[無料]R6予備試験合格アガルート生の使用教材評価
はじめに
はじめまして。
令和6年予備試験最終合格した者です。
短答は1500位程度、論文は2桁後半の順位でした。そんな私が使用した教材を5段階で評価していきます。
評価は教材の良さだけでなく、予備受験生としての必要性優先順位といったことも加味しております。
では無料ですので、ぜひ最後まで読んでいってください。
アガルート教材
まず、私が使用していたのは工藤先生のものであるので最新のものとは異なることを前提としてください。
アガルート総合講義300: 3・・・本当に初学者の人は、ストゥディアのような簡単な本ですら理解が難しいことが多く、人が解説をしてくれるので、全くわからない文章を分からないなりに文章を読み続けることができる人を除き、法律学習における難所である「学習最初期」の突破を容易にしてくれる。そして、非常によくまとまっているため、少し確認したいときにチェックすることに役立つ。よく総合講義は分かりにくいという言説を耳にするが初学者のうちなんて何を聞いてもよくわからないので取り立てて問題ではない。
ただし、入門講座はそれだけで問題が解けるようになる性質のものではないため、300時間は長すぎでありもっとコンパクトでよい。また、工藤先生の鼻啜りが少し気になる。講師の解説があるものならなんでもいいと思うので総合講義である必要はない。
論文の書き方講座:1・・・いらない。これをやるぐらいならさっさと重問をすべき。
重要問題習得講座:5 ・・・実質的なインプット講座。これを何周もすることによって、論点を理解し、問題を解けるようにしていく。憲法を除きどの科目も素晴らしい。特に、大半の論点をカバーして参考答案がある問題集などあまりなく、とりあえずの答案、論点の書き方を習得できるのが良い。よく、「解答例がダメ」など言うが重問の答案にケチをつけれるほどの答案をかける人など極少数であろう。たしかに、答案例を重問しか見ないとなれば話は別だが、どうせ過去問に入る時点でも答案は全く書けないので、そこで再現答案などをモデルに答案を書く練習をするのだから正直多少答案がダメなことぐらいどうでもいい。
また、憲法も最近の傾向に合致していて、再現性のない答案ばかりのように思うが、それをできるようになることこそが近年の問題では重要なのかとも思う。
論証集の使い方講座:5・・・市販のものも合わせれば、私が論文、口述会場で見た感じでシェアを圧倒しているように思う。個人の好みにもよるが、論点の掲載数は十分ながら不要な情報が少ないのが良い。他の予備校のもので、教科書のコンパクト版のような論証集を見かけたことがあるが、それは論証集の役割ではないと思う。
また、余白が多く論証集を改造しやすいのも良い点。そして、音声ダウンロードも素晴らしい。通学中やお風呂の中で何度も聞いた。視覚からのみならず聴覚からも暗記ができて、問題を解いている中で規範が工藤先生の声で思い浮かぶことがあった。
ただ、論証が長いというのはその通りだと思う。実際にアガルートのものをそのまま答案に書くことは少ない。一方で、論証をコンパクト化していく作業はそれはそれで学習になるので一長一短である。
予備試験論文過去問解析講座:3・・・解説が比較的コンパクトで必要最小限の説明にとどまっている点は良い。ただし、どうせぶんせき本などの再現答案集を使うので改正に対応している点を除けば、必要性は低い。
短答過去問解析講座:2・・・短パフェか合セレで十分。講義視聴を前提のような解説で使いにくい。
採点実感から読み解く合格答案の「型」習得講座基礎編:4・・・私はこの講座を知ったのが過去問を全くわからないと言いながら数年時進めていたときであった。論文答案は最終的には自分なりに書きやすいものが何通も書いていると見つかってくると思うが、論文答案の王道が石橋先生の解説付きで示されるので起案に入った時点で出会ったとけばと思った。重問をサラッと一周して論文答案の書き方がさっぱりわからないという場合は購入を検討してみると良いと思う。(最短合格カリキュラムに入れるべきは書き方じゃなくてこれやろとも思う)
憲法
基本憲法Ⅰ:3・・・一度通読をした。その上で、基本憲法が悪いわけではないが、憲法に基本書は不要なように思う。
合格思考憲法:4・・・人権ごとに判例や学説をまとめていて分かりやすい。令和3年以前の問題には非常に有用。ただし、近年の目的手段審査ができない問題にはこの参考書では太刀打ちできないのでこの評価にした。
加藤ゼミナール基礎問題演習:4・・・アガ憲法が使いにくかったため憲法のみ買った。基本的に三段階審査論で答案が書かれているため、合格思考憲法で述べたことが基本的にあてはまる。そのため、この評価。
