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脱がせたらわかること
男女のことじゃございません。
皮下脂肪のことでもありゃしません。
本のことでございます。
最近机上に置いて、何かというと撫で回したり、思わせぶりにぱらりと大きく開いたり、少しずつ距離を縮めては、思わぬ一夜に喜んだりしている、大切な本のことでございます。
私としたことが、あまりに堂々たる真っ赤な表紙でもありましたので、装いごと愛でることが自然なような心地がして、表紙を脱がせることに先程まで思い至らなかった。
それが、ふと撫でながら、するりと脱がせたい心地して、一気にめくりあげてしまいました。
すると格好いい本の体躯が現れ出でるではありませんか。
濃紺ともグレーとも曰く言い難いスタイリッシュなジャケットに身を包んで赤いルージュを引いた男の佇まい。いや、デニム地のようなカジュアルな親しみやすさと秘めた熱情を同時に感じさせる青年か。
表紙の艶やかな手触りと異なる、
織りの手馴染み。
思わず洩れる溜息と、微かな高揚。
さすが、松岡正剛、粋なのである。
本交際は、まだ始まったばかり。