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「気の合う友人ができて、人生が楽しくなった」遊ぶように企画するマリナ油森さんのnoteの楽しみ方

noteで活躍するクリエイターを紹介する #noteクリエイターファイル 。今回は、エッセイや小説を書くマリナ油森さんにお話を聞きました。

「目的があるわけでも、何者かになりたいわけでもなく、気の赴くままに、気の合う人たちと、noteで遊んでいます」

そう話すマリナ油森さん。noteでは、エッセイや小説を書きながら、「#呑みながら書きました」や「#書き手のための変奏曲」など、独自のお題企画を開催しています。

主催するだけでなく、公式・非公式問わずほかのお題企画にも積極的に参加。キリンビールとポプラ社がコラボした「#夜更けのおつまみ」でキリンビール賞、嶋津亮太さんが主催した「Night Songs コンテスト」でプリマドンナ賞も受賞しています。

子育てに追われる毎日、noteがささやかな楽しみに

マリナさんがnoteに出会ったのは2018年12月。第二子の夜泣きで、1日2〜3時間ほどしか眠れない日々を送っていた頃でした。子育てエッセイを中心に、授乳中や隙間時間にnoteを読んでいたそう。

「当時は読む専門で、スキを押すこともないサイレント読者でした。子どもを産む前は、週末は旅行したり山登りに出かけたりとアクティブなことが好きだったんですが、できなくなってしまって。noteを読むことが毎日の楽しみで、疲れた心が少しずつ回復していったように思います」

それから半年、マリナさんは自身でnoteを書き始めます。背中を押したのは、毎日楽しみに読んでいたサトウカエデさんの存在でした。

「私が読み始めた頃に、毎日同じ時間にカエデさんが投稿していて。彼女の文章が好きで読んでいるうちに、私も書いてみようと思ったんです。ちょうど次男の夜泣きもおさまって気力と体力が戻りつつあったので。書いてみたら楽しくて、毎日投稿を始めました」

毎日noteを書いているうちに、サトウカエデさんをはじめ日々noteを書く人たちとコメントを通じて交流をするように。竹鼻良文さんによる「一般noteユーザーが集まるnoteマガジン」、「note編集部のお気に入りマガジン」にピックアップされ、少しずつほかのnoteクリエイターの人たちとつながる機会が増えていきました。

入谷聡さんが非公式のnote関西ミートアップの記事をあげていて、リアルな場でクリエイター同士で交流することもあるんだなって興味が湧いて。勇気を出してTwitterを始めました。最初は、よく読んでいたハネサエ.さんやありのすさんが日常のことを呟いてる…!ってミーハー心が溢れていましたね(笑)。次第に、いろんなかたとやりとりするようになって、気づいたら仲良くなっていました」

noteという街にある同じ公園で一緒に遊ぶ仲間

「#呑みながら書きました」をはじめ、自主お題企画が生まれたのもTwitterでのやりとりがきっかけ。

「カエデさんが、“ビールを呑みながらnoteを書いてみたい”とつぶやいて、こげちゃ丸さんが”呑みながら書いた作品は名作だ”みたいなツイートをして、私が“告知文書きます”と言い、その日にnoteを書きました。友だちと遊ぶような感覚で始めたんです。それが、友だちの友だちへ、連鎖的に広がっていった感じですね」

お互いのnoteを読んで、感想を伝え合って、自主お題企画で同じテーマでnoteを書く。そんな日々を繰り返しているうちに、自然と小さなコミュニティのような場所が生まれていました。

「私たちはnoteという街で同じ公園で遊んでいる感覚なんです。公園にみんなが集まって、遊具で遊んでいる人もいれば、ベンチでぼーっとしてる人もいて、おしゃべりしている人もいる。それぞれ好きなことをやりつつも、誰かがこの指止まれでお題企画を始めればタイミングが合う人は一緒に遊ぶ。普段からお互いのnoteを読んで感想を伝え合っているから、信頼関係があるんだと思います」

noteという街で、別のコミュニティの人たちと交わることもあれば、一歩外へ出て、交友の輪が広がっていくこともあります。noteフェスのサポーターとなったマリナさんは、「#妄想noteフェス」と題して、自主企画を開催。

