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YouTuberを超えた大波が押し寄せる 2,000億円超のゲームUGC市場で個人が億万長者に #フォートナイト起業日記

みなさん、こんにちは。フォートナイトを使ったメタバース制作スタジオ「NEIGHBOR」代表のノトフと申します。「なぜフォートナイトが“バトロワを超えたUGCプラットフォーム”と呼ばれるのか」「NEIGHBORが2022年に創業してどんな道を歩んできたのか」を、徹底的に網羅しつつ、Robloxとの市場比較Epic Gamesとの関係Netflixコラボ・Snoop Dogg誕生日パーティなど、豊富なエピソードを挟んでいます。

もしあなたが

  • フォートナイトのUGC化に興味がある

  • 日本が世界に向けてメタバースビジネスを展開する秘訣を知りたい

  • NEIGHBORが描く「日本発のキャラIP」を世界に届けるビジョンを深く知りたい

という方であれば、この大作記事はまさに読み応え十分だと思います。ぜひ、何度かに分けてお楽しみください。それではどうぞ!



第1章:フォートナイトは“ YouTube化”している —— プラットフォーム革命の序章

フォートナイトは“ゲーム投稿プラットフォーム”化へ

1-1. バトルロイヤルから“ゲーム投稿プラットフォーム”へ

フォートナイトといえば「銃撃戦で最後の1人になるまで戦うバトルロイヤルゲーム」というイメージが強いですよね。確かに2017年のリリース初期はそれで世界的に流行しました。しかし、近年のフォートナイトは“クリエイティブモード”によって急速にUGC(User Generated Content)プラットフォームへ変貌を遂げています。

  • ユーザーが自由にゲームを作り投稿できる

  • それを世界中のプレイヤーが好きなときに遊びに行ける。

まさにYouTubeが「個人が動画をアップロードできる場」としてテレビを超えるインパクトを生んだように、フォートナイトは“ゲームの投稿プラットフォーム”として新たな文化を創り出しつつあるのです。


1-2. “ゲームUGC市場規模”は2024年に2,000億円超

ゲームUGC市場規模”は2024年に2,000億円超

■RobloxやZEPETOも大躍進

フォートナイト以外にも、RobloxZEPETOといったUGC型プラットフォームが2020年代に爆発的に成長しています。

  1. Roblox

    • 2024年現在で月間アクティブユーザー4億人を誇り、北米や欧州の子ども~大人まで幅広い層が“自作ゲーム”を投稿・プレイする文化が根づいている。

    • クリエイターはアイテム課金で収益を得る。大成功する投稿者はトップレベルで100億円近くを稼ぐ。

  2. ZEPETO

    • 韓国発のアバターSNSという性格が強く、総アカウント数1億超とも言われる。

    • 主にアバターファッションやK-POPアーティストとのコラボなどが盛んで、欧米・アジア含めた若い女性層に人気。

■Robloxとフォートナイトの“UGC市場規模”は2024年に2,000億円超

さらに注目すべきはRobloxとフォートナイトがそれぞれクリエイターに支払っている金額—言い換えれば「UGC市場の規模」です。下記は年間クリエイター支払額の推移を表したデータを文章化したものですが、2024年には両者を合計して約1,298百万ドル(約13億ドルほど)に達すると予測され、円換算で2,000億円前後と見込まれます。

  • 2023年時点ですでに 1,060百万ドル(約1,060Mドル)の合計。

  • 2024年予測では Roblox が 821Mドル、Fortnite が 477Mドル、両者合計で約1,298.2Mドル(2,000億円)。

要するに、「Robloxとフォートナイトを合わせたUGC市場」は2024年に2,000億円以上へ到達する見通しがあり、まさしくUGC(ユーザー生成コンテンツ)こそが新たなインターネット経済圏を形づくっているといえます。
フォートナイトは「バトルロイヤル」という大枠のイメージを持たれがちですが、実際はこうしたUGCの巨大マーケットとして成長中—それこそが「シューティングゲームの枠を超えたメタバース代表格」と呼ばれるゆえんであり、NEIGHBORがここに注目した大きな理由でもあります。

