世界の名ボクサー:マイケル・モーラー③「バイオレンスなサウスポー」

世界L・ヘビー級、ヘビー級王者。ヘビー級に転向。WBO王座に挑戦。リーバイ・ビラップス戦、アレックス・スチュワート戦、バート・クーパー戦ほかを紹介します。

マイケル・モーラー(アメリカ)
身長188cm:サウスポー

①マイケル・モーラー 3R TKO リーバイ・ビラップス
(ヘビー級10回戦、1991年)
(感想:WBO世界L・ヘビー級王座を返上したモーラー。全勝(全KO勝ち)の記録を引っさげてヘビー級に挑戦。「自分のパワーがヘビー級で通用するかどうかを試したかった」というのがクルーザー級を飛ばして二階級上げた理由(「クルーザー級では稼げない」というのもあったのでは?)。ビラップスはバージニア州ノーフォーク出身の黒人。ニックネームは「The Terminator」。デビュー戦でオーリン・ノリスにKO負け。カリフォルニア王座(ヘビー級)を獲得したが、直前の試合で王座陥落。モーラー戦はその再起戦となる。ミシガン州デトロイトでの一戦。ヘビー級でも基本的な戦い方は変わらないモーラー。ディフェンスしながらジャブ。ビラップスは器用なタイプではない。動きやパンチのキレに欠け、接近戦ではクリンチ。たまに単発的に右フック。2R、モーラーの右フックがヒット。3R、ビラップスの左フックでモーラーがちょっとしたピンチ。しかし、モーラーが反撃。左フックが効いたビラップスにコーナー付近で連打、レフェリーストップ。このラウンド残り時間わずかのところでのTKOとなった。モーラーがL・ヘビー級時代のような勝ち方で快勝。ただ、パンチのキレが少し鈍くなり、3Rにパンチを食ってしまったのが気になるところ。連続KO記録を伸ばしたが、「勝てる相手」を用意してもらっているようなキャリアでもある。一方、動きの機敏さに欠けるビラップスはとてもではないが、トップになれるような選手ではない。しかし、再起戦であのジェームス・スミスに判定勝ち。これは運が良かったようで、その後はレノックス・ルイス、バスター・マシス・ジュニア、コーリー・サンダース、クリス・バードといった当時の若手に敗北。ラストファイト(1999年)の相手は何とあの古豪ジョー・バグナーで、反則負け(バグナーにとっても最後の試合となった)。2011年に自動車事故で死去(50歳)。)

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