加藤ゼミナール総まくり論証集:4・・・これも、基礎問題演習と同じく、アガが微妙のため買った。学説による整理が非常に細かく、たしかにこの論証集を完璧に暗記できたら強い。しかし、そんなことを10科目論文がある予備ですることは難しいので、そこは自分の勉強時間や暗記が得意かなどに合わせての使用が必要。
行政法
基本行政法:4・・・使用者が多いためとりあえず基本書はこれにした。まあまあ分かりやすい。
基本行政法判例演習:5・・・個人的に大好きな参考書。重要判例の判旨に解説を入れながら事案を解説している。判例が重要な行政法においてこれは非常に有用。ただし、基本行政法と同じシリーズなのに使い合せは別によくはない。
民法
呉シリーズ:4・・・非常に分かりやすい。ただし、本当の初学者には難しいし、学習が進んだときに読んでも少し物足りない。この教科書がハマる人が少ないような気がする。
択一六法:5・・・条文ごとにまとまっているので、短答対策や少しチェックしたいときに有用。学説の説明は多くないが、試験対策的にはそれで良い。
商法
リーガルクエスト会社法:3・・・工藤先生が総合講義のときにオススメしていたから買った。(仕方がないが)商法がなくて使いにくい。論点の説明が特別詳しいわけでもないが、条文索引があるのは非常に良い。田中先生のものの方が使用率が高いように思うので、わざわざ買い換える必要はないけどそちらでいいと思う。
民事訴訟法
基礎からわかる民事訴訟法:4・・・分厚く通読には向かない。本文では比較的簡単な用語の注釈を加えながらの説明となっていてわかりやすい。また、他の基本書と比べて平易な文章で書かれていて分かりにくい概念の習得がしやすい。ただし、中上級者になると用語の注釈がうざったく感じることもある。また、平易な文章だからこの本を使って答案を書こうとすると少し心許ない。
事例で考える民事訴訟法:3・・・論文受験後に買った。学者の演習書の中ではかなり手を出しやすい方だと思うが、重問もままにならない段階では非常に難しく感じるだろう。
解説は学説もしっかりと分析されているため、これを完璧にすれば民訴の理解は十分なものとなるだろう。
ただし、予備受験生としての優先順位はかなり低い。
刑法
基本刑法Ⅰ:4・・・基本的な説明と論点解説が明確に区別されていて分かりやすい。Ⅰはそこそこ良い程度。悩んだらこれで良い。
基本刑法Ⅱ:5・・・これも基本的な説明と論点解説が分かれていて良い。口述のときは本当にお世話になった。どの教科書でもいえることかもしれないが、口述対策でこの本を何周も通読し、口述に司法試験の過去問を解いたがかなり解きやすい。考慮要素の記載や過不足のない判例解説、通説判例をベースにしていることどれをとっても良い。刑法各論はこれを買っておけば問題ない。
応用刑法Ⅰ:4・・・辞書用教科書であり通読するものではないように思う。網羅性がないので基本書はこれだけとなるとやや不安。共犯や実行の着手など自分が苦手とするところを読むとかなり理解が進む。
応用刑法Ⅱ:3・・・ほとんど読んでいない。応用刑法Ⅱが悪いわけではないが、基本刑法Ⅱが良すぎるためわざわざこれを読む機会がない。
刑事訴訟法
リーガルクエスト刑事訴訟法:3・・・基本刑訴法と悩んだ末に一冊で完結しているこちらにした(口述のために結局基本刑訴法と購入)。あまり評判は良くないが、まあ別に問題ない。特筆事項なし。
基本刑事訴訟法手続理解編:5・・・口述対策のために購入。下で述べる定石本でも十分にも思えるが、定石本には記載はあるが説明が淡白すぎるというような箇所も多いのでこちらもやっとけると自信をもって挑める。論文の刑事実務との関係ではややオーバースペックのように思う。なお、論点理解編はアガ論証集で十分だろと思ったので未購入(結果、口述で秘密交通権が答えられなかった)。
事例演習刑事訴訟法(古江本):4・・・論文受験後に始めた。
論点が学生と学者の討論の形で解説されている。これをやればかなり理解が進む。ただし、しっしかりとした解説がなされている分時間がかかるので、ロースクール生などは別として予備受験生はやらなくてもいいと思う。また、答案例があるわけではないので重問等の代わりになるわけではならない。あくまでサブテキスト的な使用とすべきである。
労働法
事例演習労働法:3・・・判例通説からではない解説をしているものがある。また、事例に対する解答があるがいわゆる答案ではなく、答案の形で学説や判例を解説するものであるため使いやすいわけではない。予備校の問題集にプラスしてということなら良いが、選択科目にそんなに時間は避けないので別にいらない。司法試験の過去問で大半の論点を網羅しているのでこれを解けば良いと思う。(私は、もう購入できないようだが元アガ渡辺先生の総合講義論証集司法過去問解説を中心に使った)
実務基礎科目