クリエイターはフォートナイトから収益配分を受け取る

1-3. なぜ「YouTube化」なのか

改めて言うと、フォートナイトの発展はYouTubeが動画界に起こした革命をゲーム界に起こしつつあります。

  • 以前は「ゲームを作る」という行為は大手ゲーム会社やプロの開発者だけのものでしたが、フォートナイトのUGCでは個人でも比較的短期間・低コストで作品を投稿し、数百万人のユーザーを獲得できる可能性がある。

  • Robloxも同じ文脈で巨大市場を築き、2024年には合計2,000億円以上の支払いをクリエイターに行うと予測されているわけです。

この「ユーザーがコンテンツを作り、それを世界中の人が遊ぶ」流れは、今後ますますメタバースやVR領域にも波及していくと思われます。まさにプラットフォーム革命が進行中—しかし日本ではそれを認識していない大人が多い、というのがNEIGHBOR起業前夜の私の最大の焦燥感でした。

1-4. 億万長者は100人弱!フォートナイトのクリエイターエコノミー - エンゲージメント報酬とUEFN

フォートナイトクリエイターの稼いでいる金額と人数

フォートナイトのクリエイターは、主に「エンゲージメント報酬」と呼ばれる仕組みで収益を得ています。これは、プレイヤーがクリエイターの制作した島で過ごした時間に基づいて報酬が支払われる仕組みです。2023年3月には、総額3億2000万ドルがクリエイターに支払われました。これはフォートナイトの総収益の約40%に相当する額です。年間1億円以上の報酬を受け取るクリエイターは100人前後になると予想されています。

また機能面での成長も見逃せません。2023年3月にリリースされたUnreal Editor for Fortnite (UEFN) は、クリエイターエコノミーに大きな変化をもたらしました。UEFNは、Unreal Engine 5の機能をフォートナイト内で利用できるツールで、より自由度の高いゲーム制作が可能になりました。

UEFNの登場により、クリエイターは以下のことができるようになりました:

  • カスタムアセットのインポート より高度なゲームロジックの実装

  • Unreal Engine 5の機能を活用した、よりリッチなビジュアルの実現

UEFNの登場は、フォートナイトのUGCの可能性を大きく広げ、より多くのクリエイターが参入するきっかけとなっています。今後、UEFNを活用したAAAタイトルに匹敵するような高品質なゲームが登場することも予想され、フォートナイトのクリエイターエコノミーはさらに拡大していくでしょう。


第2章:日本の大人に浸透していないメタバース —— 危機感が起業の原点

2-1. 子どもたちはすでにメタバースで遊んでいる

一方、日本国内では若い世代—特に小中学生—はもうフォートナイトやRobloxを使い、ネット上で日々遊んでいます。昼間は学校に行き、放課後はフォートナイトにログインして、仲間同士で「今日はどのアスレチック行く?」「あれ面白そうだから行こう!」と決めて集まる。

  • ボイスチャットで会話しながらゲーム内を行き来し、休憩がてら雑談—もはや“ゲームを遊ぶ”というより“オンライン空間で暮らす”に近い感覚。

  • 「バトロワ」はメインではなく、クリエイティブモードで個人が作ったアスレチックや謎解きマップを無数に渡り歩く、まさにメタバースな過ごし方。

2-2. 大人には「フォートナイト=銃撃戦」としか認識されていない

しかしメタバースブームがおきた2020年ごろ、大人たちや一般企業は、「フォートナイトってあの銃撃戦でしょ?」という認識で止まっており、UGCやメタバースという切り口がまるで浸透していない。この温度差こそが「日本が世界に大きく遅れるのでは?」という危機感を私に抱かせました。

  • 2020年ごろ、“メタバース”が流行語的に盛り上がったとき、VRChatやクラスターなどの独自3D空間を日本企業が続々と作っては「人がいない…」と困っている例が多かった。

  • それなら最初から世界でユーザーが既に何億人もいる“Robloxやフォートナイト”*やればいいのに、という考え方があまり共有されていないのが不思議でした。

2-3. “メタバース上に日本の販路を作る”という発想

もう一つ私が強く意識していたのは、かつて日本が海外に多くの製品や技術を輸出する際に、“商社”と呼ばれる総合商社が大きな役割を果たしていたという歴史です。自動車や電子製品を世界中に売り込むために、総合商社が国境を超えた物流や取引ルートを築いてきました。

