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king of pop 2018/9/9 Artist紹介① tomad 【熱海のtomad】~@パソコン音楽クラブ 熱海イベント~



7月22日の朝10時頃。
熱海駅近くの喫茶店には、俺、tomadの他に、nkdt、
そして数人の顔見知り(いわゆるクラブ仲間ってやつだ)、
そしてなんとパソコン音楽クラブの西山君がいたのだ。
そこの集まりは昨日行われた、パソコン音楽クラブのニューアルバム「DREAM WALK」の、
番外ともいえる熱海でのリリースイベント、正式名称、
『DREAM WALK』発売記念パーティー
〜番外編〜Making with 論LONESOME寒 in熱海
を垣間見た、
あるいは企画し参加した者たちの集まりなのだ。
その中で、俺はわざわざこの記事のために大した準備もなくtomadを呼びつけたのだった。

偶然にも、
熱海という東京ではない場所に、俺の顔見知りがそろっていた。

イベントは非常に良質なものだった。
それは人数も、というより、参加した人すべてが、
このイベントを楽しもうという気持ちに満ちていた。
その熱気の放出はよくわかる。目に見えなくとも、よくわかるのだ。
大半が、最初から最後まで、一人のアクトを見るというだけでなく、
全体のイベントの顛末を見届けようという気持ちでいた。
そういう気持ちは、実は結構久しぶりな気がしたのだ。

しかし、
俺とnkdtはとってもそのイベントのopenから遅れてきたわけであるが。

7月21日。俺とnkdtは静岡に向かっている新幹線の中にいた。
朝の準備に手間取ったり、チケットを忘れたり(!)、
なんだかんだで熱海についたのは15時頃になっていた。
しかし、熱海駅に着いた時は、そんな遅れよりも、まさに「脱東京」という気分に俺とnkdtは浸っていたと思う。
熱海は初めてではない。実は自分は(向いていない)営業という業種に1年半ほどいて、その時受け持った得意先が熱海に縁があった。
駅を出たところすぐにある足湯にも見覚えはあった。
しかし、仕事のくびきから逃れた熱海は、開放感しかなかった。
東横INNに荷物を置き、ボーナスも出てしまっていたので、
タクシーを見境もなく乱発し、会場の近くへやってきた。

3分も歩かずに海岸までつけてしまうロケーション。
そしてパソコン音楽クラブの「DREAM WALK」のジャケットに使われた
ジョナサン熱海サンビーチ店を見つける俺たち。
わずかだが、聖地巡礼のような気分になる。

会場の大館ビルは、今は何もない廃ビルだ。
そこに会場をしつらえるという、レイブ的な発想で行われた。
入ると完全にコンクリートむき出しで、
以前何があったのかは全くわからない。
しかしそこにサウンドシステムと、物販の出店、地面に置く形のクーラーのようなもの、扇風機が設置してある。そしてトークショウが行われていた。
この熱海でのパーティを全面的にサポートしていくれる論LONESOME寒という人の口から語られるのは、まるでRPGみたいなエピソードで、
しかしまんま、ここのローカルのリアルであったりする。
聖地巡礼にRPG、リアルな場所なのにどこか、
そこには空白や非リアリティがある。

四台のキーボードを正方形に並べるoto factoryのライブ、
そしてフリースタイル(?)も見せたluluちゃんのソロが終わり、
BatsuくんのDJのオールジャンルっぷりに会場は盛り上がりを見せる。
この大舘ビルにはトイレがなく(!)
一旦ビルを出て海岸側の公衆トイレなどを利用することになる。
屋内イベントとは思えないレイブっぷりだ。
トイレに向かう路上でも、防音処理などないので、
Batsuくんの流す音や観客の叫びがガンガン聞こえる。
…俺は一瞬の不安を覚えた。それは、懐かしみすら感じる不安だった。

それはtomadの顔も見たからであろう。
ふらっといつも通りの恰好でtomadはビルに現れ、
無責任に「毎年やった方がいい」と
ツイートしたりしていた。しかし彼の登場で思い出したのは、
あの「カブチネ」と称される、新宿歌舞伎町でのマルチネの
パーティだった・・・ということは、一波乱ある。
なんかそういう予感がして、果たしてそれは的中した。


客の一人が見ていた窓の外には、
しっかり「熱2」と書かれたパトカーがいた。
現場では、いよいよこのイベントの大本命にして主催者、
パソコン音楽クラブのライブが始まる。
エレベーターから2人の警官が出てくる。騒音のクレーム報告だ。
警察が来た理由を理解しながらも俺やほかのスタッフ、
そしてさっきDJを終えたばかりのBatsu君が必死に、
最後のアクトですぐ終わるから待ってくれと懇願した。
対応策として窓をすべて閉めるということを約束して、
警察官二人は笑いながら去ってくれた。
「チクったの、ここの近くなんすよ多分。これだから熱海ダメなんすよ!」
と一緒にパトカーを目撃した、現地の青年は言った。
それもひとつのローカルのリアルなのだ。


