第十二話 仲直りのアップルパイ
「ふう、楽しかった!!」
ある夏の日のこと。パフェとスピカは、一緒にアップルパイを作っていました。
「スピカ、結構すごいじゃない!アップルパイ、上手にできたね~!」
「あっ、そろそろ帰んないとまずいかも・・・今日はありがとう!じゃあ、また明日ね!」
「待って、途中まで送ってくよ。」
「あ、ありがとう!じゃあ行こう!」
その五分後、ツリーハウスにいちごがやって来ました。
「パフェ―!・・・あれ、パフェ?どこにいるのー!!」
返事はありません。
「パフェー、パフェーっ!!」
その後も、部屋の中、トイレの中、クローゼット、キッチン・・・あちこち探し回りましたが、パフェは見つかりませんでした。
「パフェったら・・・いったいどこに行っちゃったの・・・!?」
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と、その時。ガチャッ、と音が鳴り、ドアが開きました。
「あっ、い、いち・・・」
「ちょっと、どこ行ってたの!!」
いちごはパフェの言葉をさえぎって言いました。
「す、スピカを送ってたの・・・」
「えぇっ!?スピカ!?何で・・・今日は私とだけ遊ぶって言ってたでしょ!?」
「ご、ごめん・・・」
「しかも・・・約束の時間は2時半でしょ、今は36分じゃない!!私、6分も待ってたのよ!?」
いちごは大きな声で言いました。
「別に・・・そのくらい、いいじゃない。」
「はあっ!?『そのくらい』って何!?約束の時間に遅れるなんて、信じられない!!今日は私だけって言ってたのに・・・嘘ついた!最っ低!!
ひどい! もう友達じゃないからっ!」
バタンっ、と、とても大きな音を立てて、ドアが閉まりました。
「・・・なんでそれだけでそんなこと言うのよ・・・」
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ガチャ、
「ただいま」
「お帰り、いちご、もう帰って来たの?」
いちごの母は言いました。
「・・・・・・」
「あれ?お姉ちゃん、パフェちゃんと遊んでたんじゃないの?」
「・・・・あいつとはもう友達じゃないから・・・」
いちごはそう言って、階段を駆け上がりました。
ふと、自分の部屋の机を見ると、そこには金色に輝く、一つの星がありました。
「こんなもの・・・もういらない・・・!」
『がさっ』
ゴミ箱に投げ捨てられたバッチの星は、困っているような、弱い光を出していました。
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そのころ、スイートツリーハウスでは・・・
「もう・・・いちごなんか、大っ嫌い・・・!!」
パフェは一人でつぶやいていました。そして、甘い香りがしたかと思うと、あの時の、クッキー人形の「クッキー」が現れました。
「パフェ様!大変なお知らせがございますっっ!!」
「・・・何?」
「いちご様が、スター・パティシエールのバッチを捨てられました!!」
「・・・どうしてそれが大変なの?」
「し、知らないのですか!?スター・パティシエールのバッチは、『スター・パティシエールの心』です。それを捨てたということは、『スター・パティシエールを辞める』ということでございます!!」
「ふうーん・・・」
「いちご様・・・最初は、全然お菓子は作れなかったのに、今は、たくさんのお菓子を一人で作れるようになったじゃないですか!!なのに、どうしちゃったのでしょうか・・・」
「・・・・・・」
「パフェ様も、もうすぐだというのに・・・・あと24間以内に付けなおさないと、契約が解除されるどころか、パフェ様といちご様は、もう二度と会えなくなってしまうかも・・・」
「えっ!?そ、そんなの嫌・・・っ!!」
パフェは気が付いたのです。この程度のケンカで、友情を壊してはいけないと、友達をやめてはいけないと・・・!!
「いちご様の親友であるパフェ様。いちご様を、説得してください・・・」
「・・・うんっ!!」
そう言うと、甘い香りが消え、クッキーの姿もありませんでした――
続く!!!