第六話 続き
男の子に手紙を届けるために、三人は海沿いの道を走っています。
「で、でも、あの子の家なんて分かりっこないし・・・どうしたらいいの⁉」
いちごは走りながら言いました。
「この辺は一本道。あの帰路についてから、そんなに時間はたってないから、急いでいけば間に合うはず!!」
パフェは二人に向かって言い、速度を上げました。
「そうと決まれば、全力で走るしかないでしょ!!」
「「うん!!!」」
「ほうきがあればよかったのに・・・今日はスイートツリーハウスに置いてきちゃったからね・・・」
スピカは少し落ち込みながら言いました。
「あっ!十字路だ!三人で別れて探しに行こう!手紙はパフェが持ってて。見つけたら戻って二人に伝える形で!」
いちごが言いました。
「了解!」
「オッケ~!!」
三人は別れていきました。
**********
パフェは左の道を行きました。
(この辺は、確か海ぞい公園があったはず・・・そこの突き当りで一旦右に曲がってみよう。)
「あっっっっ!!!!!」
「え、何!??」
「パフェの声だ、行ってみよう!」
いちごとスピカは、パフェのところにたどり着きました。
「パフェ、どうしたの?」
いちごは少し心配した様子で聞きました。
パフェの発した声はもの凄く大声で、びっくりしたのです。
「見つけたんだよ!!」
「えっ、じゃあ早く渡しに行かないと!!・・・・って、何あれ!?」
そこには、たくさんの人たちが集まっていたのです。
みんな、様々な仮装をして、お菓子を交換し合ったり、お菓子を食べたり、お菓子を作ったりしていました。
これはもしや・・・・
「ハロウィンパーティー・・・!?」
いちごは言いました。
その中には、男の子もいました。
「とりあえず、あの子に声をかけなくちゃ!!おーい!この手紙忘れてってたよ!!」
「あっ、お姉ちゃんたち!!」
三人は男の子のところまで走って行きました。
「この手紙、何か大切なものだと思うから、渡しに来たんだ。はい!!」
スピカがその手紙を渡そうとしたら、男の子はさっとそれをよけました。
「え・・・・・??」
「あのね、これ、お姉ちゃんたちへのハロウィンパーティーの招待状だったんだ。ほら、裏を見てみてよ。」
スピカはその手紙をひっくり返してみました。
『小さなお菓子屋さんのお姉ちゃんたちへ』
「これって、私たちのこと??」
パフェは聞きました。
「うん!無くしてるのに気づいて、お姉ちゃんたちが来なかったらどうしようかと思ってたけど、来てもらってよかったなあ!!」
「「「・・・・・・・」」」
「「「なあんだ~~!!!」」」
「私たちへの手紙だったんだね・・・」
「男の子も見つかったし、手紙がだれのかもわかったし、スッキリした!」
「よかったなあ!!!」
パフェといちごとスピカは言いあいました。
「あっ、三人とも!」
そこにいたのは、あの時の日香でした。
「来てたんだね。すごくかわいい仮装だよ。」
「日香ちゃん!!そういうあなたのジャック・オー・ランタンの仮装も、すごくオシャレだよ!!」
「ねえもしかしてさ、お化けの格好をした男の子が持ってたクッキーって、小さなお菓子屋さんのでしょ?」
「あ、そうだよ!!」
スピカは言いました。
「へえ、あの子があんなに買って行ってたのって、ここで出すためだったんだ~!」
「どおりでおいしいと思ったわ!
三人も来てよ。お菓子がいっぱいで楽しいよ!」
日香は走り出しました。
パフェといちごとスピカは、それについて行きました。
みんなで笑いあって、たくさんのお菓子を食べ合う。どんな人とも話して、楽しく・・・
浜辺には、笑顔が溢れていました。
「そこの青い髪の女の子!」
「え、私??」
スピカがある女の子たちに声をかけられました。
「あなたの仮装ってさ、もしかして魔女??」
「だよね、なんか魔女っぽい。」
「でもさ、この中でも異彩を放ってるっていうか~?」
「うーん・・・なんかさ・・・・・本物の魔女っぽい気がする!」
「ピクッ」
「ウフフ、フフフフフ・・・・実はこの私、本物の魔女なのよ!!!見ててね~~・・・」
スピカが指をパチンと鳴らすと、その場にあったお菓子が二倍になったのです。
「「「「ワ――――っっ!!!」」」」
その場には歓声が上がります。
「実はさっき増えたこのお菓子、私たちが作ったんです。」
パフェは言いました。
「えっ、君たちが!?てっきり、うちの息子が高級お菓子店で買ってきちゃったのかと思ったわ!すごいわね~!」
「あはははは!そんなことないですって!」
三人は、幸せにすごしていました。
**********
日も暮れてきたところで、ハロウィンパーティーはお開きとなりました。
少し暗くなった道を、三人は歩いて行きました。
「凄く楽しかったね!」
「うん、いつもよりもおいしかったの!」
「なんでなんだろう・・・・!?」
「あれってもしかしてさ、大勢でやるからなんじゃないのかな?」
いちごが言いました。
「どういうこと?」
「たくさんの人で笑いあいながら食べるから、美味しく感じるのかも。」
「・・・たしかに!!」
スピカが言いました。
「もちろん一人で食べるのも、三人で食べるのも美味しいけどね。これもこれで、すごくおいしいよね!」
パフェもそれに続き言いました。
三人は、みんなで食べる楽しさを知ったのです。
道からは、いつまでもいつまでも・・・笑い声が聞こえてきました。
〈終わり〉7話へ続く!!
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