ゼロからマスター要件事実:4・・・まず、某先生の回し者ではないことを断っておく。気になり大学図書館で借りて読んだ。確かに、いきなり大島本は難しいと思うのでこの本を挟む価値はあると思う。ただし、時間は有限なのであり圧倒的な使用率の大島本をやらないわけにはいかないし、民法をちゃんとやっていれば大島本が理解できないということは決してないと思うので読まなくてよい。
アガルート実務基礎対策講座(民事のみ)+民事実務一問一答:4・・・刑事は定石本をする予定だったのでやっていない。最短カリキュラムについていたので、論文段階ではこれを使っていた。今年の論文は和解の要件事実など難しいものがでたため対応できなかったが、講座と一問一答の使い合わせのよさを考慮すれば十分良いものである。ただし、どうせ口述対策で大島本をやるので論文段階も大島本で良いと思う。
大島本要件事実理解編:4・・・論文合格発表後に口述対策として購入。使用率が圧倒的なので、ここに書かれた要件事実を完璧にしておけば要件事実で沈むことはない。(かくいう私は、今年の口述で「承諾請求」なんて出るわけないと鷹を括っていたせいでパニックになった)
大島本基礎編:4・・・要件事実の部分は読んでおらず、執行保全法曹倫理のために買った。執行保全は薄いがみんなこれなのでこれで良い。また、法曹倫理はかなり詳細で素晴らしい。
刑事事務基礎の定石:5・・・基本刑訴法のところで説明が淡白と言ったが、論文との関係では十分である。これ一冊で事実認定、刑訴手続、刑訴論点の一部、法曹倫理全て解決するのがすごい。他にもたくさんの科目の対策をしなければならない、論文受験時ではこの薄さで刑事実務を網羅していたことは、実務基礎、選択科目の勉強が遅れていた自分は感謝してもしきれない。
その他
合格セレクション:5・・・名著である。あれを完璧にすれば75%ぐらいは取れる。私は一般教養18点だったが、30点以上取れる人なら短パフェなんて必要ないと思う。ただし、憲法と行政法は少し微妙。全部の選択肢の正誤を判定できないといけない問題が公法系は多いため正答率が高いものだけに絞った合セレでは本番で選択肢の1つぐらいで迷うことが多い。(短パフェを使えばこれが解決するかと言われれば微妙なので、公法系は憲法は判旨の読み込み、行政法は諦めで対応するのが良いと思う。)
司法試験予備試験ぶんせき本:5・・・これなくして論文過去問演習はできない。古い問題は改正に対応できない点が問題だが、実際にAを取った答案を分析することはかなり有用。再現答案と自分の答案を比較して良いところダメなところを精査していく作業はかなり答案作成力が上がったように思う。個別指導などはわからないが答案を採点してもらうだけなら、この作業をしている方が有用だと思う。集めれるだけの年度分を集めて欲しい。
判例六法:4・・・短答対策のときに過去問に出た問題、間違えた問題を色分けしてマークし、他にも多くのメモをして一元化教材とした利用した。公法系科目は判例の引用が短かったり、条文のない制度が多く判例六法との相性が悪かった。
司法試験予備試験用法文:5・・・予備試験用法文は刑訴法には条文ごとの見出しがなかったり、文字の大小や間隔をあけるといった工夫が一切なく非常に使いにくい。ポケット六法がいかに愛情もって作られているかを実感する。論文本番に初めて予備試験用法文を使ったのでは、面食らうし、法律がどの辺りにあるかを探すはめになり時間が厳しい論文試験においてかなりロスになる(法文は座席に予めおいてあるが、試験開始まで触れることができないので、当日に見れば大丈夫ということではない。)
そして、市販のものもあるがかなり高価だった記憶があるので、メルカリでなるべく最近のものを買えば良いと思う。
資格スクエア短答アプリ(有料):4・・・ちょっとした待ち時間やお風呂の中で解いていた。解説は判例ベタ張りでわかりにくいものも多いし、問題文も脚別で解くように修正されておらず、当該選択肢を解くのに不要な文章を読まされるなど不満はかなりあるがあくまで合セレの補助的に解くだけなので目を瞑ることにした。本当は辰巳のアプリを買おうと思っていたが、資格スクエアの方が安かったのでこちらにした。経済的に余裕がある人は辰巳を買うべし。
おわりに
ここまで読んでいただきありがとうございます。下書き等なく殴り書きで書いたものなので、読みにくかったり、忘れている参考書などあるかもしれません。
この記事はあくまで、一受験生の意見にすぎないため参考にする程度でとどめてください。
これより下に記事はありませんが、参考になったと感じた方は合格祝いのような感じで購入していただけるとうれしいです!
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