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ビビデバは令和にシンデレラの本質を問う-ビビデバMV考察-


こんばんは,星詠みのえんでぃーと申します。

星街すいせい(すいちゃん)の新曲
「ビビデバ」
MVバズっていますね!

私が初めて見た時の印象は
「挑戦的でおもろいな」でした。

このMVは
ただ踊って靴投げているだけではなく
メッセージ性があるなと感じました。

今回は星詠み目線で,
ビビデバMVの伝えたいことを考察していこうと思います。


※サムネやスクショはビビデバのMVから引用させていただきました。


世界観・設定

このMVの世界観・設定について
5W1Hで確認します。

What
童話シンデレラを題材とした動画撮影
Who
星街すいせい(主人公),監督,他の演者,スタッフ
When
現代(令和の時代)
Where
都内の撮影スタジオ
Why
???
How
2次元の存在と3次元の存在が混在して撮影

このように世界観設定としては,
2次元と3次元が混在して一緒にスタジオで撮影している
普段我々が知っている世界とは
少し違う不思議な世界
となっています。
(でも本当は見方を変えただけで我々の世界と同じなのかもしれません)

MVの特徴

このMVの特徴は大きく3つあると思います。

  • シンデレラを意識した点が多いこと 

    • シンデレラをテーマとしているのに,シンデレラがやらなそうなことしています。また,既成概念と令和の常識の対比に利用したり登場人物の属性がリンクしていたり…

  • 2次元の存在と3次元の存在が混在していること

    • 現実vsバーチャルの壁が壊れた世界観です。また,360°カメラを使うことでこの境界を曖昧にしています。

  • 破壊を意識していること

    • 前の2項目にも関わりますが常識だとか既成概念だとか現実とバーチャルの壁だとか 現実と虚構だとか,そういうものに対して疑問を投げつけぶち壊してやろうという仕掛けがいくつも入っています。


場面ごとのポイント解説

イントロ

イントロ部分(約10秒)は世界観の説明です。

かぼちゃの馬車と魔法での変身で
視聴者はすぐにシンデレラだと理解できます。

その後,スタッフや監督が入ってきて撮影現場だと分かります。
ここで2次元と3次元の混在や監督への嫌悪感などの情報もインプットされます。
上のWhat,Who,Howあたりは
このたった10秒で説明されてしまう重要な場面です。


1番Aメロ

1番Aメロは,次の撮影の準備パートです。

360°カメラを上手く使い
メイクさんや美術スタッフさんの仕事ぶりを
途切れることなく見せています。

ここでのポイントは,
メイクさんがスプレーを使って服を着せています。
この世界ではそういう魔法が存在しているのかもしれませんが,
私はこれは比喩&問いかけだと思います。
メイクさんの仕事は魔法でも使っているみたいでしょ?
まるでフェアリーゴッドマザーでしょ?
と言っているのではないでしょうか。

魔法という一見虚構の概念も
現実で同じような事が出来ているのではないでしょうか
このシーンで
シンデレラのおとぎ話と令和の現実の壁が少し薄くなったように感じます。

1番Bメロ

1番Bメロは,監督がすいちゃんにダンスの指示を出す場面です。

すいちゃんは「ガラスのハイヒールでは踊れない」と言いますが
監督は「いいから踊れ」と言っているようです。
監督のやり方もパワハラチックですが,
昭和や平成初期では普通のやり方で
きっと悪気があってやっているわけではありません。
監督はこの昭和のやり方でしかできないのです。

これはどちらが正しいのでしょうか

この場面のポイントは
既成概念と令和の感覚の衝突です。
監督が無理を言っているように見えますが,

普通に考えて舞踏会の場面で
シンデレラがガラスの靴で踊らない
なんて
シンデレラの物語としてありえない
のです。

ちゃんとした映像を作るために監督は真っ当な事を言っています。

しかし,令和の時代
「KuToo」という運動があり
就活でヒールを履かなくていいようになってきています。
※危ない・痛い・疲れる等,女性のみ不利益を被っている等の問題

今まで当たり前であった慣習は壊され
新たな秩序が形成
され始めています。
この令和の新常識から考えれば,
ガラスのヒールで踊れないという主張は
認められるべき
です。

昭和と令和の人間
両者の常識がぶつかるという
現代社会のあるある問いかけ
シンデレラのガラスの靴を用いて
表現している
のです。


1番サビ

1番サビは,舞踏会の撮影場面です。

ビビデバダンスを踊り,スタッフや監督も裏でノリノリです。

ビビデバダンスで,2次元も3次元も年寄りも若者も立場も関係なく1つになって楽しんでいます。
これは,ビビデバ(&すいちゃんの活動)の理想を表しているのではないのかと思います。
年齢や性別,Vtuberが好きとか嫌いとか,
目に見えない心の壁を
音楽やダンスでぶち壊して一緒に楽しみたい!

