2022年11月レッスン①
今日は今月最初のレッスン日。
二週間空いて、祝日もありましたので、思い切って具体的な目標を掲げて以前の記事に書きました。
ドッツァウアー24番
目標は、ドッツァウアー24番を最初の一回のレッスンでクリアすることです。
他の課題も取り組みつつ、レッスン日まで、このエチュードの練習に大半を費やしました。
前々回、スライドの多いゴルターマンのコンチェルトの最初のレッスンで、先生に「テルミンじゃないんだから」と言われたのが発奮剤になり、
「まずは何は無くとも音程だけは確実にモノにする」と心に決めて始めました。
アルペジオが多く、スラー以外はテヌートが付いていて、テンポはAllegro。
先生の指示は、
「最初はゆっくりでいいから、弓の真ん中から先だけ使って、全体をレガートに」
でした。
言われた通り、ゆっくりしたテンポで、チューニングメーターとにらめっこしつつ、ポジション毎に指の形を確認していきます。
クリエイターの○さんも書いてましたが、ポジション移動、特に部分的に3ポジとか入ると一気に不安定になるので、3ポジの1の指が毎回同じ音をとれるように、何回も何回も繰り返し繰り返し。
ある程度音程がとれてきたら、テンポを少しずつ上げていきます。
テンポが上がると、固定したはずの3ポジの1の指が決めた場所に嵌まらなくなり、テヌートも減り、レガート感がなくなっていきます。
そうしたらまたゆっくりからやり直し。
「これ、ホントにAllegroにできるのだろうか」
と不安になりつつ、終日この練習を繰り返していたら、なんとかAllegrettoまではたどり着きました。
ただし、流石に7〜8時間これをしてたら、左手首に嫌な感じが。
…腱鞘炎の一歩手前です。
その日の残りは軽く弾いて終わりにし、指と手首のストレッチを入念に。
翌日は前回の記事に書いた楽器店に行ったので、練習時間もそこそこに、軽い練習で終わらせました。
計画したスケジュールでは、この日あたりにダイナミクスとか、どう弾きたいのか考えて、できるだけ音楽的に仕上げてから、レッスンに臨む予定でしたが、そこまでの高望みは諦めることにしました。
腱鞘炎になってチェロを弾くのが苦痛になってしまったら、と考えると、多少の休みは練習と同じくらい大切と割り切ったのです。
レッスン1日前、工房の上の階にあるレッスン室を予約して、2時間半個人練習しました。
家では、できるだけ音が小さくなるように、ミュートを付けた上、駒を靴下いっぱいぐるぐる巻きにして輪ゴムで止めて、おまけにfホールを塞ぐようにTシャツをかけて練習してきたので(下の写真をご参照ください)、ミュートを外して弾いたらどうなるか確認したかったのです。
レッスン室で、ミュート無しで弾いてみて、
「思ったより弾けた」とも言えましたが、
「まだこの程度か」とがっかりしたところもありました。
レッスンでは、落ち着いて今できることを確実に、と考えました。
いよいよレッスン当日の午前中、家で24番を弾いてみると、昨日よりスムーズに早いテンポでテヌートで弾けます。
「おっ、これがデジタルの上達ってやつか?」
と嬉しい気持ちでレッスンに向かいました。
最初の課題、ウェルナーの第7ポジションのパターンの固まりは、先生に色々指摘を受けつつ、少しはよくなったということでなんとかギリギリ合格。
いよいよドッツァウアーです。
出だしのAの音を確認してからスタート。
細かいミスはあったけれど、音程もまあまあ、テヌートも意識してなんとか無難に弾き終えました。
先生
「音はとれてるし、テヌート、レガートの感じも良くなりましたね。(…先生、この曲は初めてです。。とは言いませんでしたが、きっと前の28番と比較されたのかな。)」
先生
「でも、ダイナミクスはどう考えてます?」
私
「そうなんです。音程とテヌートやレガートを意識して、Allegroに向けて練習するのに精一杯になってしまって。曲が平たくなってますよね」
先生
