
第五話 七夕ゼリーに願いを込めて
太陽の光が、かんかんと照り付ける真夏のこと。
三人は、『小さなお菓子屋さん』のお菓子を考えていました。
「そういえば、今週は七夕があるよね!!七夕に関係あるお菓子を作ろうよ!!」
いちごが大きな声で言いました。
「いいね!うーん・・・じゃあ・・・最近は暑いし、体を冷やせるゼリーとかがいいかな?」
パフェは、いちごにそう提案します。
「あ・・・えーっと・・・・」
スピカは会話についていけていません。
「” ぜりー ” って・・・何ですか・・・???」
「あっ、スピカ、ゼリー知らないんだった!大丈夫、ちょっと待っててね。」
パフェは部屋へ走り、『ゼリー大図鑑』という図鑑をとり出してきました。
部屋の本棚には、たくさんのお菓子のひみつが、そろっているのです。
「へ~!!ゼリーって、こんなプルプルした感じの物なんだね~!!」
「あっ!!ひらめいた!!!!!」
いちごは言いました。
「この本を見てて思いついたんだけど、ゼリー自体を天の川みたいにしちゃうのはどう!?」
「ど、どういうこと?」
「青色のゼリーの上に、星に見立てた何かを乗せて・・・アラザンとかを乗せるの!!」
「「賛成!!!」」
そうして、今週のお菓子は、『七夕ゼリー』にすることにしました。
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その後、三人は、小さなお菓子屋さんでゼリーを作っていました。
「す、すいませーん・・・」
その時、ある女の子が、小さなお菓子屋さんにやって来ました。
「はい、何ですか?」
パフェは、優しく笑いました。
「あっ、ご、ごめん、なさい・・・ま、まだお菓子出来て・・・無いですよね・・・・・・」
その女の子は、すごく慌てた様子で言いました。
「こ、こちらこそごめんなさい!!あともう少しで出来上がりますので!」
スピカはその子に向かって大きな声で言いました。
「出来上がるまで・・・私の悩みを聞いてくれませんか・・・?」
その子は下を向いて、暗い声で言いました。いちごは、ちゃんと悩みを聞いてあげないと、と思いました。
「いいですよ!」
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その子は、ピアノを習っているそうです。そして明後日、発表会があります。
「うん、それで?」
「わ、私・・・・恥ずかしがり屋で・・・勇気が出なくて・・・・本番のことを考えると、ゆ、指が・・・こわばって・・・・!」
その子はもの凄く震えながら言いました。
「きっと大丈夫だよ!!あなたならできる!私たちが、お菓子で元気づけてあげるから!もう少し待ってて!」
いちごはそう言って、作業に戻りました。
「・・・・!!」
いちごの明るい笑顔に、女の子は少しだけ、嬉しく思いました。
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しばらくして・・・
「お待たせしました。今週のお菓子が出来ましたよ!」
パフェは、作ったゼリーを、屋台に並べました。
「君が、ピアノ演奏会で上手くいくように、” 心を込めて ” 作ったんだ!!」
スピカは、にっこりと笑いかけました。
「うわぁ・・・すごい、星が入ってる・・・!」

ブルーハワイのシロップで、ゼリーに色を付け、星は、黄桃で作りました。
そこでは、たくさんの星たちが、キラキラと輝いています。
それはまるで、「がんばれ!」と応援しているようでした。
「ありがとう・・・勇気が出ました!」
「ところで・・・君の名前は?」
スピカはその女の子に聞きました。
「・・・日香・・・工藤日香です・・・!」
日香は、三人に向かって微笑みました。
「私はスピカ!!」
「わ、私はいちごって言うんだっ!!」
「・・・私はパフェだよ。 日香ちゃん、お買い上げ、ありがとうございました!」
「はい! ピアノの演奏会、頑張ります!また来ますね。」
日香は優しく手を振り、去って行きました。
その心には、三人が見せた笑顔が宿っています。
この三人を思い出せば、ピアノの演奏会も頑張れる・・・!
日香はそう思ったのでした。
続く!!!