01リネイム・ランカスター

 力任せにぶん回されてるだけの剣を左右に避け回ってる。太刀筋が単調なのでかわし易い。片手にて悠然と振るっても、息切れ1つ生じていない事が恐ろしい。パワー負けするために剣で受けて防げないし、弾く事すら出来ない事から正面を見据えたまま逃げ回ってる状態。鏡面のように磨き上げられてる刀身へと差し込んだ夕日によって赤く染まる。眩しさによって視線を逸らしたために流石に後ろへと下がって距離を取った。殆どの防具を外して身軽に為ってるからって疲れを見せない。黒いタンクトップ、スパッツ、ブーツ、幾ら何でもラフ過ぎる。突きが少なく、振り下ろしと振り回しが多い。動きに翳りも、鈍さも、観られない。鍛え上げられた筋肉が片時も休まないで躍動し続けてる。リーチの長さで容易には近寄れない。割れた腹筋とそぐわない豊かさを誇るHカップとが何ともアンバランス。唯一の女性らしい部分が足下の視界を遮ってる。どれほど激しく動いても、揺れないのでは詰まってるのが脂肪とは思えない。抱き締められたところで埋まる顔に柔らかさなんて感じられず、全身の骨が折られそうに為るだけ…。幼馴染みの気易さが変に働いてる。触れさせないのが安全。軽くはたいたつもりでも、叩かれた方はふん殴られたように打っ飛ぶ。大抵は全身骨折に為って2度と近寄らなくなる。少し身を屈めただけで視界から外れて姿を隠せる。反射的に振り下ろして来るためにかわす。切っ先が地面へと刺さった刀身へと舞い降りるように立ち、剣先を喉元へ対して突き付ける。タックルやスライディングを咬ませても、今ではびくともしないのに悪い癖のように簡単に誘いへと乗って来るのでは隙を作り易い。下手すると渾身の突きすらも通じないのかも…。

「力任せに振り回し過ぎなんだよ。少しは狙い澄ました方が良い」

 地面へと降りて剣を鞘に戻す。背を向けて土手から眺めてる2人の元へと近付いて行く。持ち上げて拾い上げた鞘へと納めてから後に続いて来る。勝てない事が悔しいから挑み続けてると思ってるために相手を務めてる。模擬戦にて勝てたところでパワー勝負では勝ち目がない。一撃のダメージが大きくても、食らわなければ済むためにスピードを磨いてる。妹分である魔法士の名前はヴァイオリン・トゥウィスター。マジカル・ローブの上にホワイト・マントを羽織ってる。ホワイト・ベレイを頭に載せてる。巻いてるリボンとマントの縁取りがピンク。杖の先端部分に付けられてるリングへと納められてる五芒星は炎、渦、風、雷、泥の5属性を表してる。人懐っこい笑顔が周りを和ませる。反対にざわつかせたり、苛つかせたりするのが何処ぞのお嬢様であるランスロット・シャルロット・エシャロット・ポーラスター。長くて覚えられない者はランと呼ぶ。態度の落差に苦笑を強いられる。ゴールド・メイルをフレア・ドレスに忍ばせてる。窺えるのはブーツのみ…。槍を何処へ隠し持ってるのかがわからない。

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