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飛行機に預けた荷物は補償されるのか #3
2024年1月2日の夜。新年のお祝いから帰る人、帰ってきた人が行き交う羽田空港で悲しい事故が起こりました。
JALの素晴らしい避難指示もあり、怪我人が出たものの、乗客は無事ということでした。
しかし石川に向かう予定だった海保の方が5人亡くなるという悲しい事故でした。
責任はどこかを見つけるためではなく、悲しい事件が二度と起きないためにも真相の究明と再発防止を願います。
今回は身近な飛行機について、
「預けた荷物が破損していた場合、補償してもらえるのか?」
という疑問について、航空会社の約款を一緒に見ながら理解していきましょう。
補償についてJALの約款を見てみよう
「お手荷物の不具合について(破損・紛失・お忘れ物)」というページにいくらまで出るのか、補償対象外になるときはどんな時か、記載がありました。
まとめると以下のように記載があります。
①補償の対象となる破損:
原則として修理に対応。
破損の程度や時間的要因によっては修理以外の対応も検討。
②価格申告のないお手荷物および身の回り品の賠償限度額:
賠償限度額はお客様一人あたり15万円まで。
実際の価格が15万円を超える場合、超過額に対して従価料金を支払う
(1万円ごとに10円)ことで申告価額を賠償限度額とする。
③賠償金額の上限:
賠償金額は実際の価格まで。
④適用条件:
本制度は会社が責任を負う場合のみ適用。
保険制度とは異なる点に注意。
ここから合計15万円までは補償され、それ以上の金額となるものを載せていた場合、従価料金を支払うことで補償されることがわかります。
ここで一点懸念すべきことは、
「従価料金をお支払いいただいた場合に限り、申告価額を賠償限度額といたします。」
という文言です。
もし事前に申告せずに、従価料金を支払っていなかった場合は後から申告しても補償されない可能性があります。
もちろんこれは実際の航空会社がどう対応するかわかりません。
ただ、以下の例を考えると、支払われなかったとしても理屈が通ります。
例えば、今回の事故というわけではありませんが、荷物が完全に全焼してしまった場合を考えてみましょう。
航空会社からすると客がいくら100万円の時計が積載されていたと主張をしても、従価料金を払った事実がない限り、(あまり考えたくないですが)その人が嘘をついている可能性もあります。
完全に燃えてしまっていると、確かめる術が従価料金の支払い有無のみになってしまうのです。
したがって飛行機に15万円以上の高価なものを持ち込む場合は、事前に申告をしましょう!(搭乗時に手続きができます)
補償の対象外になるものは?
以下のものは補償対象外となるので、ご注意ください!
・楽器・スポーツ用品(ゴルフクラブ、サーフボード、ウインドサーフィン用具、スキューバ用具、自転車など)・陶磁器・ガラス製品・酒類などの壊れやすいもので、固有の欠陥、または性質から生じた破損
・過重量・過容量による破損、老朽化など手荷物固有の不具合に起因した破損
・手荷物のカバー・着脱式キャスター・ストラップ・フック・名札・ベルトなど突起した付属品の欠損、軽微な破損(擦り傷・切り傷・へこみ・汚れ)
・航空輸送時の過程(ベルトコンベアでの搬送などを含む)において、通常の取り扱いにより避けることができない軽微な破損(擦り傷・切り傷・へこみ・汚れ)
最後に
今回の事故でお怪我をされた方々に、お見舞い申し上げます。
また海保で殉職された隊員の方々、ご冥福をお祈りします。
今回の事故が起きるまで、荷物の補償がどのように規定されているかを確認してきませんでした。
悲しい事故の再発防止に取り組むとともに、私たち乗客側もきちんとした知識を持ってサービスを利用する必要があります。
この記事が少しでも皆様のお役に立てたら幸いです。