「noteフェスのサポーターになったことで、新たに交流が始まったクリエイターの方もいます。#妄想noteフェスには、これまでつながりのなかった方も積極的に参加してくれて、嬉しかったです」

数字に現れる結果は気にせず、創作の過程を楽しむ

noteを始めるまでエッセイや小説、文章を書く機会はほとんどなかったというマリナさん。それでもnoteはこれまで自分が経験してきたことに似た感覚で、書くことができると言います。

「大学時代に映画部だったんですが、noteを書くことは映画製作に似てるなあと思っています。あと、会社員時代はSEだったんですが、プログラミングやパズルをやっている感覚にも似ていますね。全体をイメージして、要素を組み合わせて、一つの作品をつくっていく感じが」

書いたnoteのPV数やスキの数を気にしないのは、高校時代に打ち込んでいた弓道から得た教え。

「弓道は弓を引いてしまえば、的に当たるか当たらないかは自分の範囲外のこと。的を狙うのではなく、自分がいい姿勢で放てばおのずと当たる。noteも書くところまでしか自分でコントロールはできません。公開した後に、誰にどれだけ届くは自分のあずかり知らないことだと思っています」

数字に現れる結果よりも、自分の心の動きも含めた創作の過程、そこから生まれる交流を何より楽しみにしているよう。

「創作すること自体が楽しいんですよね。本当にnoteはただひたすら遊ぶためにやっています。友だちとなんでもないことに笑い合ったり、そんな瞬間を思い出してふと幸せを感じたり。そういうことを私はやっていたいんだと思います」

noteを通じて友だちができて、人生が楽しくなった

noteという街で、友だちと一緒に遊ぶように創作を楽しんでいるマリナさん。インターネットを飛び出して、noteで出会った人とリアルな場で会うこともあるそう。夫の仕事の関係で関東からカリフォルニアへ引っ越すことが決まった際には、2ヶ月で20人ほどのnoteクリエイターと会ったのだとか。

「お互いのnoteが好きでよく読んでいるので、会話が弾んで楽しいんです。初めましての感じはしないですね。たまたま、もともとnoteで交流のあった人が引っ越し先の近所に住んでいて。オンラインでもオフラインでも友だちと会えるので、知らない土地に引っ越すのが寂しくなかったです。noteを通じてこんなに友だちができるとは思っていませんでした。noteのおかげで魅力的な人たちと出会えて、人生が楽しくなりました」

「カエデさんに憧れてnoteを書き始めたことで同じ土俵に立って、友だちになれました。元憧れの人、現友人。友だち同士、お互いが創作したものを等価交換のようにして日々読み合って、特別心が動いたものにはサポートをする。私たちは友人でありクリエイターなので、お互いの創作の変化を見ながら、一緒に歳を重ねていける。すごく贅沢な友人関係だと思います」

応援するクリエイターであり大切な友人でもある。そんな関係をnoteで育むマリナさんが、これからやりたいことは?

「インターネット上で創作を続けていくと、自分や仲間の誰かが、ときには誤解を受けることもあります。そんなときも、いろいろな意見を共存させながら、安心して創作できる環境をつくれたらいいなって」

noteを通じて、創作する仲間、考え方を交換できる友人との関係を日々育んでいるマリナさん。その交友関係は、これからもnoteで創作を続けている限り、広がり、深まっていくのでしょう。


■noteクリエイターファイル
マリナ油森

エッセイ・小説を書いています。「#note珍百景」「#呑みながら書きました」「#書き手のための変奏曲」主催。自家焙煎コーヒー(油森珈琲)ときどき飯テロ。重い話も軽い話も振れ幅大きく雑多に書きます。カリフォルニア州在住。
note:@tonarinotororo
Twitter:@oilnomori

text by 徳  瑠里香