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上祐史浩氏に見る広報担当の性質

Youtubeではオウム真理教の考察はすごく多い。アタシが大好きな「ゆっくりオカルト研究所」さんでも、「苦しいときの尊師コンテンツ」になってる。オカ研さんはめちゃ面白いからみんなに見てほしいな。

アタシが関心あるのは上祐史浩氏だ。そもそもさ、あれだけの大量殺害事件を起こしたのにいまだにその宗教を信仰してる人がいるってのがよくわからんのだけど、当時関与してた幹部でいまだに活発に露出してんのは上祐氏だけだと思う。教祖や他の幹部が刺殺されたり死刑になったりしたのもあるが。以下、悪いけどオウムの人は敬称略にさせてね。

上祐は広報だ。マスコミが、テレビに露出する仲間として、オウムの敵対組織の情報をオウムにリークして殺害に間接的に協力してたのは有名だけど、テレビプログラ厶の上では、マスコミはオウムを糾弾してた。上祐は「ああ言えば上祐」というキャッチフレーズがつくほど屁理屈王として人気者だった。

広報ってのは、最初から相手を騙す気でいる場合を除いて、本気で自分の「うりもののよさ」を信じてないと仕事するのは難しい。ある会社で知ってたリストラされた広報さんが記者さんたちに慰め会を開いてもらって、記者さんにのせられて会社とか社長の悪口を言っちゃったことがある。そんときは記者さんたちは「たいへでしたね」って労ってくれたけど、後で「辞めたとたん自社の悪口言う広報のことばの、俺らは何を信じろって?」とあざ笑ってて、「もう彼女は広報としちゃやってけないねw」とこきおろしてた。まあそうだよな。これは記者さんたちに理があるぞ。

だが、自分が本気で広報してた組織が、稀代の犯罪者集団だったらどうする?

そんなとんでもない課題にぶち当たっちゃったのが若かりし日の上祐だ。

結論を言うと、上祐は「オウムが犯罪集団だと見抜けず宣伝してしまったのは自分の不徳のいたすところ」としている。だが、彼が自分の「広報」という立場をよく理解していると感心するのは、ちゃんと「自分も騙されてはいたが、オウムや麻原には、やはり多大な魅力があり、自分のような優秀だが社会に疑問を持っていた若者にとっては素晴らしい団体でもあったのだ」と説明するところだ。上祐と対談するYoutuberたちはいちいちうるさいツッコミを入れないから「ああ言えば上祐」にはならんが、立て板に水を流すかのような弁舌は健在だ。

「麻原は贅沢には興味のない修験者で、末端信者と同じ清貧な生活をしていた。愛人のことはよく言われているが私はしらいない」「オウムの本質はインドヨガに強く影響された自分を幸せにする教え」「当時学力と教養があるとともにスピリチュアルに関心がある人間の受け皿はオウムしかなかった」としている。そして彼がいま率いているのは「麻原を信仰しない、宗教ではない精神的な向上を目指す勉強会」だ。本人はちがうと言うかもしれんが、このnoteではアタシの理解と意見を書くんだ。正直、真実はわからん。ご承知おきを。

上祐が麻原の愛人のことを知らないなんて、状況証拠的にウソだ。上祐の恋人は上祐を追ってオウムに入信し、長い髪と清楚な美貌から、麻原の愛人に加えられたのは有名な話だ。あるYoutuberさんによると、彼女は長いこと「上祐への執着を捨てられない」と苦しんでたという。アタシは妄想する。麻原は「執着はよくない。私がxxのイニシエーションで清めてやろう」とか言って、若いカラダを弄んだんだよ。キモッ(アタシの妄想がキモい)。元恋人がそんなことされてるのを、賢い上祐が知らんわけはないだろうと思う。石井というオンナは松本妻と張り合って相当威張っていたらしいが(そのわりに犯罪とか、重要なことには関わってないらしく、超威張ってた幹部のくせに死刑になっとらん。麻原の女性観がわかる気がする)、上祐がソイツに一方的に命令されて悔しかったこともあるはずだ。麻原にすら逆らってロシアに飛ばされてたという上祐だったら、普通なら上位幹部の石井にだって逆らうだろう。そうしなかったのは、教祖には教義を盾に(あくまで教義の範囲で)論理的な反論はできても、愛人を理由に威張るヤツには論理なんざなんも通用しないのを上祐が知ってただからだろ、とアタシは思う。

