印象に残ったゲーム音楽たち④
書きたいように書いていきます。
図らずもSF縛りみたいになってしまった以下の3作品から。
※十三機兵防衛圏のネタバレが一部含まれます
Timber Hearth/Outer Wilds
好奇心で動くのに慌てることはない
ループしながら主人公の住む星系に隠された謎を解き明かしていくSFアドベンチャーゲーム「Outer Wilds」において、
主人公の母星「木の炉辺(英:Timber Hearth)」でしばらく滞在していると流れてくるBGM。
神秘的で容赦のない宇宙と対照的に、有機的で母星の温もりを感じる弦楽器のイントロから始まる。
母なる星・家という点で「Undertale」の「Home」なんかとも似た雰囲気が感じています。
ゲーム序盤で聴く際は、落ち着いた雰囲気から後半に行くに従って宇宙を思わせるような電子的な音色も追加されていき、宇宙探索の期待を膨らませてくれるような印象を覚えました。
一方、中盤以降、
作中の様々な謎が明かされ、それがまた新たな謎を呼び・・・
「早く次のループでも謎解きしたい、いきたいところがいっぱいある」という気持ちになってくる、好奇心駆動型のゲームだとよく言われている。
そのおかげかゲームを進めるにつれて、急ぎ足なプレイが多くなりがち。印象的な曲の割に聴く機会は意外と少ないと思われる。
謎解きに煮詰まって、頭が凝り固まってきたあたりでまたこの曲が流れてくると、「まあ、のんびりいこうや」と落ち着いた気持ちになれてリラックスできたのを覚えています。そして自然とマシュマロを焼きに手が伸びる。。。
こうやってじっくり聴いてみると、そんなに急いで謎を解かなくても、このゲームは待ってくれるゲームだ、プレイヤーに対して最初から全ての要素が開かれているゲームだということを思い出させてくれました。
宇宙探索と謎解きの興奮とは対照的に、呼吸を整えるような曲に感じています。
別ゲーですが、最近プレイした「HADES」でも、「Outer Wilds」を想起するような場面がありました。
与えられたことを機械的にこなすのではなく、自らやりたいと思って数々の試行錯誤をしていく。
「Timber Hearth」は、数々の試行錯誤から得られた達成感を、周囲の緑と宇宙の黒にすっと飲み込まれていくキャンプファイヤーのけむりとともに、まとめてかみしめ清算するBGMとして機能しているところがあると思っています。
機の律動/ゼノブレイド
お前のような通常戦闘曲があるか
・・・と思うほどカッコいい・お洒落と思った曲は何曲かありますが、上記を初めて意識したのはやはりこの曲ですね。スマブラで初めて曲だけ聴いた時はイベントシーンか何かの曲かと思っていました。まあ原作ではイベントシーンでも流れるところはありますが。
前半戦闘曲の、ストリングスを使った有機的かつ感情的で堂々とした雰囲気から一変して、いかにも機械を思わせる電気的でリズミカルなギターの連符が勢いよく飛び込んでくるのが印象的でした。私もですが、このイントロ一発で心を掴まれたプレイヤーは多いかと。
英語タイトルがそのまんま「Mechanical Rhythm」なのも潔くて好き。
ゲームの展開ともリンクしていると思っていて、機神の世界に飛び込み様々なことを知っていく、価値観の瓦解と再構成を表すような曲だと思っています。大アルカナで言ったら「塔」、みたいな。
途中からギターと互いに高め合うようにストリングスのパートが混ざってくる、それも、ストリングスもギターに呼応するかのように連符を演奏しだす展開が、単に二項対立に留まらないストーリー展開の深み・交差する思惑・敵が味方に、味方が敵に・戦いの加速と世界の謎に迫っていく勢いを感じました。
公式ライブ映像。
他にも様々なゲーム音楽アレンジャーによってアレンジが披露されている人気の楽曲。どれもカッコイイものばかりなので是非見て。。。
渚のバカンス/十三機兵防衛圏
愛・おぼえていますか
あらゆるSFをごった煮にして綺麗に一つにまとめあげたゲームと言われる本作、十三機兵防衛圏。
ロボットに乗って戦う戦闘パートのBGMが急にこの歌唱曲になり、宇宙戦争、ET、メンインブラックなどと来て「うおお!今度はマクロス!?」と、本当に古今東西の「SFやりたいネタ」全部盛り込んでいる・・・!と衝撃を受けました。
当時はマクロスのことも「歌うやつ」くらいの認識しかありませんでしたが、セブンスドラゴンⅢの「Re:Vanishment」しかり、戦闘曲に歌唱、それもその時代や登場人物に寄ったテーマのものが入るとなると非常に強いインパクトがありました。
・・・とはいえ本来は、戦いの前日譚を描く追想編も含めてゲームのキーとなる、本作を象徴する曲。
ループ、歌姫、FE8、1985年、外壁、セクター4、20番機兵、SOS、過去の縁、今の縁、軌道衛星・・・
この曲とゲームの思い出を想起していると、クラウドシンクのように各場面とキーワードが浮かび、それらが「渚のバカンス」というスープに溶けて混ざり合い、複雑ながらも口当たり良く奥深い味になっているように感じられる。
・・・話は戻って(時系列的には進んで、なのか⁈)、渋垣市最終ウェーブ。
もう一息で守り切れる・・・!というところで、脱出のために衛星から処理を続けていた因幡深雪から、もうすぐ衛星は地平線に沈み、再度昇るまで交信できなくなる、と絶望的な状況を告げられる。
うろたえる13人の主人公たち、
そんななか、彼女との過去の縁を持ち、彼女の歌とともに、「今」を生きる者としての決断をしてここまでやってきた1人、網口はこう切り出した。。。
ここからまさにマクロスのごとく、この曲とともに防衛戦が始まる。
第2世代型機兵の重さは2200トンもある。思い出の曲を噛み締めるかのように、搭乗者の少年少女が育った街へとその重量を預け、侵攻をはじめた怪獣たちへと向かっていく。。。
冒頭小見出しで初代マクロスの曲名を引用しました。作中の時代や曲調的にはあちらですが、曲と同調して防衛に臨むと言う点ではむしろマクロスΔなんかの方が近いのかな。
敵に対処するためというよりは、因幡深雪の歌を聴きたいから、応援してくれる人と繋がっていたいから、と言う面があると思います。
このあと衛星は地平線に沈み、しばらく交信が途絶えることになるが、その後まで絶対生き延びて絶対また会える、この曲をもう一度、いやもう何度でも聞くんだという気概で戦闘に臨みました。
…そしてもう一つ、この曲が流れる大事な場面がある。
全てが終わった後の大円団、エンディングテーマ。
*エンディングテーマが個別に用意されてるのもいいけど、劇中に登場したキー曲がエンディングで流れるのもいいよね…
ここで劇中の大変な経験を共に過ごし乗り越えてきた名曲をプレイバックすることで、13人+αみんなで乗り越えてきた大切な思い出を見届けた、というゲーム体験をプレイヤーの脳内に効果的に刻み込んでいる気がします。
おかげで今でも、たぶんこれからも筆者の記憶に残り続けるゲームになっっています。
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前回
書きたいように書いてたら文章量の比率がおかしなことになったけど、まあええやろ(適当)