ところが、インターネット時代に入ってからは米国の巨大プラットフォーム(YouTube、Netflix、Amazonなど)に市場を握られ、日本発のコンテンツやサービスが“世界規模で売り込むための決定的な販路”を見つけにくい状況が続いています。

韓国ではK-POPを世界に売り込む際にYouTubeを巧みに使い、アーティストのMVや映像コンテンツをグローバル発信して成功を収めたことがあります。BTSやBLACKPINKなどがその典型で、当時、日本でも多くの人がK-POPをYouTube経由で知り、海外ファンとSNS上で盛り上がる現象を目の当たりにしました。

NEIGHBORでは、従来の商社が海外に広大な流通ネットワークを作って日本製品を運んでいったように、メタバース上に日本の商品やキャラクター、ゲームを持っていく流通路を作りたいのです。

Netflix、2022年の韓国作品ラインナップ
https://about.netflix.com/ja/news/the-next-wave-netflix-unveils-korean-line-up-for-2022
  • インターネットが普及してから、日本のIT産業が“プラットフォーム大国”になれずにきた歴史を繰り返したくない。

  • 「フォートナイトこそ、そのプラットフォームの一角となる」という認識を持ち、日本の企業やクリエイターがフォートナイトで成功するための“導線”を作らねば—それがNEIGHBORを起業する一番の動機でした。

2-4. 1000億円以上の出資が集まるフォートナイトの強さ。大手企業のフォートナイトへの投資・参入事例

フォートナイトの可能性に注目しているのは、NEIGHBORだけではありません。世界的エンターテイメント企業であるディズニーやレゴグループも、Epic Gamesへの大型投資を通じて、フォートナイトへの強い関心を示しています。これらの動きは、フォートナイトが単なるゲームプラットフォームを超え、次世代のエンターテイメント・プラットフォームへと進化する可能性を裏付けています。

ディズニーがEpic Gamesに約2225億円の出資

■大手企業のフォートナイトへの投資・参入

フォートナイトの可能性に注目しているのは、NEIGHBORだけではありません。近年、ディズニーやレゴグループといった世界的エンターテインメント企業が、Epic Gamesに対して大型投資を行っています。これらの動きは、フォートナイトが単なるゲームプラットフォームを超え、次世代のエンターテインメント・プラットフォームへと進化する可能性を裏付けています。

ディズニー:2024年2月、ディズニーはEpic Gamesに15億ドル(約2,300億円)を出資し、フォートナイト内にディズニーの独自ワールドを構築する計画を発表しました。
このワールドでは、ディズニー、ピクサー、マーベル、スター・ウォーズ、アバターなど、ディズニー傘下の人気IPを活用したゲームやエンターテインメント体験が提供される予定です。
ディズニーは、この取り組みを通じて、フォートナイトの膨大なユーザーベースにリーチし、自社IPの新たなファン層を開拓することを目指しています。https://chizaizukan.com/news/3RTIWiu1ivsPCwajAqMVnY/

レゴグループ:2022年4月、レゴグループはEpic Gamesに10億ドル(約1,500億円)を出資しました。
両社は、子供向けのメタバース空間を構築する長期的なパートナーシップを締結しています。
レゴグループは、フォートナイトの技術を活用して、子供たちが安全に遊べるデジタル空間を創造することを目指しています。
2023年12月には、その第一弾として、フォートナイト内に「レゴ フォートナイト」をリリースしました。レゴブロックを使った建築や、広大なマップの冒険が楽しめる内容で、サバイバルとクラフトの要素が融合したゲームです。https://jp.ign.com/fortnite/58979/news/epic-games20

これらの大手企業の参入は、フォートナイトがゲームの枠を超え、メタバース市場における重要なプラットフォームへと成長していることを示しています。


第3章:NEIGHBOR創業物語 —— 2022年、フォートナイト参入という選択

3-1. 北米・欧州との差をまざまざと見せつけられる

2021年〜2022年頃、北米や欧州ではフォートナイトを使った大規模プロジェクトやビジネスが次々と立ち上がっていました。eスポーツ大会やタレントコラボ、ブランドの公式ワールド構築など。その数やクオリティに驚くほど。

