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『イット・イズ・ユア・ディシジョン・ザット・ザ・デイ・イズ・グッドデイ・オア・バッドデイ』ニンジャスレイヤーTRPG×のびのびTRPGザ・ホラー リプレイ小説


コア登場人物(画像「YSDメーカー」より作成)

  • マユ:

  • モータル。大学生のハッカー。無所属の地位で手に入る現状最上位クラスの電脳を付けている


  • マリー:

  • モータル。大学生。冷静で、生き残ることを重視している。心臓はクローム製で自動蘇生装置も付けている。オーガニック派だが、とある顛末から薬物にハマっている


  • アカリ:

  • モータル。大学生。銃器が好きで撃ってもいい機会を常に探している。目はマルチターゲット照準付サイバネアイ


  • アイアンアイドル:

  • 休日の朝に放送されているメガコーポ資本の玩具販売促進アイドルアニメを見て育ったティーンエイジャーにある日ニンジャソウルが憑依した。自分は画面の中の煌びやかなアイドルのようになれないと感じていた彼女は、この力があれば憧れの姿に近づけるかもしれないと歓喜した。と同時にこれまで自分と同列だった人間の命を思うがままにできることに楽しさも感じていた。しかしアイドルに影や裏の顔はタブー。この他者の命を弄びたいという欲求とアイドルとしてマイナスイメージを付かせてはいけないという葛藤の末、彼女は「悪人なら殺してもOK」という歪な結論に着地した。弱きを助け悪しきを殺すこの行為を彼女は「ライブ」と称している。メンポを着けたいというニンジャの本能に抗いアイドルとして素の顔で勝負している。勝てそうな悪のサンシタ以外のニンジャとの直接戦闘は避けるようにしている。熱狂しているアイドルアニメのアーケードゲームの重課金者。ダブったコーデカードをスリケン代わりに投げる。







本編開始

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

アイアンアイドルが失踪した。もう二週間近く姿を見せていない。連絡もつかず、定期ストリートライブも行っていない。彼女はわざわざニンジャを雇われてファンに誘拐された経歴もある。そんな彼女の身を案じ、3人はマユの部屋に集合した。マユは自分の部屋にいることに安心しているのか、電脳ドラッグでかなりキマっていた。ドラッグ服用に抵抗があるはずのマリーも前回の合成アドレナリンの高揚に味を占めてしまったのか、ZBRタバコを吸っている。

調べ物はハッカーであるマユの専門分野だ。キマりっぱなしなので処理スピードはいつもの倍以上。しかし失敗やタイプミスもいつもの倍以上だった。マリーは部屋の隅で目を閉じZBRを吸ったまま動かない。今まともなのはアカリだけだ。調べ物はアカリの専門分野から程遠い。
アカリのする予想のうち可能性が一番高いのは、誰かがアイアンアイドルの首に懸賞金を掛け、誰かがそれを受託して囚われの身になっていることだった。考えたくはないが、既に始末されている可能性もある。2人をあてにできないアカリはバウンティハンター用ネットワークにアカウント登録する。万が一の事を考えて偽名を入力する。その後に続く画面には、長々とした契約条項といくつもの「同意する」が連ねられていた。

「同意同意同意!全部同意する!ここチェックマークは全部外す!あ、これは…チェックマーク全部入れる!わたしはロボットではありません!!」

アカウント作成完了後、調査の結果アイアンアイドルの名前は懸賞首リストにはあったものの金額が安過ぎて誰も受託していない状況となっていた。
これ以外の情報源は思い当たる節がなにも無いアカリは、ため息を吐いてベッドに寝転んでIRCSNSを眺める。ネコ、スシ、スシ、ネコ、メガコーポの欺瞞を指摘するバンドの投稿。「良い」を押す。スクロールを続けていると、穴場のオンセンを定期的に投稿するbotの画像に目が留まった。そこに写り込んでいたのは色むらのある紫陽花めいた髪の浴衣姿の女、アイアンアイドルの後ろ姿だった。

「見つけた!」ベッドから飛び起きるアカリ。
「見つけたって何を?イルカチャン?」前後不覚のマユ。
「そもそもわたし達は何を探してるんだっけか?」認識が曖昧になっているマリー。

アイアンアイドルの写り込んでいたオンセン地を調べると、歴史と風情の残る、ネオサイタマから数時間の場所だということがわかった。アカリは薬物でどうにかなっている2人を母親のように急かし旅支度をさせた。
3人は交通機関の乗り継ぎになんとか失敗せず無事当該オンセン地に着くことができた。そのオンセン街で一番規模の大きい、と言っても3階建て程度の、山の上に建つ旅館に泊まる事に決めた。入り口にはノレンで「ン」「ド」「ラ」の文字。建物は蓋を取り払った巨大な立方体のようで、中心は吹き抜けで大きな正方形の中庭がある。その中庭に面した一階の大部屋に皆は案内された。中庭に面した壁はガラス張りになっており、丁寧に剪定された立派なバイオパインと苔むした岩が雨に濡れている。重金属酸性雨の勢いは強まってきている。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

壁のLEDボンボリライトを点けているとはいえ、雨で差し込む光も無く部屋の中は薄暗かった。薬物ハイから戻ってきたマユは携帯UNIX端末で旅館の出入り客のリストを調べている。

「ッかしいな〜…。あの写真でアイアンアイドル=サンが着てた浴衣は間違いなくこの旅館のものなのに、客名簿にはツリオカの名前が無い…」

ツリオカ・ショウコ。アイアンアイドルの本名だ。

「玄関の防犯カメラにも意図的な空白があってよくわかんないし、でもあの浴衣姿で写ってるってことはここに泊まってるはずだし、たぶんまだ生きてるはずなんだけど…ムムム…いない…」

マリーは壁際でZBRを吸って目を閉じており、アカリはマユの後ろから携帯UNIX端末を覗いている。
雨音は更に強まり、やがて豪雨に変わり…いや違う!ガラス張りのすぐ向こうに豪雨のような音を立てて浮遊するものがある!4つのバーニアの付いた装甲UNIXめいたUAVが、地面から1m直上でホバリングしていた!読者の中にはこれが何か思い当たる諸氏もおられよう。そう、これはオナタカミ社の試験機ハイタカ……の流出した設計図から低コストで製造された、廉価版ハイタカである!

