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「図書館情報資源概論」合格レポート

※合格レポートはあくまでも参考です。
 丸写しや類似レポートは不正とみなされるため、絶対にやめてください。
 
田中は2021年10月入学で全課程修了済です。

【設題】
字数指定:2,000字
設題の記入:必要
公共図書館が地域資料を収集するのはなぜかを考え、地域資料の特性と今日の課題としてのデジタルアーカイブ化について論じなさい。

【レポート作成上の留意事項】
・①地域資料を収集する根拠、②地域資料の特性、③地域資料のデジタルアーカイブ化の方向性、という順序で論理的に記述し、レポートを作成してください。
・参考、引用した文献は、本文の末尾に著者名、署名、発行所、ページ等を記述してください。


合格レポート

※固有名詞は〇で表記、もしくは(中略)としています。

 公共図書館では、市民の課題解決やコミュニティの諸活動に活かすため、地域資料を積極的に収集・提供している。〇〇県の公共図書館でも、〇〇や〇〇城、地場企業である〇〇などに関する多くの地域資料を収集し提供している。本レポートでは、公共図書館がなぜ地域資料を収集するのかを考え、地域資料の特性を述べた上で、今日の課題として議論が重ねられているデジタルアーカイブ化について論じる。

 公共図書館では、図書館法第3条第1項を根拠法として、地域資料の収集・提供に努めている。その内容は「郷土資料、地域行政資料、美術品、レコード及びフィルムの収集にも十分留意して、図書、記録、視聴覚教育の資料その他必要な資料(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られた記録をいう。)を含む。以下「図書館資料」という)を収集し、一般公衆の利用に供すること」となっている。図書館法に明文化されているように、その図書館の所在する地域や自治体に関係する資料を、責任をもって収集・提供すること、また地域資料に関連するレファレンス質問に答えることは、公共図書館の重要な任務なのである。

 公共図書館で収集・提供されている地域資料とは、当該図書館の所在する地域に関連する資料のことである。例えば、地方行政資料、郷土史に関連する歴史資料(古文書、古地図、記録フィルム、考古学標本など)、当該地域で活動する企業・団体が発行する出版物(地元新聞社の地方紙、地方出版社の書籍、ミニコミ誌、タウン誌、地域内の商工会議所や網業協同組合の刊行物など)、当該地域に関係する記述のある市街図・観光案内・郷土芸能もの、当該地域の諸問題を扱ったビジネス書やその地域が舞台となった文芸書、当該地域に関わりの深い人物についての作品、あるいは、居住者や出身者の著作物などが挙げられる。地域資料の媒体は活字資料だけではなく、写真や8ミリ・16ミリ映画、ビデオ等の映像資料も含まれている。これらの映像資料は地域の様子や生活の姿を具体的に記録できるため重要視されているが、現在、組織的・系統的に保存されていない。

 公共図書館の責務として、今後失われる可能性のある地域固有の風習、祭祀、方言等に関わる情報の保存や、地域住民が抱える課題解決の助けとなる地域の実情に応じた情報サービスの提供を行っていくため、上記に挙げた地域資料を収集していかなければならないのである。また、高度情報化社会を背景にウェブ上では情報の大量生産・大量消費が行われている。アナログ資料はもちろん、このように大量消費され消滅しようとしているボーンデジタルの資料も収集していく必要がある。

 公共図書館において、地域資料を収集するだけでは役割を十分に果たしているとは言えない。資料は利用されてこそ、その価値を発揮する。従って、これら地域資料が広範囲に利用されるよう電子化して保存しインターネット上で閲覧できるように、デジタルアーカイブ化を進めることも公共図書館の重要な任務のひとつである。

 現在、日本においてデジタルアーカイブの構築・共有は一部で進展しつつある状況だ。例えば、〇〇県では、〇〇図書館によって〇〇や〇〇といった貴重資料がウェブで公開されている。また、〇〇を世界に伝えるデジタルアーカイブズとして、〇〇や〇〇などから提供された資料をもとに作成された「〇〇」も公開されている。このようにデジタルアーカイブの構築・提供は国内で進みつつあるが、世界の動向を踏まえると、メタデータやデジタルコンテンツの整備は十分とは言えない状況である。

デジタルアーカイブが遅々として進まない理由のひとつとして、公共図書館での予算や人員不足、職員のスキル不足が挙げられる。地域に眠っている多くの資料をデジタル化し、メタデータを付与する作業には相応の予算と人材が必要となるのだ。

 今後は国や地方自治体、大学、企業、NPO等が協力して、地域資料のデジタル化を推進するための人的基盤を整備していかなければならない。そして、限られたリソースの中でデジタルアーカイブを効果的に進めていくためには、資料に対する優先順位付けが重要だ。各機関で役割を分担し、収集する情報の重複を防ぐことができるような組織体制の構築を検討する必要がある。さらに、メタデータの標準化・規格化の推進や、著作権について簡便で包括的な契約システムの構築など、検討すべき課題は多い。

 デジタルアーカイブの構築・提供は、文化保存の役割を持っているだけではなく、コンテンツの二次利用や国内外への情報発信基盤としての役割も持っている。デジタルアーカイブをより一層進めていくためには、官民一体となり密に連携を取りつつ、市民を巻き込んでデジタルアーカイブを進めていく必要がある。


参考図書

・『図書館情報資源概論 全訂第3版』宮沢厚雄
近大のテキストだけでは不十分なのでこの参考書は必携。試験前はこの本を借りておくこと。

・『デジタル・アーカイブの最前線~知識・文化・感性を消滅させないために』 時実象一
まず、震災を引き合いに出してどのように時代が変わったのかを語っている。デジタル化が進んだ社会で、どのようにデジタルデータ(資料)を後世に残していくのかを論じている。後半ではデジタルアーカイブの技術についても少し触れている。デジタルアーカイブ入門書的な本。

・笹羽晴夫.菅野育子.水島英治.米澤誠「文化・学術機関におけるデジタルアーカイブ等の運営に関する調査研究」
https://current.ndl.go.jp/node/17883

・これからの図書館サービスの在り方
(https://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/tosho/giron/05080301/001/003.htm)

・図書館法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000118

・3か年総括報告書 我が国が目指すデジタルアーカイブ社会の実現に向けて 令和2年8月19日 デジタルアーカイブジャパン推進委員会・実務者検討委員会(事務局:内閣府知的財産戦略推進事務局)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/digitalarchive_suisiniinkai/pdf/r0208_3kanen_houkoku_honbun.pdf

他にも県のHPや市立図書館の情報を参考にしました。

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