外で食べる袋麺
外で食べる袋麺はうまい。特に外が寒ければ寒いほど。西多摩郡檜原村というところに払沢の滝という名の滝がある。俺は台風シーズンにその滝を見に電車とバスを乗り継いで行った。払沢の滝の途中には南秋川という川がある。その川には河原があって、そこで袋麺を食べようとしていた。それは最初から計画していた。どうしても外でラーメンを食べてみたかったから。外で食べるラーメンが美味しいのは間違いないと思っていたから。払沢の滝を見にいくことがメインだったけれども、半分は外でラーメンが食べたいということもあった。その時は台風シーズンで天気は荒れ模様。雨が降っていたが、その河原の上には陸橋があって雨を凌ぐことができた。陸橋の下でキャンプ用のアルコールストーブを焚き、持ってきたミネラルウォーターをこれまたキャンプ用のコッヘルに入れて沸かし、そこに袋麺を投入して調理した。アルコールストーブの炎に癒される。台風シーズンだから河原になんか誰もいない。たった一人でぼーっとラーメンが出来るのを待つ。アルコールストーブの火に手をかざす。温かい。そして俺は麺固めが好きなので2分で完成。ひとり河原でコッヘルに入った袋麺をずるずるとすすった。実に最高だった。外で食べるってなんてうまいんだろう。スープも全部飲み干した。外が寒ければ寒いほど外で食べるラーメンはうまいと書いたが、でもその時は台風シーズンだったから外は寒くなかった。でもラーメンの美味しさはピカイチだった。そしてひとりの時間の貴重さを知った。ひとりというものは実にいい。子供の頃はひとりだとどうしていいかわからず、母親から「ひとりでもできることを考えなさい。」と諭されたが、今思えば、ひとりで何かを成し遂げるということの訓練を母親は与えてくれていた。自分を持って自立してやっていくこと、当時の母親はそういうことを教えたく、またそれだけ俺のことが心配だったのだろう。今やひとりで過ごす時間の方が圧倒的に多い。そしてそれは実に心地よい。でもそこには反動もあって、やっぱりずっとひとりだと人肌が恋しくなる。だからといって人と交わったら交わったで、それもいずれ面倒になってくる。でも俺は自分を追求するということが好きだ。だからこれからもひとりの時間は大切に取っておきたい。ラーメンの話から飛躍したが、ラーメンを作っている時の待ち時間はいい時間だ。キッチンで作っている時も、そこでぼーっと待つ3分は自分を改めるのに丁度良い時間である。時間にも人生にも、車と同じで多少の遊びがあることで粋になれる。
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