「ミナモト・アカリ=サン。プレミアムプランシステム利用料が未払いドスエ。振り込み受付締め切りまであと60秒、59秒…」

廉価版ハイタカから合成マイコ音声が響く。底部には威圧的なガトリングガンが付属している。

「アカリ!これ、何したの!」危険を判断して中庭側の壁の端、コンクリート柱の影に張り付いて叫ぶマユ。ついでに手近な場所でキマっていたマリーも引っ張って来て柱の影に押し込む。
「嘘!わたし偽名で登録したのに!?」アカリも急いで逆側の壁の端、コンクリートの柱に隠れる。

「振り込み締め切りまであと30秒、29秒…」

ガトリングガンの銃身が回転を始める。

「わたしアイアンアイドル=サンが指名手配で捕まったんじゃないかってバウンティハンターのネットワークに登録して探してみたの!その時、まぁ、あんまり規約は読んでなくて登録しから…それかな?」と濁すアカリ。
「そういうのは偽名で登録しても素人なら一発で本名までバレる!なんなら位置情報もね!わたしに言ってくれればそんなサイトに登録しなくても情報割り出せたのに…!」
「そん時キマってて何もできなかったでしょ!」

「振り込み締め切りを過ぎました。取り立てを開始します」

BLATATATA!ガトリングガンが火を噴き一斉掃射が始まる!壁面のガラスは全て粉々に砕け散り、射線上の廊下側の壁に無数の穴が空く。マリーはその時初めて事態に気付いたという顔をして、ZBRで加速するニューロンで瞬時に状況を判断した。彼女は光学ノイズグレネードのピンを抜いて投げ、爆発直後光学迷彩ローブをオンにした。視覚情報の異常から数秒停止する廉価版ハイタカの機銃。その隙にマリーはマユの首のLANケーブル端を掴み物陰から中庭に飛び出る!

「ちょちょ!待って!ケーブル切れる!」

首に収納されているケーブルの全長は1.5m程度しかないため、つられてマユも物陰から出て走る!マリーは機銃の砲火が再開する前に廉価版ハイタカの背後に回り、ジャンプしてフレームにしがみついて登る。バーニアの噴射が強くなり、平衡を保とうとする廉価版ハイタカ。

「…これ、挿す穴どこだ?」登り上がってから疑問を口にするマリー。
「それわかんないのにこんな事したの!?」色んな事を指摘する前にまず驚愕するマユ。

そうこうしている内にガトリングガンが再び回転を始める!マリーを乗せた廉価版ハイタカはゆっくりと180°ターンしてマユに狙いを定める。向けられた銃口にしめやかに失禁するマユ。

「下の4つのバーニアの中心!」物陰からアカリの声がする!
「そうか」マリーは着地し底面のバーニアを結ぶ対角線の交点に端子を挿す。
恐怖で半分意識が遠のきながらkill-9コマンドを飛ばすマユ!

廉価版ハイタカが全ての動きを止めて落下したのと、ケーブルで繋がるマユが気を失って倒れたのはほぼ同時だった。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

やってきた旅館の女将にアカリとマリーが事情を話し終わった頃には、フートンに寝かされていたマユはもう目が覚めていた。部屋にはガラス片がそこら中に散らばっており、廊下側の壁には弾痕、そして中庭には動きを止めた廉価版ハイタカが転がっていた。重金属酸性雨は既に止んでおり、少しだけ明るい曇り空が中庭上空に広がっていた。今まで以上に死線を見たマユは、布団から起き上がるとすぐに廉価版ハイタカに近寄り、その辺りに落ちていた鉄パイプで滅多打ちにした。

「もう!二度と!動かないようにしないと!また!襲ってくるかもしれないから!」

我を失って叩き続けるマユ。製造コストの低さ故に、装甲部分は簡単にひしゃげていく。

「アバーッ!」

くぐもった電子音声が聞こえたところでマユは驚き手を止めた。

「なにこれ、人の脳…?で動いてたの?ウェー!気持ち悪い!」

スクラップとゴアに化したものを更に殴り続けるマユを、アカリとマリーが近づき止めに入る。

「まあまあ、もういいじゃないか」
「ホラ、鉄パイプなんか捨てよ?」

アカリはマユの手から鉄パイプを取り上げ、中庭の中心へ放り投げる。肩で息をしてまだ興奮冷めやらぬマユに、2人はこの旅館の露天風呂に入りに行こうと提案する。オンセンは身も心もリラックスさせ、問題を全てを解決するこの世で数少ないものの一つだ。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

旅館の2階、建物裏手側には視線を遮る壁のない露天風呂があり、山の下の棚田やその向こうの平野などが見渡せる。そこで3人は仲良く横一列に並び、景色を眺めながら薄紫色のお湯に浸かっていた。3人以外の客はいなかった。マリーやマユに残っていたドラッグの残滓がオンセンの安らぎによって抜けていく。しばらくは温かいお湯を堪能しつつ雄大な景色を眺めていた。
そういえばとマユが話を切り出す。

「アカリ、なんであのドローンの端子の穴の位置知ってたの?アカリってそういうコーポの最新兵器とかに詳しいんだっけ?」
「…いや、たまたまそこにあるかなと思っただけだけど。勘、かな?」
「え…」
「そういえばわたしがあの裏表ある端子を間違わずに一回で穴に挿せたのも、たまたまだな」
「え…」

