脳内雑記:夜間救急一人当直で
普段の記事よりもさらに脳内整理というか脳内の考えていることを垂れ流すためだけの記事です。
医療の話になります。特に注釈とかも入れず、意識せず書き殴る内容です。
もちろんプライバシー等、個人情報の類は載せません。治療方法について普段自分が考えていることを書き連ねてみるだけの記事です。
結構自分の中での悩みをガキガキ書き連ねるだけなので、うやむや文章だったりするかもしれません。若手と言っても、使えないガキ医者のたわごとだと思っていただければ何よりです。
〇気管挿管案件
うーん、これは悩むのです。と言うか、気管挿管を普段やるような科って、基本的には「麻酔科」あるいは「救急科(それも三次救急?)」が日常的に気管挿管の手技をするんだと思っています。もちろん麻酔科がないような病院で・・・、外科が自身で麻酔導入するとこもあるかもしれません。自分は外科ではないので、詳しくないのですが・・・。
これは当たり前に思っていることなのですが、医者ってなった瞬間に医者ができる手技ができるようになる「ようになる」わけじゃなくて、その手技をやる「権利」を与えられるだけなんですよ。
当たり前だけど、手技の熟練はシミュレーションでの練習とか「場数」とかが必要になる。
シミュレーションは機器を使ったり、イメージトレーニングしたり、いろいろありますが、あとは「見て覚えること」ですね。
「見て覚える」なんて非効率な事やってんのかいって話ですけど、そりゃその通りなんですよ。だって「手技」は患者さんにとって「必要な時」にしかやらないです。必要もないのに手技を行ったら、それが例えば患者さんに侵襲を与えるものだとしたらそれは犯罪行為になってしまうから。回数が限られてるわけです。特にめったにやらないような手技は特にそう。だから「見る」事も立派な経験になるのです。
ほんで、日常的に入れるようなルート確保だったり採血なんてまあ手技の回数はどの科でも基本多いのでまあ誰でもきっとできると思うんですよ。
ただそれがレベルアップして、例えばエコールート。エコールートは研修医時代死ぬほどやらせていただく機会があったので今でもまあやれなくはないんですが、期間も空いてきたし・・・一発で決める自信は無いのです。その「期間があくこと」はまた後で書くとして・・・。
例えば中心静脈カテーテル挿入(CVC)や気管挿管、ミニトラック留置とか脱気、腹穿、胸穿、そういった手技。他はナートとか。
これ全部完璧にできるドクターってあんまりいないんじゃないかな?と思うのです。特化しているのは「麻酔科」だと思います。ガチ手技特化ですし。
逆に私のような内科のドクターでやすやすと、楽々とミニトラック留置できんのかいと言われると「無理かも・・・」ってなる。だってやる頻度少ないし・・・、研修医の頃にガッツリやった経験もない。何だったらミニトラックはもう製造終了して別の器具になってるし・・・。
なんでできねえんだよ?って患者さんは思うかもしれません。
理由としては・・・まあ「できるかもしれないけど」、「身体が忘れてる」というか、そりゃ毎日やっている手技であれば慣れてやることはできます。
だけど、数か月に1回遭遇するかしないかの手技の場合・・・、身体に慣らすってことがなかなか難しいんですよね。
毎日1-2件のオペで気管挿管する麻酔科のドクターと、数か月、あるいは半年にいっぺん位夜間のER当直で気管挿管案件に出会う内科医だとすると、どっちがスポスポ挿管できますかあ?ってなるとそりゃ前者に決まってる。
実際どっちのドクターに入れてもらいたいかって聞いたらそりゃ毎日入れてる人に入れてもらった方が良いじゃないですか。だからまあそうなんですけど・・・。いつも人員が安定しているわけじゃあないし・・・。
ほんで、やらなきゃならないかも案件に遭遇した時があったとしたら、「やれや」って思うと思うのです。
だがしかしこと「気管挿管」に至ってはなかなか難しいものがあって。
何が難しいかと言うと・・・、例を挟んで書くのですが、
例えば、王の病室1話であったようなCPA(心停止)患者の場合。ROSCしたけどSatが低くて、バックバルブマスクでもSatが上がりきらんと。王の病室では1年目研修医が「気管挿管」してたけれど、正直あの判断は「どうなん?」って思うのと、結果論として「成功」させたあの研修医はマジで(すごい意味で)バケモンだわ・・・と思うのです。デキレジ?だと思う。只判断を仰ぐべきだったとも思うのですが・・・。
実際、そういう案件になった時は院内で人を自分は呼ぶと思います。手の空いてるDr全員かきあつめて、空いて無くても呼んで。ICUドクターは絶対いると思うし・・・。
後でホントごめんなさいするとして、CPA案件でROSCしたとしたら、まあ気管挿管は「多分するよナア」と思います。年齢に関係なく・・・。いやその状況によりますけど・・・。