「まあ、常に国家権力との戦いですからね」
とtomadは冗談で笑っていたが、カブチネも、kanji kineticが来た「再試験」
の時も、一波乱あるのがmaltineのテン年代初期のイベント。血を感じた。

クーラーや扇風機があるとはいえ、
窓が閉まったビル内はたちまち地獄の暑さになっていく。
しかしそのままイベントは最高の状態のキープしていた。
「OLDNEWTOWN」、「Inner Blue」というアルバム収録のキャッチーな
名曲にはすでに客の半分がシンガロングできる状態だった。驚きだった。



パーティが終わった後、一旦ホテルに戻り、
海岸で行われてた二次会的な打ち上げに適当に参加した。
夜の砂浜でoto factoryのメンツが騒ぎ倒し、
用意よく水着を持ってきた女の子がいたり、
luluちゃんが花火を動画に撮っていたりした。焼き鳥すらあった。
パソコン音楽クラブの二人は、すでに相当酔っぱらっていた。

そのあとまた熱海の飲み屋で数人とかなりぎゃーぎゃー飲みあかし、
なぜか帰り途中のファミリーマート前で仰向けに酔いつぶれた西山君達などを発見した。
東横INNで二人とも疲れ果て寝た。
東横INNも、どこの日本の場所にもありそうな、コンビニや、ショッピングモールのような設えなのだろう。そういえば、俺の親元の故郷、熊本県は八代、そこにも新幹線が止まるだけの、無理やり新設された駅「新八代」ができ、何もない場所に東横INNが立っていたっけ、、、、
そんなことを、考えてた気がする。
(ちなみに、他の熱海の写真は自分のインスタにあげてます。)


そこで、冒頭に戻る。朝10時を約束して喫茶店を探していると、
2階席のある喫茶店に、昨日一緒にぎゃーぎゃー飲みあかした
メンツが数人いる。眺めもいいしそこをtomadとの会談の場所にした。
メンツの何人かはこのあと秘宝館に向かうという。

―今回の企画は別にほぼtomadは絡んでないんだよね?」
tomad「全然絡んでませんよ」

昨日この喫茶店の近くの路上で酔いつぶれてたパソコン音楽クラブの西山君に企画の馴れ初めを聞いたりする。
tomadはここ最近のmaltineの新人を中心にパッケージした
「MALTINE SEED」を企画、東京のcircusでよくショウケースを組んでいる。
ざっと挙げるとyuigot(Applekid)、長谷川白紙、そしてパソコン音楽クラブ。実は前回のking of popのイベントに出た長谷川白紙の登場も、
tomadの結構適当な助言があってのことなのだ。

―yuigot 長谷川白紙 パソコン音楽クラブ…maltineがサポートしてる新人って多分最近は、主だったのはこの3組だと思うんだけど、
結構年代近いんだけどバラバラだよね。

tomad「バラバラだからいいんじゃないですかね。」

西山「むしろ音楽性がバラバラだからこそ、すごくお互い仲がいいんだと思います。気軽に相談できるというか。」

方やプログレや前衛だったりをポップ衝動に無理やり接近させるような長谷川白紙と比べて、パソコン音楽クラブはかなり素朴な、
エレクトロミュージックの要素を感じる。もともとはバンド活動からというパソコン音楽クラブの二人。しかしたどり着いたのは、
アナログ機材から放つ、妙なポップミュージックだった。
自分もこのパソコン音楽クラブの音の良さに気づくのは、もしかすると、
熱海の空気を実際に浴びて(パ音二人の故郷というわけではないこの街)、初めて肌感覚でわかったかもしれないと思う。
日本の独特のローカル、妙な洗練と、何かしらの空白。

tomadとまた海外の話もした気がするが、
もうすでにありとあらゆる都市が同じような場所になっている中でも、
やはりアジア周辺の音楽カルチャーに興味があるという。
というより、何かしら感情や付き合いの波が似ている、という。
だからリリースなども進めやすいらしい。
他にも、土浦からやってきた頃のゆるふわギャングの1stの話、
tofubeatsが切り進んでいる日本の音楽マーケットの話などもした気がするが、もう正直、覚えていない。

ただ、
今回のこの、king of popのアーティスト紹介の一連の記事を、
とりあえず熱海にいるtomadから始めようと思った。
東京ではなく、熱海にいるtomad。

tomad「東京の地方はね、まだまだ面白いところがあるんじゃないかなって思ってます」


今あるところから、わずかに旅をしていくこと。
熱海で海とパソコン音楽クラブを見た俺は、その一週間後、
苗場の山の中でケンドリック・ラマーを目撃し、
幕張の都市型フェスで、チャンスザラッパーに遭遇することになる。


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