  • しかし、日本では企業としてフォートナイトに参入している事例を探しても見当たらない。

  • ここで「日本はまたしても世界的なプラットフォーム革命に気づかずスルーしてしまうのか?」と感じた私は、2022年5月にNEIGHBORの前身(個人事業レベル)をスタートさせました。

3-2. VCや企業への猛アタック

資金も実績もゼロだった当初は、ひたすら「フォートナイトがメタバース化している」「日本にとって大きなチャンス」というプレゼン資料を持ち、VCや企業に説明に回る日々。

  • 大半の反応は「フォートナイト=銃撃戦」としか知らず、「メタバース?本当に??」という疑問調。

  • 一部の投資家だけが「世界で1億人以上のアクティブユーザーのプラットフォームなら面白いかも」と興味を示す状態。

3-3. “出資を得る”までのハードルとプレスリリース戦略

「国内には成功事例がほぼない状態」で説得するのは至難の業でしたが、私はプレスリリースを積極的に打ち、「フォートナイトでこんなことができる」「海外ではこういうプロジェクトがある」とSNSでも毎日発信し続けました。そこにけんすうさんが興味を持ち、DMに返事をくださったのが大きな転機になったわけです。
このエピソードがなければ、NEIGHBORは出資を得ていなかったかもしれません。


第4章:けんすうさんとの出会い —— 100万プレイ超えがもたらした衝撃

4-1. 運命のDMから始まった案件

NEIGHBORを創業準備中の2022年夏前、私のTwitterにけんすうさんが「面白そうだから話しましょう」と反応してくれました。Zoomで会話すると、「フォートナイトがバトロワ以上の可能性を秘めている」と熱弁した私に対し、

  • 「ロケスタくんというキャラクターをフォートナイトでゲーム化してみますか?」とけんすうさんから提案

  • 制作費100万円、期間2ヶ月で自由に作ってOK
    と提案され、チャンス到来だと全力で食いつきました。

けんすうさんのインタビュー記事より抜粋「絶対無理だろうと思っていた」とか。

4-2. ロケスタくんボス戦 & アスレチック → 100万プレイ

2ヶ月かけて制作したのは、

  1. ロケスタくんを巨大ボスに見立てたシューティーングゲーム

  2. ロケスタくんアスレチック
    この2つのゲームをフォートナイトのクリエイティブモードで公開したところ、世界各国のプレイヤーが遊んでくれて100万プレイを超す大ヒットに成長。海外のYouTuberも「こんなボス戦があるぞ」と取り上げられました。

  • フォートナイトで100万プレイという数字自体がインパクト大。

  • けんすうさんも「これは本当にすごい。IPビジネスになります」と絶賛

4-3. 出資&法人化へ

この成功で投資家の目がNEIGHBORに向き、2,300万円のプレシード調達につながります。2022年10月に「株式会社NEIGHBOR」が正式設立され、私たちは「フォートナイトでメタバースビジネスをやるんだ」というビジョンを堂々と語れるようになりました。

  • ここから企業案件やインフルエンサー案件をいくつか進めつつ、チームの制作体制を整備し、さらに飛躍する準備を始める。

  • 次の大きな転機がNetflixホラーアニメとのコラボになるのです。


第5章:Netflixホラーアニメコラボ —— 伊藤潤二のお化け屋敷で世界を沸かす

5-1. ホラーアニメ×フォートナイトという意外性

2022年末、Netflix配信の伊藤潤二先生原作ホラーアニメ(正式タイトル『Junji Ito Maniac』)の宣伝担当から「フォートナイトを使ったPRができないだろうか」との依頼が。

