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とおせんぼ。または踏切にまつわるひそかな考察
開かずの踏切だった。
カンカンカンカンカンカンカンカン!!
目の前で踏切バーにとおせんぼされ
カンカンカンカンカンカンカンカン!!
耳につく金属音をずーっと聞かされていたら
カンカンカンカンカンカンカンカンカンカン!
段々、イーーーーッという気持ちになって
カンカンカンカンカンカンの中に
グイイっと身をせりだして入っていきそうになった。
それはさすがに電車を止めてみんなに迷惑をかけてしまう。それがわかっているくらいには大人なので、しません。
その代わり、目の前でとおせんぼする踏切にくるりと背を向けてみた。
カンカンカンカンカンカンカンカンカンカン!
踏切の前で、踏切にくるり背を向けて。
夜空なんか、見上げちゃって。
そうしたら、なんともきれいな月だった。
満月に近いのかしら。
カンカンカンカンカンカンカンカンカンカン
音は鳴っているのに
気持ちもなんだか丸くなっちゃって。
これ、仕事や人間関係でも同じかもと。
目の前で長らくとおせんぼ(対立構造)されると
嫌気がさしたり歯向かっていきたくなる。
そんなときは逆にくるりとふわりとひとり何気なく方向を変えて、美しいもの(構造の枠外にある何かよきもの)に心を向ければ意外にすぐに凪になる。
あとは、エレベーター待ちも同じ原理だ。
開かない扉を前にしたイライラ防止の鏡。
興味が逸れて、待ち時間が短く感じる。
そんなことをつらつら考えながら、
いつの間にか頭上にあがった踏切を越えて
家路につく。
みなさま今日も、おつかれさまでした。
月のひかりは、静かに街を照らしています。