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記事93:日本語ラップ100選④

奇数人数のグループが好きかもしれない。最近だとAPOKALIPPPSという7人組アイドルのアルバムをやたら聴いている。曲の出来がいいとか、歌がうまいとか、もっと言うとグループ自体を良いと思っているかとか、そういうところから離れた感覚でリピートしている。ただワチャワチャ感がいいのだろう。

これはヒップホップにおいても同じで、上手い下手関係なくただワチャワチャしているグループや曲に魅かれることがある。

31. KICK THE CAN CREW『VITALIZER』
そらそうなる。1枚選んで終わるわけがなかった。そしてアーティストをABC順に並べたのにアルバムはそうなっていない。己の詰めの甘さを愛していこう。
次作がキックで一番売れた名盤『magic number』だし復活後の『KICK!』もすごく聴いたけどこれで。シングル曲の粒の立ち方が他のアルバムより突出していると思う。

32. KOHEI JAPAN『family』
日本語ラップ史に残るコンセプトアルバムといえば、これかSATUSSYの『THE NOVEL』かな。パパラッパーかくあるべし、といった内容。うだつの上がらなさをカッコ悪いものと思わせずに聴かせてくれて、聴いていた当時は学生だったけどこういうありふれた大人になるのも悪くないなと思った。平凡な毎日を歌いながら、「今日がみんなにとっていい日でありますように」と言えちゃうのってすごく強い。

33. KOHH『梔子』
登場の衝撃度を考えると前作『MONOCHROME』を選ぶべきなんだろうけど、こっちの方がアルバムとしての強度が高い気がしたので。最初に出したアルバムが2ndで、2枚目のこれが1stアルバムという売り出し方も好きだ。そのやり方があったか、というか言ったもん勝ちだもんなそんなの、と思った。アルバムを出してからトップに駆け上がっていくスピードは今までに見たことがないものだった。M-5『ビッチのカバンは重い feat. DUTCH MONTANA』曲名がすでにパンチラインという、初めての感覚。

34. KREVA『SPACE』
ミニアルバム『OASYS』で何か掴んだな、という。トラックはワンワンいってるし、ラップはキレキレだ。客演なしで、純粋にソロのラッパーのアルバムとしてはぶっちぎりの回数再生した。曲間のinterlude含め、ぎっちりと身が詰まっているように思う。

35. KREVA『心臓』
なんか、選んでおかないといけない気がしたので。日本語ラップの枠を飛び越え、はじめてKREVAを聴く人におすすめしたいアルバム。アルバム中盤では動脈から静脈へ、右心室から左心室へ移動ということで、アップテンポとゆっくりめの曲が半分ずつに…と思いきやそうきれいに分かれているわけでもなく。なんか微妙な構成。ラストに遊びの1曲を入れてくるところはさすがです。

36. LIBRO『風光る』
「どっからでも創造」という言葉から始まるアルバム。一度はラップすることがなくなってトラックメイクに専念していた時期があり、それを充電期間と言っていいのかわからないけどラップ再始動後のLIBROは言葉の強度を格段に上げてきた。本作はDJプレイのように曲間が繋がっている部分が多くあって、気づいたらアルバム1枚聴いている。

37. Lion's ROCK『NO'17』
1000円でアルバムを売るレーベル、ダメレコが関西で発掘した才能。トラックメイクもこなすラッパーのatiusとエンジニアのFULL-HOUSEという構成の、実質ソロプロジェクト。結局これ以降アルバムを出してはいないんだけど、ラップを完全にやめたというわけでもなさそうだ。ハイトーンで温かみのある、独特なラップがツボで一時期こればかり聴いていた。

38. LITTLE『Mr.COMPACT』
キックのメジャーデビュー後に裏でこっそり出した1stソロ。トゲが抜けていないままのラップで、地元八王子をレペゼンする内容もあり、メジャー行ったけどヒップホップしてるなと当時のヒップホップファンを安心させた1枚。ソロアルバムとしてしつこくなりすぎないサイズ感で、ソロラッパーのアルバムが苦手な僕だけどこれは何度聴いても良い。

39. MACKA-CHIN『CHIN ATTACK』
ニトロとしての活動ではおよそ見せることがなかったであろう、MACKA-CHINの正体をチラ見できるアルバム。ラップ少なめで、トラックメイカーとしての手腕を堪能できる。全体的に捉えどころがなく、1周終わってもハテナが浮かぶ。でも定期的に聴きたくなる。

40. METEOR『DIAMOND』
DMRのM、METEORの2ndアルバム。ダメレコから離れて出したこのアルバム、日本語ラップファンの間でも「好きな人は好き」という作品だ。1stが突き抜けた、いわゆるMETEORらしい内容だったのに対しこちらは影を感じる。うまくいかない日々の鬱憤とか、ラップ続けててもいいことないとか。古くから彼の活動を追っている者としては、むしろこういう表現もできるようになったか!と思えるんだけど。

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