  • 私たちは「メタバースお化け屋敷」を即提案し、アニメ側も「バーチャルで伊藤潤二の恐怖を再現するなんて面白い」と乗り気。

  • フォートナイトの資産やギミックを最大限活かし、陰鬱で不穏な雰囲気を作り込みました。

5-2. 120万プレイ & Epic Gamesから「誰が作ったの?」

結果的に2023年1月にリリースしたお化け屋敷は、公開1ヶ月で120万プレイを突破。Twitterなどで英語圏のホラーファンも拡散し、Netflix公式SNSも取り上げる形で大きくバズ。

  • これを見たEpic GamesのUGC担当者が、「これ誰が作ったの? 詳しく教えて」とNEIGHBORにDM。

  • NEIGHBORとしては「北米企業に知ってもらいたい」と思っていたので願ったり叶ったり。ここからEpicの担当者と連絡を取り合い、フォートナイト公式フィーチャリングも獲得する流れに。

5-3. グローバル認知へ大ブレイクスルー

NetflixコラボはNEIGHBORにとって世界に名を知らしめるブレイクスルーでした。

  • 英語SNSを立ち上げると、海外フォロワーが一気に増え、「NEIGHBORはすごいマップを作るな」と評価が高まる。

  • Epic Gamesとの定期的なミーティングが決まる。「3月にサンフランシスコで行われるGDCに行ってみたら?」と強く勧められ、初めての海外出張へ飛び立つことになるのです。


第6章:Epic Games & GDC —— サンフランシスコで芽生えた海外コミュニティ

6-1. Epic Games担当者との定期ミーティング

Netflixホラーアニメのお化け屋敷で世界を驚かせたNEIGHBORは、その後Epic GamesのフォートナイトUGC担当者と月1回ペースでオンラインミーティングを行うようになりました。

  • 国内ではまだフォートナイトをビジネス利用する企業はほとんどいないため、NEIGHBORがある意味“先駆者”状態に。

6-2. GDC 2023 in サンフランシスコ初参加

日本のEpicスタッフから「Game Developers Conference (GDC)は世界中のゲーム業界・3D業界の人々が集う最大級イベント。行くべき」と勧められ、2023年3月末に初海外出張へ。

  • 会場では有名スタジオ・個人クリエイターが集まり、NEIGHBORのお化け屋敷マップをプレイ済みの人が何人もいて、「あのマップ見たよ!最高だった」という声が本当に励みになった。

  • Epicが主催するクリエイターパーティや、海外クリエイターのホームパーティで意気投合し、SNSやDiscordでつながり、世界的コミュニティに仲間入りするきっかけができた。

6-3. UEFN発表とフォートナイト新時代

ちょうどそのGDCで、フォートナイト向けの新開発環境「UEFN (Unreal Editor for Fortnite)」が正式発表され、大ニュースになりました。

  • 従来クリエイティブモードではアセットやシステム開発は限定的だったが、UEFNでは自作3Dモデルや高度なロジックを実装可能に。

  • 「フォートナイトで何でも作れる」「Unreal Engine相当の機能がUGCに来た」と世界中のクリエイターがざわつく。
    NEIGHBORも「これを使えば完全に独自キャラのIPをフォートナイト上で展開できる」と見込み、独自IP開発へまっすぐ進む決断をします。


第7章:独自IPへの挑戦 —— “ミニ忍者”で230万アクセスを叩き出す

7-1. 自社オリジナルキャラ“ミニ忍者”誕生

NEIGHBORはGDCから帰国後、企業案件の制作をしつつも、「自分たちが作るキャラクターを世界に届けたい」という思いを一気に加速させます。

  • そこで生まれたのが“ミニ忍者(ROKENIN)”という独自IP。日本らしい“忍者”モチーフにコミカルさを加え、世界に通じるデザインを練り上げました。

  • 2023年6月、UEFNを活用して障害物競走(アスレチック)系ゲームをリリースし、ミニ忍者がステージを駆け回る形式に。

7-2. 1本で230万アクセスの大ヒット

結果は想像以上の成功で、230万アクセスを突破。フォートナイト公式のおすすめ欄にも掲載され、同時接続3400人を達成する瞬間もありました。

7-3. IPビジネスへの方針転換

ミニ忍者の大ヒットを機に、NEIGHBOR内部で「もう案件は最小限にし、独自IPを最優先」と決定。

  • フォートナイトUGCなら、まぐれ当たりでも数百万人のプレイヤーに届く可能性がある。

  • しっかり狙って開発すれば、日本発の“次のポケモン”級IPを狙えるかもしれない。
    ここでさらに資金を調達して、思い切った勝負を仕掛けることになり、ZVCなどとの交渉へと進んでいきます。


