20241031①奈良国立博物館『正倉院展』
今日は奈良博で行われている『正倉院展』に行った。
私は4回目だが今までで一番おもしろく感じた。
その理由としては事前に勉強して行ったことと、いままでの博物館展示への知識の蓄積だと思う。
まず一つ目の事前の勉強とは。
私は今年の夏に中国甘粛省敦煌市の莫高窟に行った。
莫高窟は世界遺産であるが、その時の私は存在すら知らず、「日本の仏教美術とは異なるし、塑像に関しては日本の方が綺麗だな〜」程度の感想しか述べられなかった。しかし帰国後、莫高窟に関する本『敦煌の年中行事』『敦煌の石窟芸術』という本を読んだ。ここで大陸の芸術やシルクロードの分岐点に当たる敦煌という地の美術の要素を学ぶことができた。奈良はシルクロードの終着点に当たるが、これらの勉強によって私は今年の正倉院展がとても楽しみだった。実際、すごく面白かった。
特に57番紫檀金銀絵書几では莫高窟の壁画との関連を述べていて、一番最後に最もテンションが上がった。私のハイライトは間違いなくこの書几である。
次に博物館展示の視点について。
大学にて学芸員資格課程の授業をとっていることもあり、博物館展示にはとても興味がある。授業を受けることで展示方法の仕方について注目するようになった。その点で正倉院展で私が気になったのは、パネルが上から照らされていたということだ。しかもそのパネルの枠に収まるシンデレラフィットな光を当てているのが見やすかった。また靴下の展示ではその形に沿って展示台に窪みを作られているという点が安全面でも見やすさでもとても良いなと感じた。
私がつくづく疑問に思っていることは、奈良博で使われているような反射率の低い展示ケースはどのくらいの頻度でどのように掃除するのだろう。通常のガラスのように濡れたモノで拭いて乾いた紙などで拭いたら逆に汚くなってしまうことは多いが、反射率が低かったら余計その汚れは目立ちそうだし、どうしているのだろう。今度先生に聞こう、と思って一年以上経っている。
以上の点から、今年の正倉院展はすごくおもしろかった。来年も楽しみになった。