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「成長する為に転職したい」は逃げである
本当に優秀な人が転職面接で言っている"一撃フレーズ"
働く上で一番重要な事は何か?コーチング・コンサルタントの礒谷幸始さんは「自分の『働く意味』をつくる事だ。働く理由を聞かれて、お金や出世、家族といった代用品を挙げる様では、ビジネスは行き詰まってしまう」という――。
※今回は、株式会社リード・イノベーション代表取締役:礒谷 幸始さんのお話です。ご参考にして頂けると幸いです。
~ショウタロウのつぶやき13~
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一生懸命働く理由は「お金」?
あなたは、なぜ働いているのか?
働いていれば、誰しも一度は、自分に問いかけた事があるのではないだろうか?
多くの人は「お金」だったり「出世」だったり、あるいは「家族」なんていう答えが多いと思う。
よく考えていくと、単に「お金」の為に働くというのだけでは、シックリ来ないのではないだろうか?
例えば、お金を貯めて貯めて貯めまくった所で、それで死ぬ時に墓場まで持っていける訳もない。
お金を何億円も残すというのが、そんなに嬉しい事なのか?――普通に考えれば、そんなのは虚しすぎる。
僕たちの会社では、上場企業の取締役や、CxOとエグゼクティブクラスの人材エージェントを行っている。
面白いモノで、社会で活躍している人ほど、目の前のお金より社会性や世の中への価値機会を優先して仕事選びをする。結果的に成果を出せる自信があるからかもしれない。
何より、お金の話ばっかり聞いていたら、誰も応援したくなくなるね。
「出世」も「家族」もしっくりこない
「出世」にしても同じだ。仕事の肩書きなんていうのは、自分の極一部にすぎない。現に、一歩外へ出たらそれが価値を持たない場合は多い。
時々、会社を定年で辞めて「株式会社○○○(世間的に名の知れた会社)元取締役」なんていう名刺を持ち歩いては、ドヤ顔で出したりする人を見るが、僕から見れば「で、どうしたん?」となる。
では、「家族」の為というのはどうだろうか? これはアリかもしれないが、当の家族は「家族の為に働いているんだ」と言われたら、どう感じるだろうか?
――生計を共にするパートナーであれば「家計の一翼を担っている以上、当然でしょ」位にしか思わないだろうし、子どもに至っては「そんな風に恩着せがましく言われてもなぁ……」と迷惑に感じるかもしれない。
毎日毎日、「会社に行きたくない」「仕事したくない」と言わんばかりの顔で通勤し、休日は無気力で1日中ゴロゴロしている様な人に、「自分たちの為」などと言われても嬉しいはずがない。
「将来何したい?」に対する子どもの回答
もしも皆さんが「お金」「出世」「家族」などと答えたのであれば、それは自分の「働く意味」がわからず、その代用品として「お金」や「出世」「家族」を持ち出しているだけだ。今日のビジネス現場が行き詰まっている原因も、大元はこの点にある。
ある時小学生の息子に、「しいしいは将来、何したいの?」と聞いてみた (「しいしい」は彼のあだ名)。
「社長になりたい」
「いいやん。何でそう思ったの?」
「だってパピー、社長でしょ? 僕も社長したい。仕事、面白そうにやってるじゃん」
一方、中学生の娘に聞いてみた。
「ある(娘のあだ名)は将来、何したいの?」
「えー、ぜんぜんわかんないよ」
「そっか、まあいいんちゃう? これから色んなモノに触れていけば」
「そうだねー。でも、パピーの会社みたいな会社で働きたい」
「嬉しい事言うねー。でも、何でそう思ったの?」
「心理学とかちょっと興味あるし、何よりミーティングとか?凄い楽しそうじゃん?」
働く事の楽しさを「教育」している
礒谷家では、働く事は決してネガティブなものではなく、趣味みたいなものという価値観だ。嫌な事があっても家族に愚痴を言うのではなく、意見をもらったり相談したりする。
とにかく「働く事は楽しい」と感じてもらいたいので、息子にコンビニでコーヒーを買ってきてもらい、購入プロセスに10円の手数料を乗せて支払い、その差額をうれしそうにお小遣いにしている姿を見たり、仕事で嬉しい事があれば、娘と腕を組んでその話をしながらトイプードルの散歩をしたりするのが大好きだ。
人間は、ほかの動物とは根本的に違う。ただ食べて、寝て、子孫を増やせばそれで満足出来る訳ではない。
一人ひとりに必ず生きていく意味があり、それを自覚出来なければ、真の満足を得る事は出来ない。
なかなか厄介な生き物だが、だからこそ僕らは働く上で、単なる「何の為」に留まらず、一歩進んだ「意味」を自分自身でつくる必要がある。
「働く意味」をつくるのがリーダーの役割
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自由で、枠にはまらない「無重力リーダーシップ」に求められるのは、正にその部分だ。つまり、チームや組織のメンバーに「働く意味」をつくる事である。
「べき論」を押しつけるのではなく、相手自身に気づいてもらう事。どうするべきかの答えは、あくまで相手の中に隠されている。