第8章:ZVCからの追加資金調達 —— スピード重視で2.3億円を手に

8-1. “もっと売上が出てから”という迷い

ミニ忍者が230万アクセスを出したといえど、オリジナルIPがすぐに大きな収益を生むわけではありません。

  • 「もっと売上を稼いでから資金調達してもいいのでは?」と考えていた

  • しかし、投資家のZVC(堀さん、亀岡さんら)は「今すぐ調達したほうがいい」と後押し。NEIGHBORを再び投資家まわりへ駆り立てました。

8-2. “フォートナイトから次のピカチュウを生む”ビジョン

NEIGHBORは追加調達に向けて、大胆なプレゼンを行います。

  • 「フォートナイトの月間アクティブユーザーは1億~2億規模と言われる。YouTubeと同じでグローバル発信が容易。」

  • 「ミニ忍者が230万アクセスを叩き出したように、IPビジネスの大きな可能性がある。次はピカチュウ級キャラを目指す

  • 「案件制作にリソースを割くより、自分たちのIPに全力を注ぐために資金が必要。」

最終的に複数の投資家が納得してくれ、2023年10月2.3億円を追加調達。「これで本格的に独自IPに集中し、世界狙いの展開を加速させよう」と社内も盛り上がります。

8-3. 資金調達後のチーム体制強化

調達資金でまずクリエイター採用を増やし、「月に何本もリリースする」速度で実験と開発を繰り返せるように。また、SNSやDiscord運営、北米向けマーケティングを担うチームも大幅に拡充。

  • ここからSnoop Doggチームとの出会いやSkibidi Toilet公式ライセンス獲得が実現するなど、NEIGHBORがさらなる飛躍を遂げていくのです。


第9章:コミュニティ戦略&海外コラボ —— Snoop Dogg誕生日パーティとSkibidi Toilet公式ライセンス

9-1. 4000人のユーザーが参加するDiscordサーバーでのコミュニティマーケティング

まずはNEIGHBORが継続して力を入れているコミュニティマーケティングについて。フォートナイト上でゲームをヒットさせるうえで鍵となるのが「プレイ時間」「リテンション率」です。ユーザーに飽きられずに何度も戻って来てもらうためには、コアファンを育てていく必要があります。

  • 公式Discordサーバーを整備し、アップデート情報やイベント告知をリアルタイムで発信。

  • そこで毎週のように「今から一緒に遊ぼう!」というセッションを呼びかけ、同時接続を一気に高める。

  • その“急上昇”をフォートナイトのアルゴリズムが検知し、さらに多くのユーザーにおすすめ表示される。

うまくハマると、何万人という規模の新規ユーザーが押し寄せてくれます。国内外問わずファンとの距離を縮めるDiscord施策は、NEIGHBORのゲームを継続的に遊んでもらううえで欠かせない戦略となりました。

9-2. Epic Games大量レイオフの逆風とチャンス

2023年10月、Epic Gamesが大規模レイオフを実施し、フォートナイト部門のスタッフが大量離職したというニュースが…。NEIGHBORとしては「Epicのサポートが削られるのでは?」と心配しましたが、逆にレイオフされた優秀な人材をスカウトするチャンスでもありました。

  • 実際にやり取りのあった担当者がレイオフ対象となり、NEIGHBORが「よければうちへ」とオファー。

  • いろんな企業が彼女を狙っていると思いましたが、NEIGHBORのビジョンに興味を持ってくれて入社が決定。これで北米クリエイターコミュニティやEpic社内へのアクセスがさらに強化されることに。

9-3. LAでのパネルディスカッション → Snoop Dogg誕生日パーティ招待

https://x.com/NEIGHBOR_FN/status/1847306830730395947

その後、アメリカの投資家からの繋がりで、LA・ハリウッドの豪邸で開かれるパネルディスカッションに招待されました。ここにはSnoop Dogg関連スタッフやメルセデス・モネ選手など、大物が集まるとの話。

