ぼくにだけ見えている――「天使は奇跡を希う」001
ぼくのクラスには天使がいる。
天使のように可愛いという比喩じゃなく、正真正銘、本物の天使だ。
星月(ほづき)優花というなんだか芸能人みたいな名前をした彼女は、その字面ほどではないけどけっこう可愛く、表情の動きが魅力的で、笑顔はぱっと光るような華があり――
背中から、大きな白い翼を伸ばしている。
そんな彼女は今の休み時間、ぼくの斜め前の席で女子と屯(たむろ)しながら、
「天使なんて空想の存在に決まってるじゃん!」
と言いつつ、背中の翼をバッサバッサとは