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FS8期、残暑の現地訪問記録!~2日目後編~
ここから2日目の活動の後編です!
2日目前編についてはこちらから↓
ランチ@能登パン(Notopain)🥪
お昼は「能登パン」さんに立ち寄りました!かめろんぱんやフレンチトーストなど種類豊富なパン以外にも、グラタンカレーやタンドリーチキンバーガーなどおいしそうなものが多く提供されており、全員お昼だけでなく、持ち帰り用のパンまで購入しました!二階に上がると、窓からは能登のきれいな海が広がり、パンがとても写真映えしました📸
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小木港陥没箇所の視察
能登パンを後にして、少し車を走らせ、小木港で一度車を降りることにしました。海沿いの道が地震の影響で陥没していましたが、未だに整備されておらず、凸凹としたまま海へと沈み込み、行き場を失ったように突然途切れていました。道路沿いには海に半ば沈んだままの車や家屋が点在していました。ふと足元に目をやると、お茶碗が波に揺られて流れ着いていました。それを見て、この場所で営まれていた暮らしに思いを馳せずにはいられませんでした。
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能登半島地震後、多くの方のご尽力で、少しずつ復旧が進んでいるのは間違いありません。支援チームのメンバーが2月に訪問した時の写真と比較すると、この道路が復旧し通れるようになっている様子が分かります。
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一方で、この陥没箇所のように、地震後そのままになっている箇所も多く残っているのが事実です。そのことをぜひ多くの方に知っていただいて、少しでも能登へのリソースが増やされることを願ってやみません。
小木地区で被災された住民の方々を訪問
続いて、小木公民館に移動し、小木地区の住民の方々から、被災当時の状況や今の生活についてお話を伺いました。その言葉からは、突然の日常の崩壊と、新しい環境での暮らしへの不安が確かに伝わってきました。
地震後、多くの方が避難所での生活を余儀なくされましたが、場所によっては食事の提供が一日以上届かず、支援にばらつきがあったといいます。自宅から持ち出した食料があっても、周囲の方々を気にかけるあまり「自分だけ食べるのは申し訳ない」と、手をつけられなかったと語る方もおり、厳しい避難生活の一端を垣間見ることができました。
また、上下水道などのインフラが使えなくなったことで、日常の便利さが失われた以上に、人々に強い不安をもたらしたとのことです。「トイレや水がないだけで、こんなにも生活が難しくなるとは思わなかった」との声が多く、暮らしの基盤がどれだけ大切であるかを住民の方々は実感したといいます。先の見えない支援を待つ中で、戸惑いや不安が少しずつ増していった様子が伝わってきました。
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現在、一部の住民の方々は仮設住宅で新たな生活を始められていますが、そこでも多くの課題があります。仮設住宅では、これまでの地域のつながりが途切れてしまい、「当たり前に回っていた観覧版が回らなくなった」とのことでした。この話しからも、人とのふれあいをどれほど大切に思っておられるかが伝わり、地域の繋がりの重要性を感じた瞬間でした。 そのような中で、多くの住民の方々が「もっと交流できる場がほしい」という希望を語ってくださいました。地域のイベントや集まりを通して、自然に人が集まり、かつてのような温かな関係を取り戻したいと願っているそうです。
このお話を伺い、災害は生活の基盤だけでなく、人と人とのつながりにも大きな影響を及ぼすことを改めて実感しました。そして、住民の方々からは、その失われたつながりをもう一度取り戻し、新たなコミュニティーを築いていこうという前向きな思いが伝わってきました。私たちの今後の活動が、その再出発を支え、人々が助け合い、笑顔があふれる日常を一日でも早く取り戻すきっかけとなるよう、そうした思いを大切にした取り組みにしていきたいと考えています。
改めて、お話を聞かせてくださった小木地区の皆様には、心から感謝申し上げます。ありがとうございました!
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能登町災害ボランティアセンター長 小路芳宏さん
2日目の夕方、能登町災害ボランティアセンターのセンター長、小路芳宏さんよりお話を伺いました。ボランティアセンターは、地域の方々の困りごとを聞き、それを解決するためのボランティアを派遣する機関です。小路さんからは、復興というものに対する小路さんご自身のお考えについて、そして私たち学生からの質問にご回答していただきました。地域支え合いセンターの設置の背景や役割、将来の復興における「コミュニケーションを再生する」ことの必要性など、多くの学びの深いお話を拝聴しました。
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私の印象に残った話は2つあります。
1つ目は復興に対する考え方です。昨今の復興では「2024年1月1日以前の元の状態に戻す」という考えが主流ですが、小路さんは「新しい街」を作るべきではないかとおっしゃっていたことです。確かに、震災で馴染みある街並みが失われたことは悲惨なことです。しかしながら、ある意味、街を立て直す、復興をするということは、新たな理想の将来を作ることができるのかもしれないなと思いました。
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2つ目は、能登町で暮らす子供たちに対して、「震災をトラウマにするのではなく、忘れて欲しい、ただこれから楽しい生活を送ってほしい」というお考えです。震災がもたらす非日常、苦難の日々は、全ての住民に当てはまることではあるとは思いますが、特に小さな子供には大きな心の傷を作ってしまうものです。小路さんのお話の通り、確かに子供たちには前を向いてほしいなと私たちも強く思い、活動を進めていくきっかけにもなりました。
ここでは書き尽くせないほど多くのお話し、考え方、震災に対する見方を小路さんには教わりました。そして、私たちが能登町のためにできることは何なのか、ヒントを頂けたように思います。小路さんのお話を糧に、より多くの能登町の方々との交流も通して、何かしら私たちにできることを最大限できれば、と思っています。ありがとうございました!