湯の中で青くなるマユ。

「じゃあアカリの勘が外れてマリーが裏表間違えて挿してておまけにわたしのハッキングが成功しなかったら、もしかしてわたし達全滅してたってこと…?」
「まあまあ、全部上手くいったからいいじゃないか」
「そうだよ。こうやってオンセンにも入れてるわけだし…」

そもそもアカリが規約を読まずに裏社会と繋がろうとしたことが問題で、ZBRでキマっていたマリーが後先考えずに自分を巻き込んで駆け出した事も問題で、時間をかければ直結不要でハッキングできたかもしれなくて、そうすれば自分が命の危険に晒される事もなくて…と論理的思考を働かせ2人の結果論を否定しようとするマユ。しかしオンセンの温かさと柔らかい雰囲気に飲まれてしまう。

「そうだね…オンセンにだって入れてるもんね…」

露天風呂の景観の良さと、上空を飛ぶ光を纏った魂のようなものがワビサビを醸し出しており、3人のリラックス度合いを最大まで上げていた。

「あー…あれはさっきのドローンの中に入ってた脳みその魂かな〜…」と呟くマユ。
「あれ、お前も見えてるのか?ZBRが抜け切ってないわたしだけ見えてるのかと…」とマリー。
「え、みんな見えてるの?わたしのサイバネアイの不調かと思ってた」とアカリ。

魂。そんなものが存在するのか。存在したとしてこのように肉眼で見えるのか。通常であれば疑問に思うことも、オンセンに肩まで浸かっている今はどうでもよい事だった。
露天風呂でしばらく憩っていると、彼女達の後方、建物の構造的に恐らく中庭の方から騒音と破砕音が聞こえてくる。

「さっきのドローンがまだ生きてるのかな?よく暴れてて結構結構!」とマユ。
「まだ生きてるとしたらあの魂なんなの?」とアカリ。
「ドローンが暴走してるとしたら他の宿泊客が銃撃を食らうかもしれない!」と冷静な判断をするのはマリー。

肩まで浸かっていたマリーは立ち上がり、他の2人にも移動するよう促す。しかし戦闘の後のオンセンという素晴らしい余韻に浸っている2人は、遅々として動こうとしない。マリーがアカリを無理に持ち上げようとするがマリーの筋力ではそんな事は叶わない。そういったぐだぐだをしていると、マユが先程魂だと思っていたものが徐々に接近していることに気付いた。

「ねぇあの魂のやつ、なんかこっちに来てない?っていうか思ったより大きくない!?」

お湯から出る出ないでバシャバシャと水面を揺らしていたマリーとアカリもそれに気付く。上空を飛んでいた魂はある地点から折り返し、旅館の露天風呂の方へ接近する!SPLAASH!魂が露天風呂の水面にぶつかると、壮大な水の柱が立った。弾け飛んだ湯がバチバチと音を立て浴槽や岩の床に落ちる。水面が落ち着いた後、そこに浮かんでいたのは小さな紙切れだった。よく見るとそれは、「サトヤマ・イチ」と明朝体で書かれた名刺だ。これは只事ではないと判断した3人は急いでお湯から出て脱衣所に走り浴衣を羽織る。そして装備を整えるために一階の自分達の部屋へ走る!廊下を走り階段を降り部屋へ近づくにつれて、先程聞こえていた破砕音や騒音の発生源はやはり中庭である事がわかってきた。部屋に到着し扉を勢いよく開けると、目に飛び込んで来たのは…

「イヤーッ!」
「イヤーッ!」

中庭でカラテシャウトを発し目にも止まらぬ攻防を繰り返す人影2つ!横薙ぎチョップ、ブリッジ回避、回し蹴り、バック転回避、全てが一瞬で行われておりモータルの3人はその残像しか視認することができない。片方のニンジャの周りには先程見た魂のような発光体が多数浮遊している。ニンジャに造詣のある読者諸氏ならば気が付いているかもしれない。そう、これは名刺を触媒としたカラテミサイルである!先程入浴中の3人が魂と見紛うた物は、ホーミング性能のあるグレーター・カラテミサイルが戦闘域から外れ、そして戻ってくる様子だったのだ。
3人は視認できないが、どうやらもう片方のニンジャが腹部に痛烈な一撃を加えたようで、カラテミサイル持ちニンジャはワイヤーアクションめいて吹き飛ばされた。二者の距離が離れ、ようやくモータルにも視認できる状態となる。双方裸足で徒手空拳、胸部が見え隠れするほどに乱れた浴衣。そしてカラテミサイル持ちのニンジャは男。吹き飛ばした側のニンジャは…おお見よ!色むらのある紫陽花めいた髪!アイアンアイドルだ!

「何これ、どういう状況!?」ドローンが暴れているだけと思っていたマユは目を丸くする。
「相手もニンジャだ…まだこっちには気付いてないみたいだな」声を潜めて喋るマリー。
「わかんないけど、アイアンアイドル=サンを助けよう!」戦闘の発端やどちらが正義かなどは考えず装備を整え始めるアカリ。

アカリに倣って2人も戦闘装備を整える。マユは業物のハンドヘルドキーボードと携帯UNIX端末を手に取る。マリーは光学迷彩ローブとテックスナイパーライフルを持ち屋上へ急ぐ。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

男のニンジャは立ち上がりながら怒り叫ぶ。

「素直に従っていればよいものを!無名のアイドル崩れ風情が!」
「そんな事で有名になったってアニメの中のアイドルみたいには輝けない!」
「アニメだぁ?ハッ、あんなものが現実に可能だとでも?何の代償もなくスター街道を進んで行くことが?」
「できるよ!あなたを殺して好きなように名前を使わせてもらうから!イヤーッ!」

再びイクサを交える2人の半神的存在。距離を詰めるため走り出すアイアンアイドル。そこへカラテミサイル触媒となった名刺が数枚、直線で飛来する!アイアンアイドルは突進しつつこれをジグザグ回避!全て避け切ったと判断した直後、彼女の視界の外からホーミング性グレーター・カラテミサイルが襲う!