そんな風に言いたいのではないかと思います。

しかし,サビ終わりですいちゃんはダンスの途中で転んでしまいます。


登場人物について

一旦ここで
登場人物について整理します。このMVの登場人物は,
シンデレラの登場人物になぞらえているのではないかと思います。

星街すいせい
=令和のシンデレラ
監督=シンデレラに意地悪する継母(ままはは)
メイクさん,美術さん=シンデレラに魔法をかけるフェアリーゴッドマザー
※ちなみに王子様は令和のシンデレラに必要ないのでほぼモブ扱いです。



2番Aメロ

撮影は一旦中断され
すいちゃんは申し訳なさそうに戻っていきます。

監督の反応は真逆でマネージャーにキレています。
マネージャーはタレント思って,
ハイヒールでのダンスを断ったのでしょうか
ここで360°カメラで180°回転して
すいちゃんと監督の様子を対比させているのが,またいいカメラの使い方だなと思います。

2番Bメロ?

2番Bメロ?は,1番のBメロとは違うメロディーに分岐します。

監督がマネージャーを叩いたのを見て
すいちゃんがキレます。
歌詞もチキチキバンバン
車の排気音の擬音が登場し,
エンジンがかかり状況が変わっていく予感を感じさせます。
さらに韻を踏みまくり,
どんどんヒートアップしていきます。

ついに,監督がすいちゃんに台本を投げつけ
すいちゃんはガラスの靴を監督に投げつけ
喧嘩が始まります。

360°カメラは倒れ,
喧嘩の様子が映し出されます。

シンデレラって
キレて喧嘩するんでしたっけ?
でも,叩かれるマネージャーを無視できない
そんな心優しく勇気を持った人こそシンデレラ的なのかもしれない…

1番Bメロで起きていた
昭和と令和の衝突がバイオレンスな形で爆発する場面です。
2次元と3次元が物理的に喧嘩するなんていうのもなかなか面白い演出です。
本気になって喧嘩している時点で
2次元とか3次元とか
バーチャルだとかリアルだとか
もう関係ないのかもしれません。


2番サビ

喧嘩はスタッフに仲裁されます。

すいちゃんは着替え,
倒れた360°カメラを持って外に出ます。

スタジオの外にカメラを設置し
誰も見ていない中一人でビビデバダンスを踊り始めます。

ガラスの靴を投げ捨て
好きな格好で自由に踊るすいちゃんが
満足げな表情で決めポーズをして
MVは終わります。

こんなシンデレラがいてもいいんじゃない?

今までの時代は
スタジオで撮影しテレビなど限られたメディアで発信するしかなかったわけですが,
令和の時代は
YoutubeやTikTokなど個人で撮影&発信が出来るようになりました。

そんな時代に後押しされ
「私は自分の好きなようにやらせてもらう」
と言いたいのではないのかと思います。

まとめ

このMVは,
あえてシンデレラらしからぬ事をして
シンデレラの本質ってなんだろう?
何をもってシンデレラなのだろうか?

という問いかけをしてきます。


さらにシンデレラの問いかけを通して
昭和vs令和,2次元vs3次元
といった
「既成概念vs新しい概念の衝突」
させているのだと思います。

しかし,この衝突において
怒ったり,奇妙がられたり
嫌悪感が生まれます。

そういうものを歌やダンスで壊し
「シンデレラはこういうもの!」
「アーティストとはこういうもの!」
などというステレオタイプは捨て
本質に立ち戻って
新しい概念受け入れて欲しい

そういう気持ちをこのMVを使って
表現したかったのではないかと思います。

私がこのMVを
「挑戦的でおもろい」と感じた理由は
自分の知っているシンデレラは
靴を投げたり喧嘩をしたりしない

この既成概念をぶち壊していることに対して
挑戦的と感じ
それを自分で認めたため
おもしろいと感じたのだと思います。


最後に

すいちゃんは個人で活動を始め
イノナカに入り,ホロライブに転籍し
3月にはついに夢であったデレステ出演を実現させるなど
夢をどんどん実現させています。
まさにシンデレラストーリーを歩んでおり
令和のシンデレラと言っても過言ではないと思っています。

つまり,星街すいせいは
格好だとかガラスの靴だとか
そんな上っ面の見た目ではなく
実態としてシンデレラをしています。

このような星街すいせいの
バックグラウンド
も含め
シンデレラの本質は何かを問う
MVなのではないかと思います。

シンデレラの衣装で
めちゃくちゃやる星街すいせいは
ガラスの靴を投げつけて
見えない壁を壊す破壊者
であると同時に
新しい世界を作るクリエイター
今後もあり続けて欲しいなと思います。


以上で記事は終わりです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。

※今回noteでばーっと書きましたが
今後Twitter(現X)で画像化するかもしれないです。

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