ふり返れ、2021年。(なんとかまとめた後編)
振り返る後編。日本語ラップの話をする。
今年良いと思った作品を、バカみたいな3分類にしてみた。
・おなじみの方々
KREVA『LOOP END / LOOP START』
1作目からKREVAを紹介すると、日本語ラップそんなに聴いてない人なんじゃないかと思われるかもしれないのでちょっと避けたい気持ちがあったけど。
配信限定でリリースされたアルバム。リリース後のYouTube Liveで本人が言っていたが、みんなの前でライブできる今の状況から徐々にコロナ時代を過去に遡っているという構成の曲順。
KREVA自身がライブがなければいくらでもスタジオにこもっていられるタイプの音楽バカだと思うので、ライブができない期間でも製作を続けてくれてありがたい。明らかに浮いてるボーナストラックのM-13『Paradigm』でいきなりギラギラするのも含めて快作。
LIBRO『なおらい』
KREVAと同じく、LIBROも新しいアルバムが出るたびに賞賛してばかり。
打ち込み主体のシンプルなトラックだけど心にくるものがあり、何というか、日本語によく合うトラック。
ラップもトラックに合っていて、双方の良さを引き立てている。KREVAとLIBROは自己完結型で良い音楽を作るトップ2だと思っている。分かりづらいですね。ラップもトラックも全部自分でやっていて、しかもかっこいいということです。PUNPEEも好きではあるけど、ラップとトラックのクオリティの差があるイメージ。
・お久しぶりです
YOU THE ROCK★『WILL NEVER DIE』
まさかの2021年にYOUちゃん is backである。
今年はこのアルバムに尽きる。10月時点でも書いたが、今年のベストはこちらですね。ラップ好きの間でもこれを一番という人は少ないんじゃないかな。
ラップの技術論うんぬんを軽く超えてきている熱量、製作に入るまでの本人の葛藤、サポートし続けたBOSSとO.N.O、諸々含めてストーリーとして素晴らしい。
次作があるとしても、TBHRからリリースしてほしい。
MONJU『Proof Of Magnetic Field』
グループとしては13年ぶりのEP。各自活動していたし、客演時にはISSUGI(from MONJU)とか表記されることもあったので解散はしていないと思っていたけど。13年て。
全曲16FLIPプロデュースの無骨トラック。ほぼ全曲ドラムがレイドバックしている。いや、もはや半拍ズレてる。という首の振れる音楽。ラップもいまどきのブームにはもちろん流されない、何なら2000年代前半を思わせるクラシックスタイル。学生時代に池袋bedでライブを見た時よりも、今聴く方が断然沁みる。
Da.Me.Records Allstars『Return Of The Party』
トム・ブラウンより早いぜこれが天下のダメ〜!
学生時代を思い出させるつながり。これまた、まさかの2021年にダメレコがリユニオン。総長ダースレイダー氏の体調がずっと心配だが、元気なうちに集まっておこうという感じもあってなおさら心配。
高校〜大学時代に大変お世話になったダメレコ。レーベルであり、そのままグループであり、僕の青春だった。ダメレコ、周囲のラップ好きには結構軽視され続けてたけど。とにかくラップがしたい有象無象のMCたちの空気感をそのままパッケージした作品たちにワクワクしていた。
出世組のKEN THE 390、環ROYも揃ってて、よく連絡とれたな!?と思うようなラッパーもいて。チャカパーン氏に関してはKEN THE 390のギャラを持ち逃げしてトンズラしたって話を聞いた気がするけど。デマだったのかな。という十数年前の話をいまさら。
今作のリリース時、ダメレコに関してnoteに書こうと思っていたら年末。
WATT a.k.a. ヨッテルブッテル『めぐるうた』
過去作が好きすぎていまだに定期的に聴いているので気づかなかったけど、前作が2015年リリースとのこと。この人もまた、自己完結型ヒップホッパー。LIBROがMPCを持った仏ならWATTはサンプリングの鬼。マイペースでいいのでリリースを続けてくれますように。
・大所帯
Sound's Deli『MADE IN TOKYO BANG』
去年の年末でも期待している旨触れていたけど、日本語ラップ界の中ではこの1年でブレイクしたと言ってもいいグループ。
はやりのラップをしているけど、ポップになりすぎていないバランスがお気に入り。今後メジャー行って「なんか違う」ってならないように気を付けてほしいところ。ただのファンの大きなお世話である。
8mileAliens『Miles』
金沢発のクルー。アルバムを通して、トラックのクオリティがすごいことになってる。曲によってはラップが邪魔だなと思うことも。
メンバーみんなラップがスマートすぎて、大所帯クルーとしてはもっと飛び道具的なラッパーがいるとさらに最高。ダメレコみたいな飛び道具しかいないのも問題あるけど。
Oll Korrect『VARIETY』
わちゃわちゃ感が強めで好き。NF Zesshoが出世頭というか知名度的に一歩リードしてるけど、魅力的なラッパーが集まっていると思う。
マイクリレーものってどうしてもトラックが単調になってしまいがちだけど、このアルバムは1曲の中での凹凸や展開のつけ方に工夫を感じる。
上記以外ではFARMHOUSEの『Paddle』でEVIDENCEとの共演にぐっときたり(アルバムとしても素晴らしかった)、OMSBが出した2枚のEPもやっぱちょっと次元が違うぞと思ったり。
上で述べてきた通り、好きなアーティストの新作リリース、まさかの復活組、大所帯クルーの作品充実と日本語ラップ的には素敵な1年だった。毎年こんなこと思ってる気がする。来年も思えてるといいな。