り組んでいらっしゃいます。そんな上乗先生に、事業のこと、震災のこと、能登町の未来について伺いました。
「もう終わりかと思った」~被災~
1月2日、震災の翌日に上乗先生がケロンを見に行くと、シンボルの石窯をはじめとした様々な建築物は壊れ、周辺の山では土砂崩れがひどく入山禁止となる等、大変な状況だったそうです。
これだけの施設を自力で作った上乗先生のパワーを持ってしても、「ケロンももう終わりにした方が良いかもしれない」と思ったそうです。 しかしお孫さんの「僕もじいちゃんと一緒にやる」という言葉で奮起し、例年通り4月6日のオープンにこぎつけました。
これからの能登町~課題~
そんなパワフルな上乗先生。事業をご自身で開かれたからこそ聞ける、能登町での事業・経済・生活の課題についてお話していただきました。
①高齢者でもモチベーションを持てる6次産業化
能登町では定年退職を迎えた60代・70代が帰ってくることが多い中で、土地所有者が多い土地柄もあり、半分以上はそのまま一次産業に従事するそうです。しかし、そうした方々の趣味がなく、活力がない様子を間近で見てきたそう。
そこで、既存の土地を活用してすぐ行うことのできる1次産業をより高度化し、外部へ出ていく・つながる活躍の場を作ること、付加価値の高いものを売ることで生きがいをつくる。つまり、ご自身が取り組まれてきた6次産業化により、高単価な商品の販売に取り組むことが有効と考えているそうです。
②6次産業化に必要なマッチング
ではその6次産業化に何が必要なのでしょうか。上乗先生は人々・企業間のつながり=マッチングを挙げます。例えば、一次産業で生産されたものを販売するために流通チャネルを確保する、などの工夫が求められますが、そこではこれまでにそのようなビジネスをされている方や事業者の知見や助言が必要です。
そして、そうしたマッチングに能登町役場など公的な立場からの支援が必要とおっしゃっていました。また、マッチングまでいかなくとも、誰かの成功例の共有など、中立的な立場である行政だからこそできる役割に期待しているとのことでした。
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ありがとうございました!
震災で大きな被害を受けながらも奮起した上乗先生。事業拡大の構想もお話しいただき、これからのさらなるケロンの発展が楽しみです。
農事組合法人のとっこ 上野さんご夫妻
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続いては、能登町の特産品「のとっこしいたけ」を生産されている、農事組合法人のとっこの上野さんご夫妻にお話を伺いました。
のとっこしいたけは、菌床しいたけの品質を競うサンマッシュ品評会にて2020年2月には全国996品の中から最優秀賞を受賞されており、誰もが知るような東京の超有名店から「のとっこさんじゃないとだめなんだ」と選ばれる絶品しいたけです。
のとっこさんでは、ケロンと同様に、加工品「おかずしいたけ」の商品開発と販売など、生産したしいたけの6次化に取り組まれています。上野さんご夫妻にも、震災当初の話や事業の課題について伺いました。
被災からの再生、そして課題
のとっこさんのハウスや作業場にも、甚大な被害がありました。菌床ブロックが置いてある棚が崩れて入れない状態になったハウスがあったほか、ハウス内も菌床ブロックがほとんど落ちてしまい、廃棄になってしまったそう。しかしそこからの復活を目指し、クラウドファンディングを活用して200万円以上を調達し、菌床ブロックを買いなおす資金としたそうです。
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同時にお話から、いかにしいたけ栽培が難しいか学びました。
こうして事業を再開することができたのとっこさんですが、今も困っている課題が費用面と人手不足とおっしゃっていました。
出荷などの作業を行う作業場ですが、被災し公費解体されることになっています。その再建にあたり、6次化において重要な加工場を追加して建設するのかが悩みであるそうです。事業拡大に向けて規模を大きくするのか、実費となるためコストを考えあきらめるのか、、大変難しい決断をしなければなりません。
そして、ハードが整備されたとしても困るのが働き手の不足です。収穫・仕分けを担当していた熟練の働き手の方が震災をきっかけに辞めてしまったそうで、その分を代替できず生産拡大のハードルになっているそう。多くの需要がありますが、すべてに答えきれないもどかしい現状があるとのこと。また、これから生産だけでなく加工場も作り規模拡大するとなった場合、新事業を取りまとめるリーダー的存在が必要になります。そうした人手を確保できる保証がなく、踏み切れないとのことでした。
これらの解決策として、DXを挙げており、東大生開発してくれん?との激励もいただきました。収穫の目利きはマニュアル化や人の教育が難しいため、完全なロボットによる収穫は難しいそうですが、将来的なDX化はとても夢のある話だなと思いました!上野さんにいただいた素敵なアイデアの種からプチディスカッションして、お開きとなりました。
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そして立派なしいたけの数々に感動しました、、!