アタシには宗教オタの知人がいて、彼は何も信仰していないが、いろんな信仰宗教の教義をしらべるのを趣味にしている。彼は「オウムは他と違って、明確に政府転覆と殺人を掲げた集団。何故宗教法人として認可されたかナゾ」と言っていた。外部オタが調べてわかるのに、上祐が知らん訳がない。

スピリチュアルに興味がある秀才の受け皿ってのはね。それは私にはなんとも言えん。スピリチュアルに興味ないし、秀才でもないからね。ただ、有名な空中浮遊の写真みて「尊師すげー。オレ/アタシも飛ぶぞ!」ってのがさ。どう見てもありゃ「飛ぶ」じゃなくて「跳ぶ」だろ。頑張って飛んでるから、顔も力んでんじゃねーか。なんでアタマいいのにだまされんだよ。おかしいだろ。

上祐は瞑想してて「麻原が触れた石」とかに触れるとビリビリと衝撃をうけるとかって経験を何度かして、それも心酔の理由だったんだって。これについては上祐も「今思えば、オウムでなくてもそういう経験は起こりえるとわかっている。だが、当時多くの若者は初めて触れた宗教がオウムで、その神秘体験をオウムでしか得られないと勘違いしてしまった」と説明する。こういうとこ、上祐は確かにアタマいいと思う。でもさ「なるほどそうですね」と言える範囲に飛躍があって、そこはうまく隠すんだよ。麻原ってすごいかも、から、麻原が言う通り、人を殺してあげればそれがその人のためになるのだ、にいきつくまでにはギャップがあるんだよね。どうやってギャップを乗り越えたのか。そこを知りたいのに、上祐は上手に喋ってそに疑問にアタシが気づかないように誘導すんだよ。

坂本弁護士家族を殺した時も、彼らは悪人で、殺してあげることによってこれ以上悪事を働くのを本人のために防いでやったと説明されればそれを信じてしまうって、上祐はいうんだよ。でもさ、坂本弁護士の子供はあかちゃんだよ?赤ちゃん殺して「成長して悪人になるのを阻止してあげた。よいことをした」ってさ。それだけ赤ちゃんは前世で悪事を働いたのだと言いたいんだろうけど、赤ちゃんだよ!?んなことどうやったら信じられるんだよ。早稲田でて超一流組織に就職した人間がそこまで思考停止してたことを、淡々と語り、いまでも「研究所」をリードして広報してるアンタが恐ろししぎるんだよ。

ロシア人が「死刑囚麻原の奪還計画」をたてたことがあるんだって。上祐は止めるように説得につとめたし、説得に失敗して渡日してきたソイツの動向を公安に伝えて阻止に貢献したんだって。だから、上祐にも多分いろいろ葛藤があって、上祐なりに贖罪したいと思ってるのかも、と思える。

上祐は麻原は食べ物にも服飾にも持ち物にも興味がなく自分が修験者であることを強く意識してたっていうし、ダライ・ラマなんかの高僧が認めるだけの人物であることは事実だっていう。でも、ゆっくりオカルト研究所さんが動画にしている麻原の紹介本によると、麻原はどう考えてもそんな高潔な人物じゃない。弱視で盲学校に入れられて「見えない子たちのなかでは見える子」だった自分が権力を容易に握れることとその楽しさに気づいたこと、ダライ・ラマに大金を貢いだことやウザがられてたことなんかもちゃんと書いてある。上祐ほどアタマのいい人がそれに気づかないなんてあるだろうか、いやないだろうw

若くして麻原に傾倒してしまった上祐を責めることはアタシにはできない。殺人教団だと知ってても、バレた時にはバレたことに裏切られた感があったかも。強制捜査されたときにちっこい穴にこもって見つかった教祖の往生際の悪さに心底ガッカリしたかもしんない。広報として活躍してて有名だったから、他の信者みたいにひっそりと職を変えて生計をたてるとかできなかったかも。自分がオウムに引き入れて、面倒みていかなきゃいけない相手が複数いるのかも。上祐はいろんなYoutubeにでて、出演料もらってるんだろか。あ、アタシはもらっていいと思うよ。出てもらったYoutuberはカネになるんだし。

幸せになりたくて入信したのに、周囲の大切な人たちもよかれと思って巻き込んだのに、きづいたら自分は殺人教団の幹部で広報で、好きだったオンナは元恋人に心を残しながらもキモ教祖にカラダを捧げたオンナとして世の中に知られることになった。贖罪したいと本気で思ってたとしても疑われざるを得なくて、それでも元広報として誰もが持ってる教団の悪いイメージを払拭するための発言をせざるを得ない上祐は、本心では何を思って生きてるんだろ。

絶対に彼の本心知る機会はないけど気にはなるよね。