11月28日日曜日

 高架下にて横たわる商店街の一画。歩道との高さがズレてるために店舗とは階段にて繋がれてる。
夜風が冷たいのでは湯気にて視界が曇ってるラーメン屋へと向かいたくなるのだけれども、ガマンして奥へと上がるために靴を脱ぐ。
幾つか乱雑に脱ぎ捨てられてるから何人かは既に着いてるのかも…。
再開発エリアなので内部の基本的な構造としては変わらないはずなので案内がなくても特に迷わない。井桁に畳が敷かれてる四畳半の和室。寸法的にも、デザイン的にも今では珍しい造り。中央の四角い畳を上げても、囲炉裏が現れる訳ではなくて黒い穴が口を開ける。
牡丹柄の黒っぽい着物を纏った少女が正座してる。整った顔立ちが日本人形を思わせる。
カーテンの裏側に髭を蓄えてる老人の姿を見付けたのだけれども、外には誰も見当たらない。
スタッフを入れても、抜き散らかされてる履物と数が合わない。時代的にそぐわない冒険者や傭兵。募集内容が探偵崩れの便利屋が群がるのに適してるのかも…。
窓からテイル・ランプが連なる街並みを見下ろしてると何人かは集まって来た。前衛2人、索敵や探索のシーカー、後衛の4人パーティーが理想的としても、居るのだけでチームを組むしか手立てがない。コンクリート製のダンジョンなんて違和感が強い。
モンスターとして吸血蝙蝠(ヴァンパイア・バット)が現れるとしても、3LDKダンジョンにしか思えない。各店舗の基礎部分が繋がってるとしても、スペースが限られる。穴から落ちるまでは探れるポイントなんて限られると思ってた。廊下にて学友と立ち話を行ってたシーンは夢だったらしい。
頭を振って立ち上がると本格的な地下迷宮が広がってた。分かれ道の上には石像が設けられてる。
左から順にデーモン、ドラゴン、ガーゴイルと3つの像が並ぶ。それぞれルートとして分かれてるにしても、待ち構えられたら勝ち目がない。単なる警告だけと思いたい。さ迷った結果、特殊能力を得た。複数持つのは危険と皆、1つずつ。
リストに名前が浮かぶ人物を探し出して死する運命を変える事が次なるミッションと為った。人助けしか得られた能力を活かせないとは何とも皮肉だった。
MPの代わりに消費されるのが善行ポイントなので悪事にはそもそも使えない仕様と為ってる。
目覚めるとカチューシャを付けてる少女が覗き込んでた。表情のなさと小柄で華奢な身体のサイズが人形や妖精を思わせる。
左手にて抱き寄せたら唇を重ねられた。青い衣服の少女を両腕にて抱き締める前にもつれた爪先が当たった。
不意に腰へと熱が渦を巻き、硬直と脱力とが交互に入れ替わる。目覚めたばかりの意識が途切れた。


 砂地にて足を取られるから歩き難い。園内のすべてが砂によって覆われてる。ビーチの砂が昨夜の強い風によって撒き散らされたらしい。平屋や水場も半ば埋もれてるとしても、敷地外まで被害が及ぼさなかっただけまだ増しだった。交通量の多い路地を避けたのが裏目に出て苦労を強いられた。辿り着いた建物。外観の見た目は塗炭屋根のプレハブとしても、外階段を登った先の内部は小洒落たリフォームが成されてる。パソコンが並べられた室内では何やら作業を推し進めてる人々の姿が観られる。プログラムに関してはHIMLだけしかわからない。それも殆ど忘れてるので使えない。ダミー表示へ関しては何となくわかる程度なので訊かれたところでお茶を濁してやり過ごす。一斉に作業の手が止まり、合図によって電源が落とされる。オブジェにしては暑い燃え盛る炎以外は照明までも消された。登って来た階段と異なる錆や腐食の観られるぼろさに足が竦み、降り切った者から呼ばれるまで怖くて降りられない。後を追っても、道を知らないために於いて行かれて直ぐさま姿を見失う。声を掛けられて辛うじて追い付く。道路を横切り、ゲートが開け放たれてる校門を通り抜ける。背後へとそびえる校舎との間に設けられてるグラウンドがフェンスにて取り囲まれてるために突っ切る事が出来ず、左右どちらかから回り込む事を強いられる。球技大会でも開かれてるのか、観戦してるのが多い。右側へと曲がり、左手をフェンスへと沿わせるようにして大きく回り込む。校舎とは別棟の建物へと入ったら様々なテナントにて賑わってる。言われるままエスカレーターにて2階へと上がったのに誰とも落ち会えず、食事に有り付けない。縁が無かったと諦めるしかなかった。無理したってボロが出るだけ…。逃げた方が増しに思える。


 崩落、陥没、瓦解などの事故や地震が多いからって地下道がダンジョンへと繋がってるなんて起こり得ない内容。ヘッド・ライトが見えないなんて一方通行なのかと首を傾げる。即席のメンバーにてクリア出来たのも不思議。砂にて没した公園へと足を踏み入れる前、何処から来て、何処を通ったのかを覚えていない。見学だけでは何もわからない事と等しい。挑んで何かを手に入れたのと逃げて何も得られない対比構造と為ってる。焦ったところで手遅れに思える。

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呉羽葉月
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