「ンアーッ!」

転倒するアイアンアイドル。起き上がり突進しようとする彼女に向け再び数枚の名刺が放たれる!今度はダメージが小さいであろう最初の数発を敢えて受け、後から来る強撃を全力で避けようとアイアンアイドルは走りながら思考を巡らせる。がしかし!

「ンアーッ!」

最初の数枚の内1枚がグレーターカラテミサイル、それ以外が全て通常カラテミサイルだったのである。アイアンアイドルはまだジツを持たぬニンジャであり、ジツ持ちとの戦闘経験も少ないため、触媒に宿るカラテ粒子の多寡を判別できないのだった。その力量でカラテミサイル持ちのニンジャを弾き飛ばし自分のリーチの外に置いてしまったのは、悪手だと言える。

◆◆◆◆◆◆◆

マユは中庭で戦闘が続く最中、部屋の物陰でUNIX端末の操作を続ける。ちょうどホワイトハッカー仕事でお金が潤っていたのもあり、マユは前回の誘拐事件直後からネオサイタマ系警護保障会社と短期の個人契約をしていた。ニンジャの案件と来れば迷わず最上位のサービスを選択し、申請する。もちろん予算内でだ。

「あれ、このフォルムってもしかして?」

サービスのイメージ画像に写るのは、オンセンに入る前に遭遇したUAVに酷似したシルエットだった。しかしこれは廉価版などではない、オナタカミ社の試験機、本物のハイタカだった。「もうすぐ到着ドスエ」と端末から音声案内が出る。派遣されたサービス機器の現在地を確認すると、本当に旅館のもうすぐそこまで迫っていた。マユが中庭の空を見ていると、堅牢なUNIXめいた静音UAVが1機顔を覗かせた。そして続けて豪雨のような音を立てて浮遊する廉価版ハイタカが3機現れる!
請求金取り立て用の廉価版ハイタカが撃墜された事は、闇IRC情報網の運営にとうにバレていた。追加の3機が派遣されたのは1時間以上前だが、この旅館がネオサイタマから遠く離れている点、そして廉価版ハイタカの飛行速度の遅さ、ネオサイタマ系警備保障会社の派遣する本物のハイタカの飛行速度の速さが相まり同時登場を果たしたのだった。

「「「ミナモト・アカリ=サン。プレミアムプランシステム利用料が未払いドスエ」」」

デジャヴのように同じ位置で同じ文言を繰り返す廉価版ハイタカ。しかし先程と異なるのは、それが横一列に並んでおり、脅威が3倍、生き残る確率は1/9倍、無傷で生き残れる確率は1/27倍となっている点だった。3機は轟音を立てながら窓ガラスのあった場所をゆっくりと通過し、部屋に侵入する。マユを無視してアカリの方へ、砲身を回転させながら包囲していく。

「ア、アイエエ…」

アカリは情けのない声を漏らす。マユは警備保障会社から派遣されたハイタカのコントロール権を手早く掌握し、アカリを囲む廉価版の後ろに最速で回る。BLATATATA!ガトリングガンが火を噴く!火を噴いたのは…マユのハイタカだ!アカリを囲む3機の内1機を背後から撃破!

「アバーッ!」
「アイエエエ!」

破壊された廉価版からはくぐもった電子音声の悲鳴が響き、自分のすぐ横に弾痕が空いたアカリの口からも悲鳴が響く。ターゲットたるアカリの抹殺を妨害する存在が現れたため、残り2機の廉価版はそちらの排除を優先する。マユは掌握したハイタカを部屋の外に移動させ、廉価版を誘導する事で脅威を部屋から逃した。
部屋の外に出た廉価版2機は純正のハイタカに集中砲火を浴びせるが、本物の装甲はその程度の銃撃ではびくともしない。マユはUNIX端末を横持ちし、ゲームのコントローラーめいて純正ハイタカを操作する。廉価版の薄い装甲を破壊しないように、かつアカリの方にターゲットが戻らないように適度に反撃しながら、廉価版2機と本物1機でちょうど敵ニンジャを挟み続ける位地取りを保ち射撃戦を行う。マユの機転を利かせた作戦により、敵ニンジャの周囲に浮遊する名刺は次々と弾丸に当たり消滅していく!アカリも助けアイアンアイドルのサポートも行う。アブハチトラズの戦略だ!

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

エレベーターで屋上に着いたマリーは、まずZBRタバコに火をつけ吸い、煙を肺に溜めたままバリキを一気に飲み干す。彼女は完全にドラッグにハマっていた。
腹這いになり光学迷彩ローブをオンにしてテックスナイパーライフルを構える。3機の飛行物体が撃ち合いをしており、敵ニンジャの周囲に浮かぶ名刺がその影響で次々撃ち落とされている。浮かぶ発光体は全て自分で撃ち落とさなけらばならないと考えていたマリーは、これはいくぶん気が楽だとスコープを覗く。すると、弾幕の中でボロボロになっても依然浮かび続きける異様な名刺がいくつか紛れている事に気付く。マリーは知る由も無いが、それがグレーター・カラテミサイルなのだった。深くは考えず、今後アイアンアイドルを襲いそうなものを全て撃ち落とす。そのような気概でボロボロの名刺をまず一つ撃ち落とした。その後ニンジャに位置を察されないよう、正方形の枠のような屋上を移動し別の場所からまた狙撃を試みる。成功。通常の名刺も異常耐久力を見せる名刺も次々と敵ニンジャの周りに追加される。マリーはZBRで加速するニューロンによる正確無比な射撃で異常に浮かび続ける名刺を撃ち落とし、移動。これを淡々と繰り返す。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

自分の身の安全が確保されたアカリは、部屋の角に置いてあるササカマめいた楕円の旅行バッグから長い筒と弾頭を取り出す。万が一の時に備えて、そして半分趣味で持ってきたバズーカである。突然始まったガトリングガンの弾幕と高所からの狙撃に気を取られてまだこちらの存在に気付いていないニンジャに向け、バズーカを発射!KABOOM!

