最終話 私たちだけの宝物 ~3~
三人はスイートツリーハウスに帰るやいなや、真っ先にテーブルに座り、ジャムタルトの入った袋を開けました。
「種類は・・・ストロベリージャム、マーマレード、ブルーベリーの三つだね!みんなどれがいい?」
パフェはいちごとスピカに問いました。
「私は・・・ブルーベリー! ジャムタルトって、どんな味する!?楽しみ!!」
スピカはブルーベリージャムのジャムタルトを選びました。
「じゃあ私は、名前にちなんでストロベリージャムで!」
いちごはストロベリージャムのジャムタルトを選びました。
「わかった!じゃあ私はマーマレードね。 今お皿に盛りつけてくるから待っててね!」
**********
みんなの前には、可愛く盛られた小さなジャムタルトがおかれました。
「いただきまーす!」
単純だけど、優しくて、心にしみる、すてきな味でした。ジャムの酸っぱさが、タルト生地のじんわりとした甘さにとてもあっています!
「おいしい・・・! お菓子ってこんなにおいしいのばっかりだなんてどういうこと!?」
スピカは目を白黒させて言います。
「うん、そうだね!こんなにおいしいお菓子を作れるなんて、やっぱりタルトさんは凄いよ!」
いちごはそう言いました。
「おいしくて、幸せだね~!」
三人はそう言いあいました。
**********
『ポッポー、ポッポー、ポッポー、ポッポー、ポッポー!』
その後も三人で過ごし、しばらくして・・・気が付くと、空は少し薄暗くなり、鳩時計が5時を知らせました。
「うわっ!もうこんな時間!? そろそろ夜ご飯を作らないと・・・また私が頑張って作るから、待っててねっ!」
パフェがそういった時、いちごが言いました。
「待って! パフェ、そんなに自分だけ苦労しなくていいよ。今回は、みんなで作ろう!スピカにだって、作れる料理はあるでしょ?」
いちごはスピカに目を向けました。
「・・・っ!? あ、う、 うんっっ!!」
スピカは少しだけ戸惑いながらも、深くうなずきました。
「・・・ありがとう。じゃあ、みんなで一緒に!」
『レッツクッキング!!』
そうして、いちごはチーズのパンケーキを、スピカは野菜の炒め物を、そしてパフェは、苦戦しながらも、キッシュを作りました。
キッシュとは、フランスの郷土料理のこと。簡単に言ってしまえば、『おかずのタルト』です。
少しバランスが悪いのも、お泊り会での手作りご飯の醍醐味でしょう。
「いただきます!」
「う~んっ!」
「おいしい!!」
「みんなで作ったのは、更においしく感じられるよね!」
いちごが言いました。その言葉に、二人は笑顔でうなずきました。
**********
「ごちそうさまー!! ・・・・あっ、ねえ、見て!!すごく星がきれい!」
ご飯を食べ終わると、スピカが言いました。
「ホントだ!! ・・・そうだ、みんなで、星を見に行かない?」
パフェは言いました。
「賛成!」
三人は、外へ出ると、レジャーシートを広げて、星を見上げました。
「わあ、すごい!!」
星がキラキラとまたたいています。空に手が届きそうです。
「あっ、流れ星!!」
いちごが言いました。
「えっ どこに行ったの!!」
パフェとスピカは空を探し回りました。
「ごめん、もう消えちゃった」
「うーっ! 願い事するの忘れちゃったよ!私、願いことしたかったからここに来たのに・・・」
すると、一粒の星が流れ落ちました。
『あった!!』
三人は手を合わせ、目をつぶりました。
その時、三人が全く同じことを願ったのは、誰も知らなかったでしょう。
――― 三人でまた、一緒にお菓子を作れますように ―――
**********
願い事をしおわると、三人は、部屋の中に戻りました。
いちごとスピカは、向き合って、小さくうなずきました。
「・・あのね、パフェ?」
いちごが言いました。
「何?」
「・・・私といちごから、プレゼントがあるの!!」
「えっ、な、何!?」
いちごとスピカはそういうと、キッチンから、何かをとり出してきました。
それは、星型をしたいちごが乗っている、それはそれは美しい、
”パフェ” でした。
「えっ、これって・・・いちごパフェ?もしかして、二人が作ったの!?」
「うん!果実のいちごを、星型にして、それを乗せた”パフェ”を作ったの!まるで、私たち三人みたいでしょ?」
スピカはパフェに向かって言いました。
パフェは、色々と状況を理解できずにいます。
「ま、待って??私って、 ”パフェ” の作り方なんて教えてない・・よね?」
「うん、そうだね。」
いちごは言いました。
「じゃ、じゃあ・・・!二人はこれを、どうやって作ったの!?」
「うん、それはね ――――」
二人は話し始めました。
続く!!
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