  • 英語力や文化の違いを不安に思いつつ、「ここで行かなきゃNEIGHBORの名を広められない」と渡米。

  • ハリウッドの丘から夜景を眺める豪邸の世界でフォートナイトメタバース活用の話をしたら「めっちゃ面白い」と言ってもらえ、Snoop Dogg誕生日パーティにも呼ばれる展開に。

  • 誕生日パーティではSnoop Doggの息子コーデルさん(ゲーム部門担当)と話し、スタジオ見学やバスケコートを案内してもらいながら「いつかフォートナイトでコラボしよう」と盛り上がったのは、まさに夢のような出来事でした。

9-4. Skibidi Toilet公式ライセンス獲得の衝撃

さらに、YouTubeで最もバイラルなミームのひとつ「Skibidi Toilet」運営チームから「フォートナイトで公式ライセンスのゲームを作ってほしい」とオファーが舞い込みます。

  • Skibidi Toiletは登録者4,500万人超の短編動画で、大人にはわけが分からないけれど子どもや若年層に圧倒的支持を得ているコンテンツ。

  • NEIGHBORが海外で実績を積んでいると聞きつけ、声をかけてくれた形で、実際に2024年後半にコラボマップを公開。

https://www.youtube.com/watch?si=n8Ypx1G_LI7mRlK6&v=WePNs-G7puA&feature=youtu.be

9-5. 大きな船に乗るための意志

こうしてSnoop DoggやSkibidi Toiletなど、普通なら接点がない海外大物とつながれたのは、NEIGHBORが「海外コミュニティにどんどん突っ込もう」と決めて行動し続けたからに他なりません。

  • 日本独自で小さくやっていると、到底こうしたビッグコラボに巡り会う可能性は低い。

  • しかし英語に自信がなくても、文化が違っても、とにかく飛び込んでみることで想像を超えたチャンスが巡ってくる—これがフォートナイトのグローバルコミュニティの魅力なのです。


第10章:R&D強化とデータドリブンな開発 —— Epic Games公式プレゼンでNEIGHBORが評価された理由

10-1. アルゴリズムを攻略するための“プレイ時間”と“リテンション”

フォートナイトでUGCをヒットさせるには、「プレイ時間(平均滞在時間)」と「リテンション率(再訪率)」を向上させる必要があります。NEIGHBORは2024年にかけてR&Dチームを充実させ、データドリブンな開発を進めました。

15分→40分のプレイ時間向上施策

  • 当初:NEIGHBORマップは平均15分程度で離脱。序盤難易度が高かったり、導線が不十分だったり。

  • 改善策

    1. チュートリアル:開始1分で遊び方や目標を明確に

    2. 段階的ステージ:最初は簡単、後半でギミックをどんどん難しくしてクライマックス

  • こうして平均時間が20分、最終的には40分を超えるタイトルが出現し、フォートナイトのアルゴリズム評価も上昇。

リテンション5%→20~30%へのアップ

  • 当初:1回遊んで終わりのユーザーが9割超。

  • Discordイベントを活用:週末に期間限定モードやスコアアタック大会を実施。

  • アップデート告知:毎週なにか新要素を追加し、「再訪したくなる理由」を作る。

10-2. Epic Games公式プレゼンで“モデルケース”として取り上げられる

Epic Games公式プレゼンで“モデルケース”として取り上げられる

NEIGHBORはこうしたデータ分析&PDCAの経過をTwitter/XやDiscordで公表し続け、「こうすればプレイ時間が伸びる」「離脱率が下がる」といったノウハウを共有。するとEpic Gamesの公式が「NEIGHBORは理想的なデータドリブンのやり方をしている」と注目し、2024年にシアトルで行われたUnreal FestなどのセッションでNEIGHBORのグラフやツイートが実例として大々的にプレゼンされました。

  • 「NEIGHBORは離脱率のデータを細かく見ながら短期サイクルでマップを改善し、成功を掴んでいる」

  • 「フォートナイトUGCでの開発モデルケースの一つ」として紹介され、会場の海外クリエイターから「NEIGHBORのやり方をもっと教えてほしい!」と問い合わせが急増。

