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2021年1月に生まれた注目ユニコーン企業7社

2021年1月には38社ものユニコーン企業が新たに生まれました。1ヶ月の新規ユニコーン企業としては過去最高となります。ユニコーン企業とは、評価額$10M(約1,050億円)以上の非上場、設立10年以内の企業を指します。新型コロナウイルスで業績が低迷する企業が多い中、ユニコーン企業にまで成長したのはどんな企業か、北米の企業を中心にピックアップしてお届けします。

Zapier(評価額$4B / 約4,200億円)
Zapierは開発コードを書かずに、Gmailなどの主要なWebサービスからTwitterやInstagramなどのSNSまで、約2,000以上の様々なサービスやアプリを組み合わせて自動化できるツールです。開発コードの知識が必要ないため、従来はエンジニアでなければできなかったような自動化設定を誰でも手軽に行うことができます。例えば、特定のワードが入っているカレンダーのイベントがあれば開始15分前にSlackに通知を行ったり、メールで届く添付ファイルを自動でオンラインストレージに保存させたりなど、様々な場面で活用することが可能です。

Hinge Health(評価額$3B / 約3,150億円)
Hinge Healthは腰痛や関節痛の改善に役立つデジタルクリニックサービスを提供します。オンラインでの診断や日々のコーチングサービスのほか、特徴的なのが体の姿勢をリアルタイムでトラッキングするデバイスを活用して正しい姿勢のストレッチを行うサポートです。センサー付きデバイスを体につけ、スマホアプリから正しいストレッチ姿勢をコーチングしてもらうことで、慢性的な腰痛などの改善につなげます。在宅勤務で長時間のデスクワークが増えつつある中、腰痛予防などにもHinge Healthのサービスは使えそうです。

画像1Hinge Healthを利用してストレッチをしている様子(Hinge Healthウェブサイトより転載)

Webflow(評価額$2.1B / 約2,205億円)
Webflowは開発コードを書かずに、Webサイトやアプリケーションを作ることのできるノーコード開発ツールです。パワーポイントを作るような感覚で、ドラックアンドドロップの操作でWebサイトを作ることができます。さらに様々なテンプレートが豊富に用意されているため、イメージしているアプリとマッチしたテンプレートがあれば、それをもとに作ることで素早く自分のアプリを作ることが可能になります。ベーシックプランは月額約1,260円から利用できます。

MX Technologies(評価額$1.9B / 約1,995億円)
MX Technologiesは銀行口座やクレジットカードなどの金融データを活用してユーザーのお金の管理を助けるフィンテックスタートアップです。複数の銀行口座を持ち、クレジットカードも数枚保有、資産運用を行っている場合、お金の管理と運用に手間や時間がかかっているという人も多いと思います。そのような時にMX Technologiesを活用することで、銀行口座やクレジットカード情報を一元的に管理することができ、さらに使ったお金の内容を自動でカテゴリー分けしてくれたりと、お金を手軽に管理することができます。さらにそれぞれの金融機関が保有するデータをうまく接続して集めたデータを有効活用することで、独自のポジションを築きつつあります。

画像2複数の銀行、クレジットカードを一元管理しているUI(MX Technologiesウェブサイトより転載)

Workato(評価額$1.7B / 約1,785億円)
Workatoは開発コードを書かずに、クラウド環境、オンプレミス環境の様々なサービスを統合するiPaaS(Integration Platform as a Service)を提供します。ビジネスプロセスの自動化などに使われ、対象となるアプリを選択すれば、開発コードの知識を必要とせずにトリガーとアクションを設定することが可能です。SalesforceやServiceNowなどの業務システムとSlackやTeamsなどと連携することで業務の効率化を実現します。

Harness(評価額$1.7B / 約1,785億円)
HarnessはCI/CD(Continuous Integration/Continuous Delivery)ツールを提供するスタートアップです。すべてのビルドがいつローンチされたかまでをモニタリングしているため、AIと機械学習を利用して問題のあるビルドを検知し、自動で正常なビルドまで戻してくれます。開発工程ではCI/CD部分で苦労をしている開発者が多くいる中、Harnessは問題が発生した場合でも自動で正常な状態へ戻す機能や発生した問題の原因を理解するための機能などを提供することで開発者をサポートします。

Clubhouse(評価額$1B / 約1,050億円)
Clubhouseは音声を活用した新たな形態のソーシャルネットワークプラットフォームです。2020年創業でサービスがまだベータ版でありながらユニコーン企業の仲間入りをしたことで注目を集めています。日本でも既に多くの人が利用する中で耳にするのが、「音声の質がいい」という評価です。実際、Clubhouseを聴いていても、声が被ってもある程度聞こえると感じます。その秘密を調べてみると、裏では音声APIを提供する中国発の企業Agoraのテクノロジーを利用しているようでした。今後のClubhouseがどのように成長していくのかが楽しみです。

注目ポイント
38社の新規ユニコーン企業のうち、23社が北米から誕生したスタートアップとなりましたが、その中でも最も注目したのがノーコード開発のスタートアップです。今回取り上げたZapier、Webflow、Workatoは非エンジニアでも様々なWebサイトや自動化ツールを使えるUIで開発のハードルを一気に下げました。現時点では、従来の開発コードを書くことに比べるとできることは限られますが、今後ノーコード開発がさらに進化していくことが予想され、誰でもWebサイトやモバイルアプリを作れる時代が数年後に実現することは間違いなさそうです。自身のアイデアを自ら形にできるため新たなビジネスに挑戦しやすくなる一方、開発などを生業としてきたシステムインテグレーターのビジネスはどうなるのか、今後の動向に目が離せません。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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