「こんなの使っていいのバイオ水牛とニンジャくらいだからね…!気持ちい〜!」

ニンジャの周りに存在していた立派なバイオパインは火に燃え、苔むした雅な岩も砕け散る!
敵ニンジャはアイアンアイドルを屠る事に夢中で気が付かなったが、ガトリングガンの弾幕、狙撃、そして最後のバズーカでようやく複数人が自分に敵対して動いている事、そして自身がジリープアー(訳注:徐々に不利)である事を感知した。

「この旅館のやつらか?非ニンジャの屑の分際で俺を追い込もうなどと…イヤーッ!」

敵ニンジャは屋上のマリーに向けグレーター・カラテミサイルを、3機のハイタカに向けてラピッドカラテミサイルを飛ばす!廉価版はもちろんのこと、本物のハイタカでさえニンジャの力の前では無力!全機撃ち落とされる!
移動中に自分が狙われている事に気付いたマリーは、周りに隠れる場所も無いため名刺をなんとしても撃ち落とすべく急いで腹這いになる。スコープを覗き、照準を合わせ、トリガーを引く!命中するが、先程のボロボロの名刺にトドメを加えるのとは異なり無傷のグレーター・カラテミサイルは1発では撃ち落とせなかった。マリーはスコープから目を離し走り出す!数秒前までマリーが腹這いになっていた屋上の淵にグレーター・カラテミサイルが命中!マリーはその衝撃波をもろに食らう。

「ンアーッ!」

逆側の屋上の淵まで飛ばされ転がり、ギリギリのところで落ちずにそこでマリーは気絶した。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

高所にいた狙撃手、発射されたバズーカ、そして自分に味方するように巧妙に動かされるUAV。これら要素からアイアンアイドルはあの3人がこの旅館に来ていることを察知する。それが自分と密接に関わる者だと知られると真っ先にそちらを狙われる事は彼女の経験則上わかり切っている。そのため敢えてモータルには言及せず、敵ニンジャに全力疾走!走る彼女に向かって直線や曲線を交えた名刺が6枚襲い来る!どれがグレーター・カラテミサイルでどれが通常カラテミサイルなのか、彼女は判別をやめランダムにジグザグに走る!3枚を躱し3枚は体に突き刺さる!ブッダが彼女に微笑んだのか、被弾したのは全て通常のカラテミサイルだった。通常とはいえ続けて3枚も食らえばただでは済まないはずだが、彼女のスピードは少しも減じない。ここで勝負を決めるつもりだ!体に名刺を何枚も生やしながら距離を詰めるアイアンアイドル!そしてアドレナリンブースト!

「イヤーッ!」

敵の応戦をスライディングで躱し、去り際に片脚破壊!

「グワーッ!」

片脚を破壊されバランスを崩しながら、このニンジャもアドレナリンブースト!背後の存在へ向けノールックでグレーター・カラテミサイルを2枚放つ!

「ンアーッ!」

2枚のグレーター・カラテミサイルはアイアンアイドルのカラテに引き寄せられ、肩甲骨付近に羽めいて突き刺さる!アイアンアイドルは爆発四散の少し手前で踏み留まり、スライディング姿勢からよたよたと起き上がる。敵ニンジャからすれば絶好のカイシャクチャンスだったが、敵も最後のカラテミサイルで名刺もカラテも精神力も底を突き、腹部への強打で内蔵はシェイクされ、片脚も破壊されまともに立てない状況だった。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

2人のニンジャが爆発四散の淵で留まっている。ともすればアイアンアイドルは死んでしまうかもしれない。マリーの狙撃は止んだ。マユは操作するものが何も無い。この場で武器を持って動けるのはアカリだけだった。その事を理解したアカリは、片脚を破壊され四つん這いになっているニンジャに向かってマシンガンのトリガーを引き続ける!ニンジャは転がりながら避けたが全弾回避には至らず、爆発四散した。

「サヨナラ!」

初めて自分の手でニンジャにトドメを刺したアカリは、虚脱感からかその場にへたり込む。

「アカリ!大丈夫!?」

物陰からマユが駆け寄る。

「うん…大丈夫…ちょっと怖かったけど…」
「いや、それ…!」

マユが指指すと、そこにはダラダラと血が伝って流れるアカリの腹があった。

「え!?何これ…」

アカリは気が付いていなかった。敵ニンジャが転がり回避した際に彼女のサイバネアイでも捉えられぬ速度でスリケンが投擲されていたことを。幸いスリケンは貫通しており、大動脈など急所も傷つけてはいなかった。しかしこのまま何の処置も加えないとアカリの命は10分も保たないと思われる。マユは手持ちの電脳ペインキラー素子をアカリの生体LAN端子に挿し込み、痛覚を遮断した。そして手で傷口を押さえ、出血を少しでも抑えようとする。この場で可能な応急処置はこれくらいしかない。

(早く病院に連れて行かないと…!)