その後どうなるかは、また今後に書くとして・・・。只自分はSatが回復しきらないからって言って、無理に気管挿管には踏み切らないかも。ずっととりあえずバックバルブマスクで何とかICUのDrあるいは当直で麻酔科Drがいらすならその人たちの到着を待ちます。
なんでやねん!挿管しろや!って思うかもしれないんですけど、気管挿管って文字通り気管に管をぶち込むわけなんですけど、まあそれに使う道具が病院によって違ったりもします。古い病院とかであればマッキントッシュ、最新と言うか比較的新しい機材入れてくれるところであればマックグラス喉頭鏡があるでしょう。マックグラスでさえ、場合によっちゃ患者さん毎に声門の見えやすさなどが違うので(舌の構造などが影響)、入れにくさがあると思うのです。
ほんで、多分やらなきゃならない状況になった時に、どうしてもって時があったら1回は「トライ」すると思うのですが、2回目は絶対多分しないと思う。
なんでかって言うと・・・、無理して気管挿管トライをすると、声門にガツガツ管を当ててしまう可能性があって、声門は普段何か物体にあたるよう想定されていないので、浮腫ができるんですよ。簡単に言えば声門がむくむのです。そうなると、気管挿管に熟練した麻酔科医も「入れにくく」なる。理由は声門が浮腫で狭くなるからですね。
自分が研修医ローテで麻酔科のオーベンにしきりに質問していた内容なのですが、決まって先生方皆こう言います、「無理そうだったらバックバルブで頑張って俺達の到着を待て」と。あんまり声門がむくんでしまうと普段日常的に入れている先生ですら厳しい状態になってしまう可能性があるのです。
気管挿管以外にも、ラリマ(ラリンジアルマスク)とかもありますし、舌根沈下とかであれば鼻腔エアウェイって選択肢もある。もちろん適応があればの話になりますが・・・、オーバードーズとかで舌根沈下してるだけってならば、鼻腔エアウェイが確実なのかなあって思うところもあり・・・。まあODで舌根沈下ってのは大分「ヤバイ」状況ではあるけど・・・。うーん・・・。
(でも、ラリマが院内にある?オベ場があればあると思うけど・・・。)
だからこそ、無理な「トライ」は良くないなと思うのです・・・。でもそれだと「スキルの向上」につながらない部分もありますが・・・、いったいどうすればいいのでしょうね。
無理して挿管トライして、浮腫ませて声門もう閉じきるくらいになっちゃって、かえってSat悪化したりして、ヘルプに来た麻酔科医に怒られたり・・・、何なら命の危険まであるわけで・・・。それするくらいなら俺らの到着待て!って言われるのは目に見えることです。
何なら、外科のドクターの方がまだ慣れているかもしれない。だから大事なのは「やばそうだったら」夜間だろうと院内にいるドクター叩き起こして呼ぶわけですよ。自分が救外当番でもね、いるドクター呼びます。オンコールも必要だったら呼ぶ。だって・・・いくら怒られようが無能扱いされようが、自分の身を守るため(=訴訟から身を守る)でもあるし・・・。
実際できないかもしれないのは事実なので・・・。でもそういう案件に遭遇する事って、実のとこめちゃくちゃよくある!ってことはあんまりないんですよね・・・。だからこそ、ハズレくじ引いた当直日とかに自分が遭遇しちゃうと、「あわわわわわ」となってしまうというか・・・。うーん、難しい・・・ですね。
田舎とかで医療過疎地だったとして、呼べるドクター呼んでそれでも救命が出来なければ、それはもう「無理」なんだと思います。それはもう「仕方がない」。実際そうだと思うのです。それもこの先多分、どんどん高齢者が増えて医者が保険診療から離れたり訪問医療などに転向していき・・・、急性期で働くドクターが減れば、医師の偏在化が進んでいる中、田舎ではそういった医療資源が減少し、無理な治療はできん、となってしまう可能性もあるでしょう。「医師の手技の修練不足」では片づけられないと思うのです。だって機会がないですし。修練の・・・。24時間しか時間が無いのは医者も同じで、専門科の手技(内視鏡など)であったり、外来で専門患者を診たり、病棟管理したりなんてしてそれに加えて必須手技を毎日やるとしたら肉体が持たないしまずそもそもの時間が足りない。毎日睡眠0時間でも多分足りないと思います。
ぶっちゃけた話助けられない人もこれからぼんぼこ出てくるだろうし、現に見えてないだけで既に出てるんだと思うのです。
難しいけど、そりゃ患者側からして見りゃ困るよって話かもしれないけど、それが事実なのです。そしてその責任を負うのは「医師」なんですよね。
リーダーだから・・・。いくらチーム医療とはいえ、責任者は医者になっちゃうので訴訟対象も病院+医者になるわけで・・・。割に合わねえなーって思いながら、びくびくしながら夜の当直とかを過ごしていくわけです。
人が少ない所だと夜一人で回したりとかね・・・。怖いですよ、怖さは一生抜けないと思います。
