紅19真紅(シンク)
「遅かったわね。もう、終わらせたところよ」
闇夜と見紛う黒いドレスを纏う亜麻色の髪、血塗られたように赤い瞳、透き通るような青白い素肌、アルビノを思わせる存在が岩場へと立ってる。
人形のように整ってる顔立ちが儚さと絶対性を両立させてる。
立ち塞がる敵全てを消し炭へと変えた手腕にて恐怖心さえ揺す振られる。
黙ってた理由が緊急性や必要性を有しない事案と否応無しに骨身へとわからされてる。
固唾を呑む朔也の右腕へとしがみ付く希望(のぞみ)が震えてる。利き手を避ける余裕さえ感じられない様子。
易々と助け出した相手へと蘇生すらも促すプリンセス・キスを施す姿さえも神々しい出で立ち。
抱き上げてる美女と抱えられてる幼い顔付きを残してる少年。性別が逆に思える古典的な心理。
意識を失ってる人物へと見覚えを有するために言葉を却って失う。
「何で、お前がっ!?」
反対に思わず、叫んだ沸渦(ふつか)の気持ちがわからなくも無くても、言葉や態度くらいは選びたい。
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