マユは焦り、アカリの血でヌルヌルと濡れた手で携帯UNIX端末を弄り最寄りの病院を探す。戦闘と目の前の親友が傷ついたことに集中していて気が付かなかったが、どこからか救急車のサイレンが複数聞こえる。そう、命中しなかったカラテミサイルによって旅館が崩壊し始めた時点で旅館の女将が救急車を呼んでいたのだ!なんたるホスピタリティか!
マユは自分よりも身長の高いアカリに肩を貸し、非力ながらなんとか部屋を出て廊下を歩き建物の玄関まで連れて行った。アカリは救急隊員によって担架に乗せられ、そして地元の適切な病院に運ばれて行った。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

エピローグ

アイアンアイドルは芸能界とコネクションがある社会的地位の高い者を二週間オンセン地で接待していた。VIPルームに居たため客名簿にも名前が無く、旅館に入った時の防犯映像も消去されていたのだった。順調に進んでいた接待は、最終的にヨイデワナイカ重点な方向に進んだ。アイアンアイドルは最初非力な細い腕で抵抗していたのだが、それでも相手が止めないため今度はニンジャの力で抵抗した。すると相手もニンジャであることがわかり、そのまま戦闘に突入した。VIPルームの中で戦い、カラテの応酬の後アイアンアイドルが相手を蹴り飛ばした。叩き付けられた相手は部屋と廊下の壁を破壊しながら中庭に落ちて行き、二者は中庭で戦闘を続行した。そこにモータル3人が2人のイクサに気付き加勢したのだった。

アイアンアイドルが何の連絡もなく接待の旅に行ったのは、アイドルとして成り上がるために大会やスカウト以外の方法を選択する自分に後ろめたさを感じ、ファン兼友達である3人には伝えたくなかったからだった。しかしそのような事で大事なファンを死の危険に晒してしまった。アイアンアイドルは夜の病院のベッドで眠る術後のアカリの側に座り、一人彼女に謝罪した。

マユはアカリが行ったバウンティハンターネットワークでのアカウント作成のログやそれにまつわる情報を全て消した。
名刺に書いてあった「サトヤマ・イチ」はそれなりに有名な人物だったようで、IRCネットワーク上には情報が多くあった。それら情報からマユはいくつかあるサトヤマ・イチの口座の一つにアクセス成功。中身を抜き出して、旅館を破壊した賠償金(1体目の廉価版ハイタカで破壊された大部屋の修繕費)とアカリの治療費(彼女は保険に入っていなかったのだ)に当てた。

残った数十万円を等分して、マユは電脳ペインキラーとウイルス入りフロッピーを購入しハッカー道場でタイピング速度を鍛えた。
屋上で気絶していたマリーはマユとアイアンアイドルに介抱されて目覚め、帰って薬物中毒を治すためのカウンセリングや治療を受けた。そして更なる射撃の腕を求めて狙撃訓練に参加した。
退院したアカリはオキナワ旅行へ行った。旅費は今回の件で危害を及ばせてしまったアイアンアイドルが責任を持って出した。旅行先でアカリはサイバネアイを現状手に入る最上位モデルに替え、それを脳と電脳を駆使して最大まで使いこなせるようにトレーニングを行った。
アイアンアイドルは殺したサトヤマ・イチの名前を勝手に使って芸能界とのコネクションを得た。また今回の不始末から、もっと確実に皆を守れるように、自慢だった生身の足を切り細身の戦闘用サイバネに置換した。そして女児向けアーケードゲームに1万溶かした。
このようにして彼女達は日常へ戻っていった。


※付録、後書き※
戦闘ではグリッドマップ方式を使用しておりません。「隣接状態」か「離れている状態」かのどちらかで判断しています。
6面ダイスを3つ振って、奇数の数だけ「のびのびTRPGザ・ホラー」の闇カードを、偶数の数だけ光カードをそれぞれのキャラクターに付与しております。このシナリオ中のみその効果は有効とします。
「のびのびTPRGザ・ホラー」のイントロダクションカード1枚と場面カード3枚とクライマックスカード1枚を引いて、シナリオはそこから後付けしています。
「のびのびTRPGザ・ホラー」のGM・場面PCの持ち回り制は廃止。
モータルと比較したニンジャの俊敏性を表現するために、ニンジャは全員の手番が終了した後もう一度ニンジャだけのターンが回ってくるとします。つまり「イニシアチブ順で1ターン目」「ニンジャのエクストラターン」「イニシアチブ順で2ターン目」…と進んでいきます。ニンジャ同士のイクサの際は例外的に、通常のイニシアチブ順の手番が終わった後にニンジャだけが動けるエクストラターンを2つ設けます。「イニシアチブ順で1ターン目」「ニンジャのエクストラターン×2」「イニシアチブ順で2ターン目」…と進んでいきます。つまりモータルはニンジャのイクサの時実質3ターンに一度行動できるものとします。尚その際のアトモスフィアの上昇は通常のイニシアチブ順での1ターンが何回繰り返されたかによって決定され、ニンジャのエクストラターン数はアトモスフィア上昇に影響を与えないものとします。

また、数場面行動したらモータルは疲労により体力が-1されるものとします。


イニシアチブ順
アイアンアイドル(6+ニューロンブースト=9)→グッドディーラー(8)→マリー(6で光学迷彩)→マユ(6)→アカリ(2)


アイアンアイドル

  • カラテ6

  • ニューロン5

  • ワザマエ3

  • ジツ0

  • 体力11(6+ニンジャソウルの闇1+クロームハート2+第二の心臓2)→9→7→5→2→-2→1

  • 精神力6(5+クロームハート2-サイバネ埋め込みペナルティ1)→5(ニューロンブースト)→2(ニンジャ耐久力の発露)

  • 脚力3/n

  • イニシアチブ9(ニューロン5+生体LAN端子1+ニューロンブースト3)

  • ニンジャソウルの闇:近接攻撃ダイス+1、射撃攻撃ダイス+1

  • パルスダガー(ダメージ2=1+電磁属性1、連続側転難易度+1)(今回は浴衣姿からすぐに戦闘が始まったので所持無しとみなす)

  • ▶︎▶︎クロームハートlv2(体力+2、精神力+2)