こうやって命と精神をすり減らしつつ、過ごしていくのかなアって思うのです。
〇腰椎穿刺(ルンバール)について
これもまあ悩みどころで・・・。発熱というか熱発患者でガチ目に気を付けないといけないのがまあ脊髄炎で・・・。細菌性脊髄炎とかの場合マジで気を付けないといけなくて、救外で項部硬直陽性だったり、ジョルトサイン(Jolt sign ジョルトアクセントレーション)が陽性だったりするとまあ怖いわけで・・・(他にもケルニッヒ兆候とか陽性だとこわい)・・・。あんまり見ないんですけどね・・・大人の脊髄炎は殆ど・・・。子供の熱発は「怖い」です。できればもっとデカイ病院で見てほしい。自分一人でみてるとき、小児科の当直医いたらそっち呼んじゃうと思う。それだけ子供は違うので・・・。
ほんで、うーん、腰椎穿刺する?って話になるわけです。もちろん頭蓋内圧亢進しとるかどうかのチェックとかもした後で・・・。
腰椎穿刺、する?って話をします。自分は・・・悩むけど、
まず最優先事項でやるべきこととしては血培とってエンピリックに抗菌薬投与、ほんでステロイドかませつつ・・・ここまでは前提として、
院内に神経内科のDrがいるORオンコールなら呼んだうえでトライはすると思います。
逆に神経内科が無い場合は・・・多分転送すると思う。
なんで?って話なんですけど・・・、自分研修医ローテの時、髄膜炎を救外で見た時とかにルンバールはできた方が良いなって思って、結構な時間神経内科をローテーションして。腰椎穿刺を積極的にやらせてもらったんです。
まあ手順とかいろいろできるようにはなったものの、やはり腰椎ってなかなか人によって個人差が大きくて刺しやすい刺しにくいがあるわけです。一朝一夕に身につく技術じゃあなくて・・・。
これはまあ研修医だからってのもあるんですけど、上級医の先生にスイッチした後もその先生もきついな~ってなって、別のDrになったりして。
結構あるんですよね、腰椎穿刺って。A先生は入れられたけどB先生はきつかった、でも別日ではB先生がOKでA先生がダメだったりとか、結構腰椎って人による相性があるような気がします。
専門の先生でさえそれ位難しい困難症例には結構手ごわいな・・・ってなる中、細菌性脊髄炎で早急なルンバールが必要と推奨されてるケースにおいて、ズブ素人まではいかずとも、まあちょっと触ったくらいの経験者がやって困難症例だった時、どうする!?って話なわけです。
その時の神経内科ローテの科長の先生に尋ねたことがあります。「夜間で救外で細菌性髄膜炎を疑う患者が来たら、どうするのが最適解です?」と。
そしたら「神経内科呼ぶのが一番だよ~」っておっしゃってくださって。
「我々ですら厳しい腰椎穿刺があるのに、難しい症例にあんまり経験ない先生がやってもキツイのは変わらない。実際エンピリックな抗菌薬投与してから、血液から髄液まで移行するのにある程度タイムラグがあるから、とにかく血培とって抗菌薬とって院内に神経内科のオンコールいるなら呼ぶ、無理そうなら転送が一番だと思うよ。血培とらないで転送してくることもあるから・・・血培はとってほしいよなー・・・」っておっしゃってくださって。
なるほど・・・と思ったわけです。血培なら、基本医師ならAからとれるからまあフェモからとりゃ良いわけで・・・、ばっと取って、院内で厳しければ抗菌薬+ステロイド噛ませて転送がベストなのかなあって思います。
ただ、ステロイドかます以上は他の熱発疾患をキッチリ除外した上で・・・、急変に備え転送時の救急車に同乗、とかも考えないといけないのかなあって思います・・・。うーん・・・。
いずれにしても気を付けないとこわいなって思いながら・・・。
いや、ホントこわい。気を付けないと・・・。
うーん、うーん・・・。Criticalになりうる疾患はホント、怖いな・・・って思うのと、医者になってから改めて全科当直とか怖いよナアって思います。こんなこと医者になるまで考えたことなかったから・・・。
命を預かる責任については本当に、怖いなって思うのです。当たり前ですが・・・。
〇人に頼る勇気
何より自身の身を守るのも含め、困ったら恥も外ヅラもかなぐり捨てて他のDrにヘルプを呼ぶ勇気と・・・、外勤先とか、バイト当直なら意識しなきゃなって思うのは「ココじゃ対応しきれん」ってなった時に普段どこに「転送」しているか?という事を把握しておくこと・・・。
実際これはかつてのオーベンの先生に尋ねたら普段から意識してることって言って教えてくださった言葉で。
「まずオレはそこの病院がどこに普段対応できなかったときに「転送」してるかと、その地域の病院のレベル(一次~三次)までを把握したうえでバイト行ってるよ」って教えてくださって。
なるほどな・・・って思った記憶があります。助け合いで・・・、うまく回さないといけないなあって思うのです。各科助けあい、何より大事!って強ーく思うのです・・・。
こういった脳内記事は適当にまた書いていこうと思っています。