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解熱鎮痛剤(ロキソニンとか)、痛み止めの飲みすぎの弊害(注意:腎障害)

非麻薬性解熱鎮痛剤と言われる「NSAIDs」に気を付けようって話をします。

いわゆるロキソニンとかの成分に含まれているヤツです。

★適切な使用を心がけることが大事って話です★

結構飲む人は胃を荒らすなどの有名どころの副作用を知ってたりしてて、胃薬と併用して飲んでいる人はたまーに見かけますね。

常用する薬じゃないよって話を書きます。結構常用レベルに飲んでいる方いらしますので・・・。

「ギャハハw死にたいしオーバードーズすべw」って薬剤でもないです。

自殺企図とかでODする人、結構というかかなりいるんですが・・・(救急で良く見ます)
実際、マジで飲んで死ぬ薬ってまああんまりなくて、正直ODしてて「あ~あ・・・対応面倒くさいな」って思うことの方が多かったりします。まあモニタリングしなきゃならない薬剤もあるけど、往々にしてODがこの世から滅してくれれば、救急外来の負担は減るのにな~って思います。
ODしたくなる気持ち、分からなくもないのが本音でもあるけど、まあ・・・コスパ悪いと思いますよ。死ねないし、俺達には迷惑かけるし・・・。



というかまあOD「すな」って話ですけど、特段NSAIDsをODしたとこで多分死ねないし、腎機能落ち込んだら多分「飲まなきゃよかった・・・・・」って絶対後悔しながらじわりじわり弱って死ぬことになると思うので、辞めといた方がイイです。でもAKIで死ぬかもね、そん時になってみないと分かんないですね。

でも人間、ケガとかの外的な疼痛であったり、気圧とかの頭痛、女性であれば定期的に襲ってくる月のものによる疼痛もありますよね。だから鎮痛剤って大事だと思うんです。

じゃあどんな薬で鎮痛すればいいの?って話ですよね。それをします。


〇鎮痛剤って

どーんな種類があるんだよ!って話をしますと・・・。
〇1:モルヒネとかのいわゆるオピオイドに分類される鎮痛剤(+トラマール)
〇2:非麻薬性解熱鎮痛剤(NSAIDs)
〇3:アセトアミノフェン(商品名:カロナール)
〇4:その他(ステロイドとか←大体解熱目的で使うしあんま使いたくない)

まあ大まかに分類してこの4つかなって思います。4については割愛します。

〇1:モルヒネとか(麻薬性鎮痛剤)

1のモルヒネとかについてですけど、これ処方キッツイんですよね、相当疼痛コントロールがきつくないとできないヤツ。後は処方するドクター側も制限があって、県知事の認可が必要になります。まあ基本的に悪性腫瘍(がんとか)の疼痛コントロールが困難な場合に「緩和ケア」的な立ち位置で処方することはあります(むろん例外はどんな状況にもあるのでそれについては割愛)。

まあ基本的に現実的じゃあないです。1についての処方は一般の人に軽々しく処方できるもんではないて認識で間違いないです。
ただちょっと実は例外があって付け足すのですが、トラマドール塩酸塩という弱オピオイドの内服薬は麻薬許可無くても出せたりします。これはNSAIDsより鎮痛作用が強いですね。整形領域でよく出されているイメージです。トラマドールは良く見ますね。

この項目についてはどちらかというと作用的に見ても、「鎮痛」ですね。

〇NSAIDs(非麻薬性解熱鎮痛薬)←解熱も鎮痛も何でもござれの便利薬

市販の解熱鎮痛剤には基本的に絶対入ってると思った方がイイです。
入ってない方が珍しい成分でもありますね。効くんだな~これ。
発熱、頭痛や月の物による痛みもどんとこい、なんでも痛みなら効きます。
ただ原因を取り除いてるわけじゃなくて、痛みを感じにくくしてるだけなんで根本的な解決にはなってないです。

中々種類が多かったりします。便利で、めっちゃ強力です。
正直な話、悪性腫瘍のメッチャキツイ痛み出ない限りはこれで何とかなるレベルで、非常に強力かつ市販で買えるのでいい薬剤だとは思います

「大人向け(15歳以上)」で飲む市販の解熱鎮痛薬には大体成分として「含まれています」。
↑これポイントです。例えばロキソニンでも、「子供向け・小児向けロキソニン」って体で売っているものは、後述した「アセトアミノフェン」のみで構成されているものが殆どですが、大人が飲めるような「ロキソニン」には大体「ロキソプロフェン(←NSAIDsの一種)」が含まれています。

