業務用ローションを買った話
昔、業務用ローションを買ったことがある。18リットルの大容量だ。一般には多すぎる量だろうが、業務用ともなればそれが普通である。どのくらいの量かというと、有名なぺぺローションは一本360㎖。それが50本あると想像してほしい。それが業務用ローションの量だ。なんでそんなに買ったかって?そうだ、俺が貧乏性だからだ。しかも毎回毎回注文するのも面倒くさいし、かといって何十本も一気に買うのはお得じゃない。となれば選択肢は簡単だ。大容量でお得なローションを買うしかない。ちなみに脱線するが、ローションには粘度がある。さらさら、普通、濃厚、あと変わったところでは温熱タイプや冷感タイプなど。俺は濃厚ねっとりタイプが好きだ。そんなこと聞いてない?すまない。でもねっとりはいいぞ。絡みつく...すまない、これ以上は本当に気持ち悪いだろうから言わない。でも一度使ってみてくれ。あれは本当にいいぞ。さて、業務用ローションを買ったわけだが、実に素晴らしかった。それはそうだ。使っても使っても減らないのだから。しかも一回に使う量を気にしなくていいのが良い。360㎖の時はあまりの少なさに残量を気にしてしまって気が気ではなかった。しかし業務用ローションは違う。そんな小さなこと、気にする必要がないのだ。しかししばらくして困ったことがあった。とにかく減らないのだ。使っても使っても全く減る気配がない。一回に使う量なんてたかが知れている。仮に一回に使う量が24㎖(360㎖を15回で使い切るとして)だとしても、750回分だ。2年以上だぞ。2年以上もつってものすごい量だ。ありえない。しかし俺はそんなことまで計算していなかった。だからまさかの量に驚愕した。でもまぁいいや。向こう2年間はローションを買わなくていいのだから。しばらくして引っ越すことになった。荷造りをする。そこにローションの入った段ボールがある。残量はまだまだあった。だから重い。それを新居に持っていくのもなんだし、もうなんだか邪魔になってきてしまった。かといってそのまま捨てるわけにもいかない。どうしようかと思案していた時、思い付いた。そうだ、これはローションパーティーだ。ローションパーティーをするしかない。パーティーといっても複数人ではない。そんなパーティーを開けるほど俺は非常識人ではないし、そもそも友達がいない。となれば仕方ない。一人で部屋の中で浴びるか。いや、部屋の中はまずい。処理に困る。そうだ、風呂場だ。風呂場なら問題ないだろう。俺は早速ローションの入った段ボール箱を抱えて風呂場に向かった。よーし、今日で最後だ。思う存分使ってやる。段ボールにはコックが付いていて、そこをひねるとローションが出てくるのだが、そんなんじゃいつまで経っても大量には浴びられない。俺はコックを外して3〜4cm幅の口からドバドバとローションを頭からぶっかけた。うわーすごいすごい。全身ねっとりだ。全身ぬるっぬるだ。この感覚は初めてだ。しかも大量にかけたからローションは一気に減っている。これは順調だぞ。肌をさする。おおお〜これはエステみたいで気持ちいいなぁ。ちなみにその時、変なことはしていない。誤解があると困るから言っておく。そうして一通りぬるぬるを楽しんだ後、お湯で洗い流すことにした。はぁ〜これで捨てる罪悪感からは免れた。本来の使い方ではないけれど、少なくとも体に塗りたくったから使ったことになるだろう。この調子で残りも使い切ろう。そんなことを考えながらシャワーを浴びていた。...しかしいつまで経ってもぬるぬるが落ちない。こすってもこすってもいつまでもぬるぬるする。あれ?こんなに落ちないもんかなー。さらにシャワーを浴び続けた。しかしさらに時間が経ってもなかなかぬるぬるは落ちない。あっ、これは悪戯だ。YouTubeで見たことがある。海辺のシャワーで頭を洗っていても上からシャンプーをかけられていつまでも泡が落ちないやつ。きっとあれだ。...とは言っても上から誰かがローションをかけてくるわけがない。そんなくだらないことを考えながら俺はひたすらに肌を擦り続け、数十分後にようやく全身のぬるぬるが落ちた。もうこんな面倒はごめんだ。そう思ったが、ローションはまだ大量に残っていた。その後、3回、同じことをやった。擦るのはあそこだけで十分だと思った。