10-3. Epic Games基調講演でロゴがスクリーンに

さらに同年のEpic Games基調講演でも、「フォートナイトUGCの代表スタジオ」のロゴを並べるスライドが登場し、NEIGHBORのロゴがドーンと映し出される瞬間がありました。

  • 事前に「ロゴ使っていい?」と打診はあったものの、まさかここまで大きく扱われるとは想定外。

  • 現地orオンラインで視聴していたメンバーは大興奮。SNSでも「NEIGHBOR載ってたね、すごい!」という声が広がる。

10-4. 2025年への展望:世界的ヒットIPを

こうして、R&Dを強化してデータドリブンな開発を徹底した結果、フォートナイト公式からのお墨付きを得るまでになったNEIGHBOR。最終的には2025年を目標に、次の3つを大きな軸に据えています。

  1. 世界的キャラIPの誕生

    • 「ミニ忍者」に続く新キャラや、新たなゲームジャンルでの大ヒットを狙い、日本発のグローバルIPをフォートナイト上で確立。

  2. 日本のメタバース販路確立

    • 世界標準のプラットフォームを使い、NEIGHBORが日本企業やクリエイターの“窓口”になり、海外ユーザーに届ける仕組みを作る。

  3. データ×コミュニティのハイブリッド戦略

    • データ分析で効率的に作品を最適化しつつ、Discordなどで熱心なファンをコアに巻き込み、“人が人を呼ぶ”拡散を促す。

NEIGHBORとしては、この両輪を回すことで*バトロワを超えたフォートナイト”を舞台に大きなビジネスと文化を創出していきたいと考えています。


まとめと今後の展望

ここまで、「#フォートナイト起業日記」としてNEIGHBORが2022年に創業し、2023年に大ヒットや海外コラボを続発させ、2024年にはEpic Games公式から評価を受けるに至るまでの物語を超長尺でお送りしました。

  • 2022年

    • 起業準備期。フォートナイトUGCが世界的に伸びているのに日本は参入が遅れていると感じたノトフがNEIGHBORを始動。けんすうさんとの案件で100万プレイを突破し、出資&法人化成功。

  • 2023年

    • Netflixコラボ(伊藤潤二ホラー)で120万プレイ、Epic Gamesと直接つながり、GDCで海外コミュニティに参入。

    • 独自IP“ミニ忍者”を出したら230万アクセスの大ヒットを獲得し、追加資金調達2.3億円。

  • 2024年

    • R&Dを強化してデータドリブンな開発を確立。プレイ時間15分→40分、リテンション5%→20~30%と大幅改善し、Epic Games公式イベントや基調講演で「モデルケース」として紹介される。

    • 北米人材のスカウトにも成功し、さらに海外コラボや日本企業向けプロデュースに力を注ぐ。

    • Snoop Dogg誕生日パーティに呼ばれ、Skibidi Toilet公式ライセンスも獲得。

  • 2025年以降

    • 世界的なキャラIPをフォートナイトで誕生させ、日本のメタバース販路を確立。

    • データ駆動×コミュニティ駆動という“ハイブリッド”戦略で継続的にヒットを量産し、「フォートナイトの時代に日本が先手を打つ」未来を目指す。

Robloxやフォートナイトを合わせたUGC市場は、2024年には2,000億円規模を超えるとも言われるほど巨大化しており、日本はこのビッグウェーブを活かして世界にクリエイティブを発信する絶好のチャンス。NEIGHBORがその先頭を切って走り、より多くの企業やクリエイターがフォートナイトに参入する“窓口”になれれば幸いです。

もしこの記事を読んで興味を持っていただければ、ぜひSNSでのシェアDiscordへの参加、あるいは「こんなコラボをやりたい!」などのご連絡をお待ちしています。長大な記事を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました!フォートナイト内でお会いできる日を楽しみにしています。


あとがき:ハッシュタグ一覧

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ここまでご覧いただきありがとうございました。次の未来を一緒に創りましょう!

CEO ノトフ X
https://twitter.com/notf