エクストリーム・ホラー 一行怪談
偽短歌
揃わぬ声でばらばらお遊戯、死んだ目老人
感動を期待されると感じられ、期待に応えて障がい者
炎天に水も電気も止められて、干物なるまで見上げる空
産卵場所と我を見る、蠅の期待に応えよう。
呼びかけ繰り返し格子越し、むせる夏のあの手触り
首を突く何も見えない赤い闇、羽音だけがうるさく響く
その秋に熟したはずの甘い腐臭崩れ落ち、空を眺める
世の終わり取り残されて亀を煮る 、鳥に似た味鳥は何処に
手をさすり我が身あるを確かめて、まだ生きてると星に呟く
感触に伝わる虫の音闇の底、土の匂いの一掃けとなる
外内をとうに失い滲む目と、我を啄む何かの目
痣のない背に血の味あこぐれて、刺青せし指這わす
喉に棲むあの蟲の言葉眼球に、視野の曇りと心地よさ
耐え難きものに変わった肉親を、隔離施設で飼っている
屈辱に慣れた体は血の味も悲鳴もやさしき、膜の外。
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