「pから始まり、起伏があって、ppでキープ。〜中略〜 そのあと登っていくところは自然に上がりますよね。今は一生懸命弾いて、ただ苦しいっていう感じになっているので、一度小さな音という枠を取り払って、元弓も使っていいから、もっと大きく歌ってみてください」
なるほど、そういう練習をすると、曲の全体のイメージが掴み安くなります。
譜面の記号にだけ縛られると、近視眼的になってしまうのでしょうね。
結果として、
「その歌う感じを加えて、次のレッスンでもう一度やってみましょう。」
ということで、目標達成とはなりませんでしたが、自分としては大納得。
より音楽的にという、次のステップに上がれることが何より嬉しいです。
最後のゴルターマンのコンチェルトは、自分が弾き始めたら、先生がチェロで伴奏を弾いてくれたのは嬉しかったんですが、初めての伴奏で、予想もしておらず、先生のとてもよく鳴る楽器が、今日は更にコンディションがよく、それに気を取られて自分が何を弾いてるんだか、わからなくなって止まってしまいました。
先生曰く、
「大体みんなそうなるから、心配しないで大丈夫ですよ」
その後、この曲のまだみてもらってないところの注意点や、
「歌い切るためには、元弓から始まり、4拍目で弓先を余らせつつ、それを使って歌うこと。あとは呼吸ですね」
といつもの私の弱点をご指摘なさり(ていうか弱点じゃない点があるんだっけ??)、
「これが終わったら、バッハやりますから」
やったー!
昔カザルスの弟子が書いた無伴奏の譜面2種類を見比べつつ、結局、素人考えでジャンドロンの譜面にボウイングを書き込んで、独りよがりで練習していた無伴奏を、プロの先生がレッスンしてくれる!
そうか、ここ最近習った肘の使い方や、それに伴う腕の回し方、アルペジオにレガート、全部バッハに通じる道だったのか!
と一気に気持ちが高まり、少し気分が若返りました。
先生、これからも精進します!!
エンドピンの反応
話は前後しますが、先生がレッスン室に入ってくるなり、エンドピンを変えた報告をしました。
先生
「へえー。素材はなんですか?」
私
「新しい素材らしいんですが、通常エンドピンから音を床に響かせて大きな音を出すところを、それだと余計な振動が楽器に影響してしまうらしく、それを止めて楽器本来の音を出せるように開発したらしいです。
メーカーから借りて試したら、弦の反応が良くて、とても弾きやすくなりました。」
先生
「ちょっと弾かせてもらえますか?」
私
「もちろん、どうぞ!」
先生、私の楽器のチューニングを確認しながら、ちょっと弾いてみる。
先生
「ここだとそれはよくわかりませんね。(エンドピンの)中は空洞ですか?」
私
「いえ、でも前のスチールよりは少し軽くなりました」
先生
「じゃ、とりあえずレッスン始めますか」
という感じで、可もなく不可もなくのご様子でした。
ひとまず安心。
Never Too Late
以前、アメリカ?カナダ?のアマチュアチェリストの男性が書いた、このタイトルの本を読みました。
やはりレイトスターターで、仕事をしながら、練習やアンサンブルを怠らず、一生懸命に取り組んできた様子を描いた自伝です。
たまたま知り合ったピアニストと、ブラームス のソナタをやることになって、死ぬ気で練習し、全楽章、そのピアニストと完奏したそうです。
弾き終わって二人で談笑したあと、
「次はいつやりましょうか」とピアニストに言ったら、答えにくそうに
「申し訳ないですが、次はないです。」
と断られた、という悲しいエピソードが描かれていました。
この方はそれにもめげずに、また練習に励んだのだったか、その先の内容は忘れてしまいましたが、私はアマチュアながらにそこまで打ち込んだこの方の生き方が好きです。
どこまで行けるかわからないけど、先は必ずある。
だから、Never Too Lateと心に刻みます。
それでは今日はこの辺で。
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