「シャネチャネ」 短編小説
けっこう前の話だが、ドジな泥棒がいた。
ドジな泥棒。自分の事を客観的にコンパクトに説明するとかなしい。おれはドジな泥棒。むきになって、私は〜、俺は〜、って人称のとこ、泥棒は〜って言いたくなるくらいにはいつも、自暴自棄だった。
けっこう前、とは人それぞれだけれども、おれの場合のそれは4、5年前ってところか。何年前でも100年前でも別にいい。大した問題じゃない。
すべからく世界は崩れ、再生していく繰り返し。その頻度が少しばかり多めのアジアの小さな片隅の街で、おれは4、5年前