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記事39:Point by Pointの話

引っ越してきたばかりのときに、前の住人の存在を感じることがある。
札幌で住んでいたマンションは、前は同年代か少し歳下ぐらいの女性が住んでいたらしく、洋服の通販カタログが何度か入ってきた。

いまの家には多分10歳以上年上のおじさんが住んでいた。まず入居の時点で下駄箱の中に公共料金の開通のお知らせが残っていて、名前を知った。

しばらくすると、また服の通販のカタログがその名前宛に届いた。同年代か少し上がターゲットであろう、ちょいワル系のファッションだった。
そこまではよかったのだが、年末に前の住人の名前宛てにハガキが届いた。はじめは自分宛てに届いたものと思い、手書きで書かれたその文章を少し読んでしまってから気づいた。

そのハガキは前の住人の息子からであった。父さんがどうしているか心配していること、年が明けたら成人式であること、連絡がほしいこと、とともに電話番号が書かれていた。

どう見てもあまり良い事態ではないようなので、今この住所に父は住んでいないと匿名で返事を書こうかとも思ったがやめた。他人の人生にそこまで干渉する気にはなれなかったから。
父親を心配する20歳の青年、強く生きてほしい。

青年は心配だが、親父は親父だ。その後も、国民年金と国民健康保険の滞納を知らせる封筒が届いた。オレンジに赤い字で「重要」と書かれた封筒と、黒に黄色い字で「重要」と書かれた封筒だった。どちらも毒のある生き物の色だ。

普通の会社員ではなかったのだな、という。個人事業主?分からないが、子どもと連絡もとらずに滞納してるんじゃないよ。
それらは流石に開封してないし、宛先人不明ということで郵便局に送り返した。

人が生きるってこういうことか、と思った次第。

DMR『ANTI-MACHINE-SYNDROME』

KICK THE CAN CREWとかRIP SLYMEとかを聴き漁ってた高校生時代に、突如ぶち込まれた1枚。名前も知らない有象無象のMCが入り乱れる、なんでもありのラップ新世界。GUMBOというアルバムの時にも書いたけど、KEN THE 390もいるし環ROYもいるし。クオリティーを望む人はよそに行ってください。

初期衝動とは何たるかを教えてくれるし、もしかしたら迷ったときや立ち止まった時に聴くべきアルバムってこういうものなのかもしれない。

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