好きな香水を探すのは難しい
人とすれ違いざまに「あぁ!これこれ!この香り!」と思うことがある。
自分好みの香りで思わずうっとりすることがある。
そしてそれが欲しくて買いたいのだけれども、でもその香水がどこの何という香水なのか分からなくてヤキモキすることがある。
まさか見知らぬその人に「あの〜、そちらの香水はどちらでお買い求めに?」などと聞くわけにもいかないし、そうとなれば片っ端から店で香水を嗅いで探していくしかない。
でもそれには限界がある。
かといって人に聞くのも難しい。
食べ物だったら「鶏肉と卵があって、卵は半熟で丼のご飯の上にかかってて...」と言えば、「あぁ、親子丼ね。」と分かってもらえるけれど(そもそも親子丼は誰でもわかるが)、香りを伝えることはまず無理だ。
「あのさ、あの春の柔らかさの中にあって、まるで土から芽吹く生命力に満ち溢れた優雅で気品ある大地からの贈り物のような...」と言われても、何のことだかわかりゃしない。
香りを判定する機械があればいいのにと思う。
体温計みたいな形をしていて、香りにそれを近づければ判別してくれるみたいな。
音楽ではメロディを聴かせれば誰のなんていう曲かわかるアプリがあるが、香りでもそういうものが出たら俺は絶対に買う。
そして街中ではそれを常に手に持ち歩いて、いい香りが漂ってくればすかさずそれを差し向ける。
それには常に鼻を利かせることだ。
常に犬のようにクンクンと嗅ぎ回って、一瞬たりとも香りを逃さない。
そういえば女性はいつも良い香りがする。
シャンプーの香りだ。
俺はシャンプーの香りに弱い。
男性諸君ならお分かりいただけると思う。
シャンプーにも自分好みの香りといったものがあって、それを探すうちに俺は色々なシャンプーを使った。
そのうちシャンプーの香りを嗅げば、それがどのシャンプーかわかるようになった。
女性とすれ違って香りがすれば、「おっ、今のはエッセンシャルに違いない。」、「おっ、これはパンテーンだな。」、「あっ、こりゃあTSUBAKIに決まっている。」などと、見事に的中させる。
高級なシャンプーにだって明るい。
一本数千円もするシャンプーだって俺の鼻にかかりゃお手の物だ。
そういえば昔、ただの女友達にシャンプーをあげたことがある。
気持ち悪がられた。
当たり前だ。
いいなと思ったら応援しよう!