  • ▷第二の心臓:シナリオ中最初の即死!を一度だけ痛打+2d6に変える

  • ▶︎生体LAN端子(ニューロン判定+2、イニシアチブ+1)

  • 即応ダイス:5個

  • 緊急回避ダイス:3個(伝統的ニンジャブレーサーとレガース)(今回は浴衣姿なのでダイス0とみなす)

  • オーガニック・スシ×2(体力3回復)(今回は浴衣を着ているだけなので所持なしとみなす)

  • 知識:古代ニンジャ文明、マッサージ、オイランドロイド

  • 交渉:共感、鼓舞

  • ◉ニューロンブースト/チルアウト(シナリオ中一度だけ精神力を-1して自分のイニシアチブ値を戦闘終了まで+D3または-D6する)


マユ

  • ◉知識IRCネットワーク

  • キーボードオブザゴールデンエイジ(シナリオ中一度のみハッキング判定を全てやり直せる)

  • ▶︎▶︎生体LAN端子lv2(ニューロン判定でダイス+4、イニシアチブ+2)

  • ▷ファイアウォール(シナリオ中一度のみ以下のどちらかを使用可能。自分が受けた精神力ダメージ1をただちに無効化できる。ハッキング由来の体力ダメージ1を無効化できる)

  • ▷電脳戦用デッキ(ハッキング系スキル発動時につねにダイスを+2する)

  • ◉kill-9(重サイバネ、クローンヤクザ、戦闘兵器、生体LAN端子を持つものが対象。ハッキング判定ハードで成功した場合軽減不可能な2ダメージを与える。回避ノーマル)

  • 電脳ザゼン素子

  • 電脳ペインキラー

  • 名声5

  • 成長の壁突破(ニューロン)

  • ハッキング判定ダイス8(4+生体LAN端子Lv2、ハッキングスキル使用時は電脳戦用デッキにより+2で10)

  • カラテ3

  • ニューロン4

  • ワザマエ2

  • 体力3

  • 精神力4(4+不屈の精神-埋め込みペナルティ)→3(スキルkill-9)→4(オンセンで回復)→3(本物ハイタカへのハッキング)

  • 脚力2

  • イニシアチブ6(4+生体LAN端子lv2)

  • 即応ダイス5

  • 闇・光カードによって得られるこのシナリオ限定の効果

  • 御曹司(執事が助けに来てくれる。連続使用不可)

  • 呪われた血(薬物ハイと読み替え)(出目にゾロ目が含まれていた場合判定に+4。そうでない場合判定に失敗する)

  • 鉄パイプ(カタナ)



マリー

  • ◉知識:ファッション

  • 光学迷彩ローブ

  • 光学ノイズグレネード

  • テックスナイパーライフル

  • ZBRアドレナリン

  • 名声5

  • 成長の壁突破(カラテ)

  • カラテ4(=4+栄養ドリンク-愛煙家)

  • ニューロン3

  • ワザマエ7(5+愛煙家)

  • 体力5(4+クロームハート)→3(グレーター・カラテミサイルの余波)

  • 精神力4(3+クロームハート)

  • 脚力2

  • イニシアチブ6(3+光学迷彩ローブ+生体LAN端子)

  • 即応ダイス1

  • ▶︎クロームハートlv1(体力+1、精神力+1)

  • ▷自動蘇生装置

  • ▶︎生体LAN端子(ニューロン判定+2、イニシアチブ+1)

  • 闇・光カードによって得られるこのシナリオ限定の効果

  • 高みから見渡して(よじのぼる力でこの場面をなんとかできる場合、判定に成功)

  • 栄養ドリンク(バリキ)(カラテ+1)

  • 愛煙家(ZBRタバコ)(ワザマエ+2、カラテ-1)


アカリ

  • ◉知識:銃器

  • マシンガン(連続射撃3)

  • バズーカ

  • ▶︎サイバネアイlv1(ワザマエ判定でダイス+1、射撃ダイス+1)

  • ▷マルチロックオン照準(●マルチターゲット)

  • ▶︎生体LAN端子(ニューロン判定+2、イニシアチブ+1)

  • 湾岸警備隊式マガジンホルスター(即応ダイスを1個消費することで、銃器による射撃時に『射撃ダイス』+3を得る)

  • テックヘヴィレガース(射撃ダイス+1、体力+1、側転難易度+1)

  • 名声5

  • 成長の壁突破(ワザマエ)

  • 射撃ダイス8(即応1使用で11)

  • カラテ4

  • ニューロン1

  • ワザマエ5

  • 体力5(4+テックヘヴィレガース)

  • 精神力1

  • 脚力2

  • イニシアチブ2(1+生体LAN端子)

  • 即応ダイス2→0(バズーカ)

  • 闇・光カードによって得られるこのシナリオ限定の効果

  • 剛運(出目1を出目6に変える)

  • 追跡する難敵(NPC)

  • エージェント(他者の出目をいつでも+1できる。また自身の判定が所属組織の陰謀により難易度+1される)



イントロダクションカード「失踪した家族」
アイアンアイドルが失踪


場面カード「雨と調べ物」
判定に失敗すると雨音に紛れて敵がやってくる
→確実に失敗させる


場面カード「お風呂」
浄化されていく魂を見ながらお風呂に入る


場面カード「浄化された魂」
綺麗な魂だと思ったらカラテミサイルだった


クライマックスカード「応援の声が響く」
今までの怪異が全て襲ってくる。


最後の中庭の戦闘は開始からアトモスフィアをウルトラハードに設定

グッドディーラー(サトヤマ・イチ)

  • カラテ5

  • ニューロン8

  • ワザマエ1

  • ジツ5

  • 体力5→3(弾き飛ばされ)→2(バズーカ)→(サツバツ)0→1(ニンジャ耐久力の発露)→0(マシンガン)

