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マイメロディと、小さな攻撃性。

今年の冬休みは、子供たちを連れてサンリオピューロランドへ行ってきた。
6歳の長男が1歳のころに行った以来で、4歳の次男は初めて。
「サンリオのレターセットが欲しい」という長男のリクエストだ。

園内は思ったよりも混んでいて、コロナ禍の割に密度が高い。
とりあえず、近くにあったマイメロディのアトラクションの列に並ぶと、すぐ隣には、小学校低学年くらいの女の子とお母さんが並んでいた。

お揃いの服を着たうちの子供たちはよく目立つ。
ふと女の子の視線を感じたとき、その子は突然「ピューロランドに来る男の子なんてすっごくダサい!だっさ!」と言った。

ドキッとした。
ちょっと意地悪なことを言いたくなっちゃったんだろうか。
幸いうちの子たちは気にしていないようだったので、わたしも気づいていないふりをしていると、 その子のお母さんは「そうだねえ~」と相槌を打った。

他のことを考えていて適当に返事をしたとか、疲れていたとか。
気づいていないと思って、その場を治める返事をしたのかもしれない。
もしかしたら、刺激するとパニックを起こすタイプの子なのかも。
叱らない怒らない育児というものがあると聞く。
何か考えがあったのだろうか。
一瞬で色々な考えがよぎる。

そのまま何事もなく列は進み、マイメロディと一緒に「マリーランド」のドライブを終えた。

こんなとき、このお母さんの立場だったら何と言うのが正解なんだろう。
子育てに正解なんてものがないのは分かっているけれど、ふと考えてしまう。
あの子は、お母さんは、何を思って言ったんだろう。

今の子育て世代って、親からは「女の子なんだから」とか「大人なんだから」とか、「日本人なんだから」といろんなことを当てはめられて育ってきた世代。
こんなにジェンダーや差別について叫ばれている世の中なのに、まだ「性別に合った」とか「年相応の」とか、「日本人なんだから」みたいなことを当然のように言ってくる人もいる。
その世代に育てられた子供は、知識が足りなくても当然で、知識がないゆえに無意識での偏見を持ってしまうこともあるはずだ。

差別という意識がなく、無自覚で他人を攻撃してしまうことを「マイクロアグレッション(小さな攻撃性)」と呼ぶらしい。
「黒人だからリズム感がいいね」とか「アジア人の切長の目が好き!」とかがその典型で、身近なところだと「女の子だから子育てが楽でしょう」とか、「男の子だから電車に詳しいね」とか。

ひとつひとつは小さな攻撃でも、積もれば傷になり、心に影を落とす。
言っているほうは褒めているつもりのことも多いので、褒められたのになんだか釈然としないまま、自分を責めてしまう人もいるかもしれない。

これまで「常識」とか「普通」とか言われた価値観に囚われず、目の前にいる相手を尊重すること。
思い込みに気付いたら、自分の価値観を見直してみる。
子供たちの世代に引き継がせないために、子育てをしているわたしたちが、今、意識しなければと思う。
誰ひとり取り残さない世界を、わたしも生きたい。

ピューロランドでお土産に買ったレターセットで、長男は、サンリオ好きな給食の先生にお手紙を書いた。

「いつも給食をつくってくれて、ありがとう」

美味しいお料理を作ってみんなを喜ばせたいと話す長男に、ピーラーの使い方を教える。
包丁を使ってこそ料理だなんて、今も言う人はいるんだろうか。
そういう美学もあっていいね。

長男の作った炊き込みご飯は、少し濃いめで、いつもよりおいしかった。

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