大事なのは、「商品名」だとわかりきらんよーってこと。箱の裏の成分を見たときに「~~~~~フェン」って書いてあったら大体NSAIDs配合だと思ってもらえれば良いです。イブプロフェンとか、ロキソプロフェンとか。

ぶっちゃけ市販薬コーナーをチラってみたりすると、同じ「ロキソニン」って商品名でもなんか色々と種類が多すぎて、どれ選べばいいか分からない方って結構沢山いらす気がします。

メッチャ強力に効く分、意外と汎用性というか、使っちゃいけない場面も多かったりします。インフルエンザに罹患した場合服用すると「インフルエンザ脳症」になりやすくなるリスクもあったりします(だから子供にはNG)。
(インフルエンザ脳症ってとんでもなくヤバイんですけど、大人は罹患しにくいってことで大人のインフルとかだと普通にロキソニン飲んでたりしますね。ただ大人でも脳症発症リスクが無いわけではないです。子供の方が発症リスクが高いので、子供には基本NSAIDsはNGなんですね)。

ボルタレンとか、坐薬系も大体これに含まれます。坐薬は基本NSAIDsって認識でまあ簡単に間違ってはないかなーって思います。

こいつらの副作用については後述します。

〇アセトアミノフェン(商品名:カロナール)←べんり!

コロナ禍で有名になった気がします。熱出たときとか、あとは・・・コロナワクチン後の肩の痛みとかに対してカロナールカロナール!って一時世間が騒いだような気がします。最近あんまり聞かないですけどね、ニュースとかでは・・・。

これ、便利なんですよ。いい薬で・・・。副作用はまあ無いわけではないんですが、NSAIDsに比べると控えめで優しく、小児にも出せるんですよね。

アセトアミノフェンはNSAIDsのくくりには含まれないんですよね

だから子供向けの市販の解熱鎮痛剤は基本的にこの成分単剤で構成されていることが殆どだと思います。
勿論、副作用が控えめだったり使いやすい分、NSAIDsに比べると確かに効果も控えめになりますが、全く効かないってことはまあ基本的に無いです。
後は・・・市販の大人向けロキソニンとかにも、NSAIDsの成分と合わせて配合されていたりしますね。

Amazonさんって今薬も売ってるんですね。AMAZONさんが売ってるの見てこの画像持ってきました。
ただ市販店では見たことないです。大体単剤の場合は小児向けか、我々の処方箋が要りますね。

いずれにせよ、機序が違うのですが、解熱作用+鎮痛作用があるので、いい薬です。私は自分の疼痛に対してはもっぱら疼痛コントロール初手では自分でこれ服用しますし、これでコントロールできなかったらNSAIDsに鞍替えする(スイッチする)のを自分でルーティンにしてます(まあ飲まないのが一番いいんですけど)。

患者に対しても、基本的に内科系病棟等であれば熱発時や疼痛時の初手はまあアセトアミノフェンだと思いますし、こと外来に至っては基本的に内科外科関係なく初手疼痛コントロールはアセトアミノフェンだと思います。

ぶっちゃけ・・・外科手術の術後コントロール目的に「ロキソプロフェン」が処方されるくらいじゃないかなあ・・・って思います。病院だと。

良く見るやつです。会社ごとにちょーっと違いはあると思いますけど。
大体この感じの奴は我々が処方箋出さないと貰えないやつですね。院内には多分めっちゃストックあるやつです。入院患者さんによく出すので・・・。

そんくらい基本的に病院だとファーストチョイスに選ばれるのが「アセトアミノフェン(カロナール)」ですね。便利ですし、いい薬です。点滴もありますし(アセリオ)。大体外来で「風邪ですぅ~」ってなった時に解熱剤として出されるのはアセトアミノフェンだと思います。ロキソニンはあんま出さない・・・。少なくとも私はロキソニンは初手では出さないです(消化器内科医にとってロキソニンは親の仇ほど憎くもある←後述します)。

便利でクソクソ便利なんですけど、害というかデメリットとしては手に入れにくいんですよね。分かりにくいんですよ・・・市販薬のところで、「カロナール」って単剤で売ってることあんまりない気がします。私たちが処方して処方箋もってけば調剤薬局さんとかで出してくれるかと思うんですけど、処方箋が無いと調剤してくれないですからね・・・。もっと大々的にカロナール単剤ですよ!って分かりやすくなってる市販薬があればいいなーって思います。

処方箋がいる=病院受診がいるってことです。確かに面倒っちゃ面倒ですよね。
解熱剤くれよ!っていいに行くのもダルイし、こっちもめんどくさいです。
だって熱発で来た以上ある程度検査して原因調べないといけないですし。
双方Lose-Loseでめんどくさいです。医療費の無駄ですし。
2024年の年末~2025年年明けの救外死ぬほどヤバかったし・・・(←インフル)。