  • 精神力8→(ラピッド&グレーターカラテミサイル)→6→(ラピッド&グレーターカラテミサイル)→4→ (ラピッド&グレーターカラテミサイル)→2→ (グレーターカラテミサイル)→1→0(ニンジャ耐久力の発露)

  • ☆カラテミサイルlv.3

  • ★グレーター・カラテミサイル

  • ★ラピッドカラテミサイル

  • ☆◉カラテミサイル触媒

  • イニシアチブ8

  • 回避ダイス8

  • ジツ発動ダイス13


報酬
万札20万
名声(モータルだけ)+3


マユ

  • ニューロントレーニング(6万コース)判定成功

  • 電脳ペインキラー、ウイルス入りフロッピー購入


マリー

  • 薬物中毒治療(反省と贖罪の読み替え)

  • ◉ウィークポイント射撃(出目6.6で成功した銃器の射撃判定で常に痛打+1を得る。ターゲットがモブ敵なら即死!効果を得る)


アカリ

  • ▶︎▶︎サイバネアイLv2

  • ニューロントレーニング(3万コース)


アイアンアイドル

  • アカリのオキナワ旅行の旅費(20万)

  • ▶︎ヒキャクLv.1



後書き

  • マリーは基本オーガニック派でドラッグなども忌避していて、クロームハートのサイバネも生き残るために渋々入れたという設定を考えたのに今回闇カードで「愛煙家」というオーガニックから程遠いものが来てどう処理しようか迷った。同時に来た光カードの「栄養ドリンク」も、ネオサイタマの栄養ドリンクと言ったら薬物的なものしか無いし、早速オーガニック派設定が壊滅した

  • 前回闇カードの「呪われた血」はマリーに付与されてしまってどうにも活用できなかったが、今回はマユに付与されて薬物ハイということで暴走感を演出できた

  • 光カード「高みから見渡して」はちょうど狙撃手に転向したマリーにピッタリのカードだった

  • アカリに付与された光カード「エージェント」は、もしこれがマユとかアイアンアイドルなら組織からフリーランスで指令を貰ってエージェントに…という様にキャラ設定に沿って書けた。しかしアカリはそういうのから程遠いから、どこのどういうエージェントにしようか迷った。結果バウンティハンターの情報網と契約した代理人、そしてそれによって引き付けてしまう「追跡する難敵」とも結びつけられた。

  • 敵ニンジャ、グッドディーラーのグレーターカラテミサイルと通常のカラテミサイルとの使い分けは、実際ワールドトリガーのハウンドとアステロイドの戦略を読んだから思い付いた。あとマリーのスナイパーとしての動きとかもワートリをイメジしています。

  • マユに付与された光カード「御曹司」、執事が来て仲間を助けてくれるという効果は、サラマンダー=サンが上位株主のネオサイタマ系警備保障会社と個人で小規模な契約をしているという形に読み替えた。

  • クライマックスカード「応援の声」の「今まで出会ったすべての怪異が襲ってくる」要素と、アカリに付与された闇カード「追跡する難敵(NPC)」の「これを利用して場面を解決できる」という要素を上手く組み合わせて、カラテミサイルの迎撃に役立たせることができた

  • 最初は「追跡する難敵(NPC)」をシデムシにしようかと思ってたけど、あのミニガンの搭載量と装甲の硬さではまず勝てないだろうと思いハイタカにした。それでも本物のハイタカ相手ならモータルは掃射されて終わりだと思ったので、見た目はハイタカだがスペックはグレードダウンしたものと戦わせた。それでも彼女らにとっては十分な脅威だったけどね

  • 廉価版ハイタカの底部にある端子穴に気づくかどうかは、アカリに付与された「剛運」とマリーに付与された「高みから見渡して」の合わせ技で判定自動成功とした。

  • アイアンアイドルが敵ニンジャにスライディング足破壊した時、攻撃判定は確かにサツバツだったんだけど、敵の回避をウルトラハードで振ったら6.6.6で成功しちゃったのさ。でもここで彼は倒れた方がストーリーの進みが良いと判断して攻撃を成功させたよ。

  • 最後はアイアンアイドルが敵ニンジャをカイシャクしてモータルは全員無事に帰還する予定だったんだけど、ダイスを振って体力と精神力を調整したら2人ともニンジャ耐久力の発露でちょうどギリギリのところになったから、最後は唯一動けて武器を持っているアカリがマシンガンでとどめを刺すことにしたんだ。でもニンジャがマシンガンの銃撃の間全く動かないのもおかしいからスリケンを投げさせた。スリケン1発ならニンジャだと体力が1減って終わりだけど、モータルなら1や2では済まされないだろうと思った。アカリの体力は5あったけど、腹部を貫通したなら常人は数分で死に至るはずだろうと思い、旅館の女将が戦闘の途中で救急車を複数台呼んでいたことにしてすぐ治療を受けさせることで無事生還という形にしたんだ。

  • アカリがニンジャの攻撃を食らうと決めた時点でなんとか生還させる事を決めてたけど、今回のシナリオで彼女は「剛運」を持ってたから、きっとスリケンが刺さったのが額じゃなくてお腹の急所を外れた所だったのは彼女の「剛運」由来って事なんじゃないかな?

  • 最初はアカリの「剛運」を使って、あらかじめ中庭の中心に放り投げておいた鉄パイプに敵が足を滑らせて崩れ状態になりそこにアイアンアイドルがサツバツを決めて勝利…のつもりだった

  • まさかこんなビターエンドになるとは思ってなかった

  • アイアンアイドルは◉重サイバネを取得するまでサイバネを埋め込んで戦うアイドルだからこその「アイアン」で「アイドル」だと決めていたが、サイバネ化が進むのにこんなドラマが生まれるとは思っていなかった。ポジティブにポンポンサイバネ化していくだけかと考えていた

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