ありがとうございました!
軽食@DOYAコーヒー
お話を伺った後は、休憩として宇出津にあるDOYAコーヒーさんへ。DOYAブレンド、自家製能登ブルーベリーミルク、自家製赤崎いちごミルク、自家製ちそジュース(しそのことを能登では「ちそ」と呼ぶそうです…!)をいただきました。
当日はかなり暑かったので、美味しさが染み渡りました🥺まゆ穂さん、ありがとうございました!
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ついつい長居したくなってしまいます
ふくべ鍛冶 干場さんご夫妻
続いて、明治41年創業の鍛冶屋「ふくべ鍛冶」の干場さんご夫妻にお話を伺いました。「ふくべ鍛冶」さんは、サザエ開け・イカ割き包丁など、能登の生業に根差したユニークな刃物を多く取り扱っています。
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市場を見極める~包丁研ぎ宅配サービス「ポチスパ」~
様々な商品を取り扱い、挑戦を続けるふくべ鍛冶さんですが、その一つに宅配包丁研ぎサービス「ポチスパ」があります。
依頼者は、ネットでこのサービスを注文すると、自宅に梱包が届き、研いでほしい包丁を入れて発送します。受け取ったふくべ鍛冶さんによって、一週間程度で切れ味抜群の包丁に生まれ変わり、再び配送で受け取ることができます。
私たちもポチスパで送られてきた包丁を扱う研ぎ場を見せていただきました。送られてくる包丁は、一目で使い込まれているとわかるものが多く、正直この包丁が再生するのか、と信じられない気持ちでした。実際、他の場所で断られたり、満足のいく出来でない研ぎだったものをお願いし直すお客様も多いそうです。しかし、研ぎ終わった包丁は、見違えるほど切れ味抜群!メンバーの1人は、その後に実際にポチスパで包丁研ぎを注文したほどです。(素晴らしい切れ味で帰ってきました!)
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研ぎ後は「スパッ」と切れます!
見学者からはあまりの見事さに歓声が上がりました。
ふくべ鍛冶さんは、能登という地域に根差した野鍛冶であったため、漁業をはじめとする様々な生業を営む要望に長年応えてきたそうです。その結果、どんなものにも対応できるようになったそうで、このサービスに繋がったとのことでした。同じようなビジネスモデルで参入する事業者も当初いたそうですが、皆そうした要望に答えられない、または答えられてもコストがかかりすぎるという理由で撤退していったそうです。
第一次産業が豊かで様々な生業があるからこその培った強みを、ビジネスアイデアで最大限に生かしているふくべ鍛冶さん。このポチスパを例に、事業拡大の際にしっかりと市場を見極め、何が自分たちの強みなのか、そして市場で何が求められていて、実現されていないものは何なのかを分析することが重要と教えてくださいました。他産業でも応用できる考え方ですね。
その後は、宇出津から少し離れた鍛冶場にも案内していただきました。
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近くで見ているだけでも熱さを感じる大変な温度の中で、刃物の形を作っていく職人の方々の姿はあまりにもかっこよく、見とれてしまいます。
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働く方の中には、数ヶ月前に能登町に移住してきた方がいらっしゃり、新入りの自分にも丁寧に教えてくれてとても働きやすい職場だ、と伺うことができました。やはり人の温かさは能登町の魅力ですね。
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ありがとうございました!
1日目を終えて
ふくべ鍛冶さんでの見学を終え、1日目の行程はここまでとなりました。
商品は様々でも、事業の創意工夫を通じて、能登の経済活性化に取り組まれている方々にお話を伺いました。多主体間のマッチング・人手不足・DXなどリアルな課題を伺ったほか、能登町の経済活性化に向けて応用可能な知見をいただくことができ、濃い一日となりました。お世話になった皆様、ありがとうございました!
2日目のnoteはこちらから!↓