小児用の解熱鎮痛剤は基本的に何度も繰り返しになりますが、アセトアミノフェン単剤であることが多いです(←飲みやすいよう甘くなる甘味料とかは別として)。カロナールが欲しかったら、小児用の解熱剤買うと良いよーって思うのです。

これアセトアミノフェン単剤で良いぞ!って奴です。他にもバファリンでも、
バファリンLUNA(小児用)って奴が裏面見たらアセトアミノフェン単剤でしたね。
年始に帰省したのですが、インフル拾う可能性も踏まえて薬買って帰ったんですが、その時に買ったのがバファリンルナでした(実家にはロキソニン常備してあるので)。

ただまあ・・・、これが広まって周知されてしまうと、小児用の解熱剤が不足してしまう可能性もあるので、この記事書くにあたって心苦しい所ではあるのですが・・・。まあ、小児用の解熱剤も捨てたもんじゃないしむしろ捨てたもんって表現どころかファーストでそれ選ぶのが良いぞって個人的には思います。


分類としてはおおざっぱにこんな感じです。NSAIDsでも解熱しきらん時とかにステロイド使ったりする選択肢だったり、NSAIDsでも疼痛管理しきれなかったりする癌性疼痛とかには、麻薬導入を検討したり・・・てしますが、多分この記事を読んでくださっている方はまだそこまで検討する必要はないかなって思います。だから割愛しました。

〇NSAIDs、初手に飲むべきじゃあない理由

いや、初手に飲んでも良いとは思うのですけど・・・、常用というか、日に3回まで飲めます!って多分書いてあると思うんですが、まあ日に3回飲むのを1週間続ける・・・みたいなことはしてほしくないです。

せめて常用レベルに飲むなら胃薬飲んでほしいですが・・・。いや、やっぱ飲まないでほしいですね。

あくまで「とんぷく」として「イテエエエエエエエエエエエ!!!!!!!」って時にのみ使ってほしいです。そういう薬なので・・・。

なんかもう「常時痛い」ってレベルの疼痛で薬飲まないと我慢が効かんぞってくらいの痛みの場合、病院かかった方がイイと思います

何か隠れてる可能性もありますし。

だましだまし痛みだけ取り除いて実はとんでもない疾患が隠れてたりもしますし。

まあ・・・それで「病院行くか」ってなったら、平日に行きましょう。それか土曜日とかでもやってるクリニックとか・・・。夜間とか救外に駆け込むのはよっぽどのことが無いと・・・って思っていただければと思います。我々も夜間クソ忙しいタイミングでしょぼい疾患っぽい患者が来たときは後回しにして放置・・・みたいなこと、結構せざるを得ない事ありますし。放置って聞くとイヤな気分になるとは思うんですけど、救外って往々にしてもっとやばい症状の患者が駆け込みで担ぎ込まれたりして、リソースというか人員が日中に比べると滅茶苦茶少ないので、命にかかわらないと思われる患者はどうしても後回しになります。2024年年末年始も救外で怒号が飛び交ったそうですが、ご理解いただければッて思います。しょうがないんですよ、さばき切れるのだって限界がありますし、丁寧に見ていかないといけない部分もありますし。

何より専門じゃないこともあるので、ぶっちゃけそれでぐちぐち言われても「知らんが・・・」としか思えないので、それなら何とか時間捻出してしっかり普通の外来開いているときに来てほしいなって思っています。

あくまで「救急外来」なので・・・。

話がそれましたが、簡単に副作用を小見出しにして羅列していくと・・・。

〇胃を荒らすかも?←これは結構知っている人は多いイメージ

市販薬のロキソニンを毎度買って、常用レベルに飲んでるって人はあんまり多くない気がします。だって高いので。処方箋アリで買うと安いんですよね。保険が効くから・・・。

処方箋アリで常用レベルで飲んでいるってことはつまりどういうことかと言えば、「医者」が診てるんですよ。だから大体、胃薬が処方されてたり、あるいは「飲み過ぎるときは胃薬飲んでね~」って言われてるかと思います。

だから頻回にNSAIDs飲む人ほど、胃を荒らすよってのは知ってる人が多いかも。

マージで困るんですよ。これ・・・。たまになんですけど、死ぬほどロキソプロフェン3錠分3/dayとかで出すドクターもいらして・・・。それがもう1~2週間とかまとめてドサーーーーーッと出すDrの方、まだいらします。