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ありがとうございました!
(追記)
9月の豪雨災害を受けて、10,11月には、FS能登町支援チーム主催で、東大生を中心に学生数十人をボランティアで派遣しました。その際には、能登町災害ボランティアセンターに受け入れていただきました。私たちのボランティア活動についてはこちら↓
夕暮れの恋路海岸
夕方、私たち一行はある場所に向かいました。その名は「恋路海岸」。近くに浮かぶ弁天島とともに、有名なスポットです。能登町には本当に自然の綺麗さを感じさせてくれる場所が多くあり、恋路海岸はまさしく、それを表しているスポットでした。
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撮った写真は高校生のような青春を感じさせる一枚。災害によってなかなか先の見えないお話を伺うことが多い中で、それでも能登は素敵だと改めて実感させてくれる一枚でした。
夕食@汝惚里ダイニング
夕食は、松波にある「汝惚里ダイニング」さんへ。ここでは、元漁師のシェフが作る絶品の料理を味わうことができます!ちなみに店名には「汝惚里(ナポリ)」とありますが、和食や刺身も楽しむことができちゃいます!(笑)
能登豚を使ったカツカレーやカツ丼などの定食などをいただきました!美味しい料理に舌鼓を打ち、シェフとも色々なお話ができて、素晴らしい夕食の時間になりました。
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月見で一杯@松波漁港
夕食を終えた僕らが次の目的地へ向かっていると、大きく丸く光る月を車の窓から見つけました。この日は中秋の名月の2日後だったので、お月見には絶好のチャンスでした。月が見える場所を探し、松波漁港へと着きました。 車から降りると、あいにく月は雲に覆われてしまっていましたが、それでも周りが見えるくらい明るく照らしてくれました🌕晩酌用に買っていた缶ビールを開けて、朧月夜のひとときをメンバーみんなで楽しみました🍻(※もちろんドライバーは飲んでいません)
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小木の「袖ぎりこ」の裏側を覗く
2日目の最後には、能登町小木地区の「袖ぎりこ祭り」の太鼓の練習を見学させていただきました!袖ぎりこ祭りは、能登各地でみられるキリコ祭りの中でも珍しい、横長の大あんどんが小木の街を練り歩きます。その巡行を支える囃子、太鼓と笛の練習が体育館で行われており、一緒に参加させていただきました。(なお祭りは二日後に行われたのですが、私たちの訪問のスケジュールが合わず、当日は観に行くことは叶いませんでした…来年こそリベンジしたい…!)
実際に見学させてもらうと、その迫力に圧倒されました。掛け声とともに刻まれる大太鼓のリズムは体中に響き渡ります。太鼓が激しいリズムを刻みながら、横笛によって囃子に厚みを与えます。二人の叩き手と吹き手が相互の音を聞き合いながら音色を奏で、聴衆を祭りに引き込むようでした。
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そして演奏を聞かせてもらったのち、私たちFSのメンバーも体験させてもらうことができました!小木の皆さんが優しく教えてくださったおかげで、私たちも少し叩けるようになりました。でも、皆さんのような迫力を出すことは、なかなか難しかったです。。ちなみに僕かとぅーは太鼓より囃子の横笛にハマってしまいました…貸してくれた笛のうちの一本をほとんど独占してなんとか音を安定して出せるところまで行きました。オーケストラ部出身として、新しい楽器への飽くなき挑戦は性なのです笑。来年のお祭り、笛吹きで参加してみたいですね、、、!!
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7月に行われた宇出津あばれ祭と同じように、小木の方々は袖ぎりこ祭りをとても大切にしています。練習には私たちと同年代の若い人も多く来ていました。これからの祭り、これからの小木を担っていく人たちです。漁師町の小木では震災で漁港や住宅などで多くの被害を受け、仮設住宅に住んでいる方も大勢いらっしゃいます。来年には中学校の閉校が決まっていて、小木の町は少しずつ変わっていくのでしょう。それでも、だからこそ、自分たちが子どもの頃に楽しみで仕方なかった祭りを、町のみんなが一つになる祭りを、これから先の未来へと繋げていくのだという強い思いが小木の皆さんにはありました。
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いかがでしたでしょうか?
2日目は、能登の被災地としての側面も多く感じながらも、能登の美しい自然とそこで産業を営む方々、そしてそこから生まれた文化について、能登に深く入り込めた一日でした。
最終日、3日目の記事もぜひご覧ください。↓