勿論、それは簡単ではない。そもそも、その「意味」は自分自身に見えていないケースがほとんどだし、だからこそ、お金、出世、家族など、「自分以外のもの」にすがりついてしまうのだろう。それぞれの送ってきた人生、現在の立場、理想とする価値によってもバラバラだ。
例えば、人生において「勝ち負け」をもっとも重視する人の場合、働く意味は個々のビジネスで勝利する事である。その為には、他人を押しのけてでも成功する結果こそ望ましいが、逆に人生における価値を「調和」に置くタイプであれば、時には自分が縁の下の力持ちになって仲間と成功を分かち合う事に、意味を見出すはずだ。
昭和時代のブラックなやり方とは違う
僕は「働く意味」として、どちらもアリだと思う。他人を押しのけてまで「勝ち」をつかむ人も、チームの成果より「和」を重んじる人も、それぞれ流儀が違うだけだ。
それに人というのは、置かれた状況やその時のメンタルによって、普段とは大きく違う行動をとる事もよくある。
いつもは温厚で通っている人物が、突然自分がコントロール出来なくなってブチ切れるとかがいい例だ。
無重力リーダーシップでは、そんな人間ならではの不安定な部分も含め、周囲の一人ひとりに「働く意味」を創って行って欲しい。
但し、リーダーが「意味をつくる」と云っても、それは「会社や組織の為に機械の様に働け」と「洗脳」する事ではない。
昭和時代のリーダーやコンサルタントの一部では、今でもそうした無茶な洗脳を善しとする向きがある様だが、そうしたブラックなやり方は、スポーツでいえばドーピングの様なもの。
一瞬は効果がある様に見えても、時機に不正などの大きな問題を起こしたり、指示待ちのロボット社員ばかりになったり、先は知れている。
最初の一歩は「自分を知る事」
「働く意味をつくる」とは、周囲の人の価値観や人生観にまで関わり、同時に目の前のビジネスが目指す方向性と絶妙なバランスをとる、というプロセスだ。その為には、相手の内なる声にトコトン耳を傾け、隠された表情に目を向けてほしい。
他人の心を理解するのは難しい。だから、最初は自分を知る事から始めてみたらいい。自分を客観的に見つめ直してみる。そもそも、自分は何で働いているのか?考えてみる。
そうすれば知らなかった自分に出会えるかもしれないし、周囲に対しても新しい意図が生まれて、見方が変わるかもしれない。すると、周囲の望む事=ビジネスの目標というプロセスに至る第一歩が生まれるのではないだろうか?
Qあなたにとって、「働く意味」は何か?
A.
「成長出来る会社」とはどんな会社か?
僕の話は「成長したい!」と思っている人しか共感しないと思うが、次の問いにあなたはどう答えるだろうか?
Q成長出来る会社とは、どんな要素のある会社だろうか? 1分間で、その要件を箇条書きで出来る限り出してください。
A.
「成長したい!」という前提のもと、この問いを尋ねると、大抵は「ネームバリューのある会社」「人気企業」「福利厚生を重視している所」等と答える。
でも、こうした会社は「成長したい」というニーズと合っているのだろうか?
これは、僕たち大人側に責任があるのかもしれない。つまり、僕たちが無意識的に、若い人に対してこんな風に洗脳してしまっている様な気がする。
今の時代、週休3日制で、ハードに働く事はせず、タイパよく効率的に働き、幸せな人生を実現していく――
それが理想的なビジネスパーソンの人生である、という風潮がある様に思う。
何故?働く事を嫌なモノとして、働く事を嫌いになる様な文脈を創っているんだろうか?
「成長出来る会社? なら、研修制度がしっかりしている会社かな……」と答えても、何ら非はない。そう教えられて来たんだから、それが真実だと真に受けているだけで、ただ純粋なんやと思う。
転職したい」は逃げである
ところで、この「成長出来る要素」も、少しずつ変わってきた。今は外部の協力パートナーというかメンターというか、社内では聞けない話を聞いてくれる、「社外の味方」的な存在が必要とされる時代である。
いずれにせよ、相手に成長させてもらう事を期待していては、成長出来ない様に思う。
オーナー社長であれば、会社というのは、ほぼほぼ人生そのものだ。特に株を100パーセント保有しているのであれば、会社と自分の人生がイコールになる。経営者の自己実現は会社の目標の実現と一致するから、経営者が目指すのは会社の目標となる。
経営者でなくても、会社に対してロイヤリティが高い人は会社の事を考えるが、そうでない人は基本的に自分の事しか考えていない。スキルアップの為に転職する人もいるだろうし、その場所としての職業選択かもしれない(僕の会社はエグゼクティブクラスのキャリアコンサルティングをしているので、そういう人こそそうではない)。
「成長したい」
「成長の為に、スキルを身につける為に転職したい」
――そう考える人もいるが、それは逃げである事が多い。だって、どんな会社でもやる事は、ほぼほぼ一緒なんだから。ヒト・モノ・カネ――それに情報を使って、事業を成長させる方法を考える。
「出来ない事を出来る様になりたい!」というのなら、スキルを身につけるのもアリだろう。でも、それでは会社の年商は上がらない。ビジネス界で成長している人は、そういう考え方はしない。