記事85:彷徨うことすらNGで
朝起きたときから、今日は1円も使わない日かもしれないなと思っていた。結果、外には出ないものの午後に1本、夜に1本の配信ライブのチケットを思いつきで買ったことで7,000円以上の出費をしている。
外に出なくても、ものが何も手元に残らなくてもお金が減るという現象だ。
僕の好きなRIP SLYMEというグループのRYO-Zというラッパーの歌詞に、こんなのがある。
「やめろと言われるほど燃えてくるものはダメ元でもと思えてくる」
ものが何も手元に残らなくてもお金が減る現象、にかかっているかと言えばそうでもない。その話はその話、好きな歌詞の話は好きな歌詞の話だ。脈絡を期待しすぎるのは現代人の良くない傾向だ。
昨日に続き、過去数年聴いていたものを振り返ろうと思う。
【2017年】エントリー数75
KICK THE CAN CREW『KICK!』
これはもう仕方ない。個人の思い入れでしか選んでいないから、こういう結果になってしまう。3人の声が入っているだけで大賞だ。
いつかの日記ですでにアルバムの紹介をしていたと思う。二度目だけど仕方ない。KICK THE CAN CREWだもの。
MVの『Summer Spot』は曲の雰囲気とは対照的に掛け合いがスリリングで、ライブでの成功率が低い曲。幸いにもライブで実際に見ることができたのだが、ベテラン3人が緊張しているのが微笑ましかった。
活動休止してからもKREVAがずっとトップランナーとして走り続けていたので、復活したグループとしてのバランスがどうなるのか少し心配なところもあったけど、ライブで見て安心した。高校生の頃に見ていた3人のバランスそのままだったから。曲間のKREVAのトーク力が上がったくらいか。
昔のアルバムを今聴いてももちろんかっこいいんだけど、最新が最高と感じさせてくれたのが嬉しかった。でもそれはきっと自分の年齢のせいもあって、高校生の僕が本作を聴いてもピンとこないかもしれない。グループ復活後はアルバムとシングルを1枚ずつ出してからリリースが無いけど、ライブはやっているし待っていていいのだろうか。
2017年を見返していたら、時間をかけてじっくり聴いた作品が多かった。KREVA『嘘と煩悩』は発売後しばらく経ってからよく聴くようになった。JJJ『HIKARI』、NORIKIYO『Bouquet』、FEBB AS YOUNG MASON『SO SOPHISTICATED』、環ROY『なぎ』とお気に入りのラッパーが次々新作を出してくれた年でもあった。
KICK THE CAN CREWのアルバムと最後まで迷ったのは、RHYMESTER『ダンサブル』とPUNPEE『MODERN TIMES』だ。
前者はリピートした回数でいうと相当なもので、「なぜこの広さの会場にした!?」と思うぐらいパンパンのライブハウスにツアーで来てくれた。RHYMESTERのライブは他のヒップホップアーティストとは格が違う。マスにもコアにも突き刺さるあの表現は一度行くと癖になる。
後者のPUNPEEのアルバムもよく聴いたのだけれど、溜めに溜めた「らしさ」全開で1周するだけでお腹いっぱいになる内容だ。このご時世に逆行している詰め込みっぷりだった。それでも間違いなく日本語ラップ史に残る名盤だし、次にアルバム出るのはもしかしたら10年ぐらい先になるんじゃないか、という予感もしてるしリリースのタイミングに生きていること自体が光栄だ。
過去を振り返るのは楽しいし、名作はいつ聴き返しても新たな発見があってこれまた楽しい。
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