勘弁してくれ~~~~~~~ッって思うのはなぜかというと、そこまで飲む期間があって胃薬(PPIとか)がないとなると・・・胃から急性出血して吐血ドバー!!!!!!!!!!!!!!!!!ってなる可能性があるんですよ。

結構高い確率で。。。(AGMLって言います。グロかもしれないんで画像は載せませんが、気になる方いらせばGoogleでAGMLで画像検索してください)。

ちなみに、吐血と喀血は区別した方がイイです。これ・・・中々説明すると長くなるんですけど
簡単に、超簡略化して言えば・・・咳と同時に出るのが喀血、吐血は「ゲボーッ」と吐く時に出る奴です。色とかでも大体分かるんですけど、まあ場合によるので割愛しますが・・・。

で、院内でもデカイ病院とかだと年1~2回くらいAGML(大体整形の患者さん←整形の先生を悪く言ってるわけじゃないです、PPI出してほしいだけで)見ますね。大体緊急内視鏡とかで夜中とかに「オア~~~~~~~~~~~~ッ」て呼び出されたりします。オンコールも・・・。セカンドコールとかも場合に寄ったら・・・。

吐血する可能性がメチャ・高いので、胃薬は飲んでほしいですねNSAIDs・・・。
とんぷく1回のみ!とかであれば要らんですけど・・・。連日にわたって飲むなら飲んでほしい。それだけですね。

〇結構よく飲む人でも知らない「腎障害」のリスク

これ、凄い印象的に思ってるのが医学生の時に腎臓内科の授業で腎内の教授が「ロキソニンってあるじゃん?アレスゲー飲む人いるんだよたまに。でさあ・・・胃腸を荒らすよってのは皆も知ってると思うんだけどさあ・・・腎臓悪くすんだよねェ・・・。それ知らないでガブガブ飲んで、気づいたら腎臓クソ悪くなってましたーってのが多くって困るんだよね、みんなは気を付けてね」って言ってたのを「ほ~~~~~~っ」って思った記憶があるんです。

で、NSAIDsの添付文書とか諸々機序・作用を調べてみたら確かに腎障害ってあるんですよね。これがなかなか厄介で・・・。

人間の臓器って結構頑張るんですけど機能落ちたら基本戻れないです。
早いとこIPS細胞とかで、自分由来の腎臓移植術とかできるといいですね。
でもその頃には日本の医療財政破綻してると思いますけど・・・。

腎臓って、基本的に機能が落ちたら戻ってこないです。凄い急性に腎障害が出ることを「AKI(Acute Kidney Injury)」って言うんですけど、これは急激に腎臓の機能がガクーーーッって落ちる奴なんですよね。ただまあ大体完全に元通りにはならないまでも、ある程度戻ることが多いです(戻らないこともあると思います)。NSAIDsのODとかだとAKIリスクあるかも。調べてみます・・・。
(自分はNSAIDsのOD症例には出くわしたことがない)。

NSAIDsを漫然と飲み続けると、AKIにはなり切らずとも、徐々に徐々に慢性的に腎機能が落ちていくことが強く予想されます。そういう「ゆっくり」落ちていく場合、基本的に腎臓って元に戻らないんですよ。

そして腎機能が落ちていったその先にあるのは「透析」です。透析は本当に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・キツイし、医療費もかかるし、何より人生のQOLをダダ下がりさせるものだと思うので、「知らない」じゃすまされないんですよね。

透析導入第一位は今「糖尿病性腎症」が第一位だったと思います。だけどNSAIDsによる腎機能低下(薬剤性腎障害)もあると思うんですよね。ゼロではないはずです。

(血液)透析になったら、シャント作らなきゃならないし、週に何度も透析するわけで、旅行などの遠出もおっくうになりつつ、食事や飲水も厳格なコントロールが必要になりますし、食事制限も大きいです。腎機能低下時からも厳格な食事コントロールとかが必要になるので、多分普通に・・・腎臓悪くするのって滅茶苦茶人生のQOLが下がる案件だと思うんですよね。

食に対して執着が強い日本人なら特にQOL下がると思います。

〇まとめに

人生のQOL、高く維持したいですよね、できるだけ長く、できるだけ健康に。

だからこそロキソニンとかは明確に副作用に「腎障害リスク」があるよって事を啓蒙したくて、この記事を書きました。

かなり簡略して書いていますし、私消化器内科なので腎内のスペシャリストって訳ではないので、間違っている情報もあるかもしれません。

この情報をとっかかりに、調べてみるといいかも・・・って思います。

いずれにせよ、ガブガブ飲まないなら飲まない方がイイと思います。

本当に強くそれは思います。やめてね、がぶ飲み。

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