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林檎博 -景気の回復- 感想

中2の頃、部活の遠征をサボって出向いた米津玄師のライブ 「HYPE」以来の、人生2度目のライブへ赴いた。ライブというのは本当に面白いもので、アリーナが見えた途端テンションのボルテージが一気に上がった。中に入ってから、ライブが始まるまでの5分間がとても長く感じた。
会場全体がソワソワしていると、次第に楽器隊の面々が舞台入りし、ステージ全体が暗転した。すると轟音が鳴り響き、愈公演が始まった。1曲目はなんと「鶏と蛇と豚」。行進曲のような重苦しいドラムとお経により、壮大な物語の幕が切られた。2曲目は「宇宙の記憶」。曲自体は知らなかったが、舞台の上からゆっくり降下するという予想外の登場をした椎名林檎に皆釘付けだった。「地球の皆様、ごきげんよう」という何とも彼女らしい挨拶も最高であった。2曲目が終わるとすかさず、3曲目の「永遠の不在証明」が始まった。まず曲名がカッコよすぎるのだが、それに劣らずクールな演出であった。また、勝手に東京事変名義の曲は演らないと思っていたので、この選曲には驚かされると共に、大きな悦びを感じた。
さて、あまりにも早過ぎるのを重々承知でこの辺りで総括に入りたい。私は反省しなければならない。それはライブに行くというのに、椎名林檎のリサーチが不足していたことである。勿論殆どのアルバムを聴いたのだが、急ぎすぎて1曲ごとの解像度が下がってしまった。そのため、知らない曲が半分もあるような状態であった。ただ、それでも十分楽しめる素晴らしいライブであったことには変わりない。それは本人の曲目及び歌唱は勿論、楽器隊にステージの演出家、ダンサー、本公演に来て頂いた「放生会」でのコラボ相手の努力の顕れである。心よりの感謝を送る。
ここからは余談で、俗物的な話をしたい。ライブ中に椎名林檎及びダンサーがこれでもかと言うほど衣装を変えるのだが、とにかく椎名林檎がエロかった。全ての衣装、ヘアセットが似合うのが凄いし、全部可愛いし時にはエロい。眼福である。最初に来ていたキャミソールみたいな服も結構ヤバいと思うが、1番はやはりハイレグ姿である。横から臀部がほぼ見えていた。ハイレグなど2次元キャラが来ている場面しか見たことないが、実際に椎名林檎程の女性が着るとあそこまでR指定が跳ね上がるものであると理解らされた。他には歌唱についても話したい。椎名林檎の歌唱、といえば想像つく人が多いだろう。あの毒のあるドスの効いた声から、猫のような繊細かつクセのある声まで多様である。彼女の歌声は言うまでもなく素晴らしかった。ただ、歌唱に関しては個人的に彼女を凌駕する者がいた。DAOKOである。先述した通り、本公演には最新のアルバム「放生会」でコラボした相手が数名お越しくださった。
ただ、全員身なりを椎名林檎に寄せるので、本当は3名いたのだが私は全員DAOKOに見えた。それはさておき、彼女の声だ。可愛い。可愛すぎる。声優が歌っているように思えた。ネタバレになるが、公演の途中で椎名林檎とDAOKOが野球のユニフォームに着替え「タッチ」を歌った。その時のDAOKOの声が本当にエロ可愛かった。米津玄師との「打上花火」以外、彼女のことを何も知らなかったが、今回の歌唱により一気に魅力的に思えてきた。また、タッチを歌う際に高校野球のアナウンスに倣って、「続きまして~4番~ボーカル~DAOKO」と始まったのも粋な演出であった。性癖開示による呪力向上を終えたところで、続いては楽器隊の話をしたい。まずは伊澤さんである。伊澤一葉、東京事変のピアノ及びシンセを担当する名の知れたピアニストである。時折モニターに移る彼の演奏する姿は大人びていて、洗練された技術が伝わってきた。永遠の不在証明のシンセを生で聴けたのも嬉しかった。そして今回特に驚いたのが、ドラムがあの石若さんであったことだ。石若駿は個人的に最もアツいジャズドラマーである。millennium paradeや米津玄師の曲のドラムを担当することも多い。当然と言えば当然なのだが、とんでもねえ安定感と卓越したリズムセンスを持ってるドラマーだなあと何となく思っていたら、まさかの石若さんであることが判明。それからは公演の1/3くらい彼に注目していた。また、楽器隊の紹介も非常に印象的であった。メンバー紹介用の映像が作られていて、それぞれの担当ごとにスポットライトが当てられると共に、その演奏者が何やら洒落た街並みを私服で歩いている様子が映し出された。更にはBGMとして「望遠鏡の外の景色」を流しながら。音楽に常に「カッコよさ」を求めている私は、恍惚としながら終始をこの眼に収めた。姉がマフィアみたいと言っていてまさにその通りだなと。チーム椎名林檎、恐るべし。
余談と言いながら本談より多く書いてしまったが、何が言いたいかと言うと兎に角素晴らしいライブであったということだ。記憶に色濃く残る圧巻の公演であったのだ。書ききれない細かな良さもあった。椎名林檎の生「ギタ~♡」や、ギターを弾く椎名林檎、意外なくらいに踊る椎名林檎、紅白の照明が最高に映えていた「ドラ1独走」、恐らく椎名林檎の実の子であろう小学2年生からのメッセージ、etc…
これを書いている今もライブのセトリプレイリストを再生している。ライブ以外の曲を聴きたくない。あの煌々とした時間空間にしがみついていたい。時の流れは甚く残酷である。たった2時間のライブなど一瞬で過ぎ去ってしまった。ライブ終わりに見るスマホの画面は虚そのものである。しかし、それで良いのだ。この闇や虚ろがあるからこそ、充ち足りた時間が一層際立つものである。
次回のライブ(椎名林檎でなければ1週間後にまたあるのだが)まで、しばらく息を潜めておこうと思う。

今回のMVP Songs
「鶏と蛇と豚」「秘密」「浴室」「おとなの掟」「生者の行進」「望遠鏡の外の景色」「ドラ1独走」「タッチ」「青春の瞬き」「自由へ道連れ」「余裕の凱旋」「ほぼ水の泡」「私は猫の目」


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