ファイナルファンタジーIIをプレイして その3 「普通」の主人公

本noteは私がファイナルファンタジーII(以下FF2)というゲームをプレイした感想と妄想と考察になります。FF2の多大なネタバレおよびその他FFシリーズの微ネタバレを含みます。

FFシリーズのナンバリングタイトルは基本的にそれぞれ独立した世界観に基づいている。その中で物語の中心となる主人公たちもまた、年齢、性別、出自などさまざまだ。しかしそんな個性的な主人公たちの中で一番「普通の人」に近いのがFF2の主人公、フリオニールではないだろうか。

フリオニールはクリスタルに選ばれた光の戦士ではない。IVのセシルやXIIIのライトニングのような軍人でもなく、VIIIのスコールのようにそれに近い訓練を受けてきたわけでもない。VIIのクラウドのように魔晄を浴びた強化人間でもなければ、VIのティナやIXのジタン、Xのティーダのようにその出生に物語の核心に迫る秘密を抱えているわけでもない。
XIIのヴァンはよく普通だと言われるが、彼の場合「空賊になりたい」というなかなかアナーキーな夢を持っている。

フリオニールはおそらく、皇帝が起こしたこの戦乱に巻き込まれるまで戦いとは無縁の平穏な人生を歩んでいたのではないだろうか。故に物語冒頭、襲ってくる敵兵"くろきし"に対してなすすべなく破れてしまうのだ。

天野喜孝氏のパッケージアートやディシディアファイナルファンタジーなどで描かれている眼光鋭く、筋肉隆々としたフリオニールは物語終盤の、戦士として成熟した彼の姿だと思われる。その証拠であるようにディシディアでは彼はあらゆる武器を使いこなしている。きっと全ての武器の"じゅくれんど"を最大まで上げたフリオニールの姿なのだろう。

では"戦士"になる前の彼はどんな姿形をしていたのか、そのヒントとなるのがPS版のオープニング映像にある。ゲーム本編の始まる前、パラメキアによるフリオニールたちの故郷への襲撃を描いたこのオープニングであるが、ここに登場するフリオニール、マリア、ガイ、レオンハルトらは天野絵で描かれた彼らとは大分イメージが異なる。フリオニールはどこか幼さの残る青年であり、マリアの髪も短い。つまりこれが戦いに加わる前、まだ戦士となる前のフリオニールの姿であると私は考える。

物語が始まる前、フリオニールは争いを知らぬ普通の青年であった。そのため偽の王女の甘い誘惑に対しても生ツバ飲み込んでしまうのだ。
FF2はそんな普通の人であるフリオニールが、故郷を失い、戦うことを決意し、多くの仲間の死と強大な悪を前にして、やがて屈強な戦士へと成長していく物語でもあるのである。

ここまで読んでいただきありがとうございます。
次で最後になります。

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